15136.jpg
「会議に遅れられない」緊急停車中の電車を降りて線路を歩く! 法律に違反しないの?
2016年02月01日 10時27分

電車を降りて線路を歩いた理由は「会社で大事な会議があったから」。東京都足立区のJR綾瀬駅の近くで1月中旬、40代の男性が緊急停止した電車から「線路」に降り、別の電車が運転を見合わせるというトラブルがあった。ネット上で「まさに社畜だ」といったコメントが寄せられ、話題となった。

報道によると、男性の乗っていた電車は、綾瀬駅に人が転落したためにホームの300メートル手前で緊急停止した。男性は自ら手動でドアを開けて駅まで歩き始めたところを、駅員に保護されたという。このトラブルで、JR常磐線と、直通運転している地下鉄・千代田線が、一部区間で最大1時間運転を見合わせた。

事故で緊急停止した電車に閉じ込められること自体は、たまにあるだろう。しかし、勝手に線路に降りるという行為は、法律に違反しないのだろうか。岡田一毅弁護士に聞いた。

電車を降りて線路を歩いた理由は「会社で大事な会議があったから」。東京都足立区のJR綾瀬駅の近くで1月中旬、40代の男性が緊急停止した電車から「線路」に降り、別の電車が運転を見合わせるというトラブルがあった。ネット上で「まさに社畜だ」といったコメントが寄せられ、話題となった。

報道によると、男性の乗っていた電車は、綾瀬駅に人が転落したためにホームの300メートル手前で緊急停止した。男性は自ら手動でドアを開けて駅まで歩き始めたところを、駅員に保護されたという。このトラブルで、JR常磐線と、直通運転している地下鉄・千代田線が、一部区間で最大1時間運転を見合わせた。

事故で緊急停止した電車に閉じ込められること自体は、たまにあるだろう。しかし、勝手に線路に降りるという行為は、法律に違反しないのだろうか。岡田一毅弁護士に聞いた。

●鉄道営業法違反で罰則の可能性も

「電車の運転中に扉を開けたり、乗降したりしたときに罰せられる規定は、鉄道営業法にあります。ただしこれらは『運転中』であることが前提です。今回のような『停止中』の電車では、鉄道地内にみだりに立ち入った者に対する罰則(鉄道営業法37条)に該当して、処罰される可能性がありますね。

さらに、乗客は、鉄道営業法2条および鉄道運輸規程2条により、鉄道係員の指示に従わなければなりません。また、同規程20条により、列車が駅以外に停車したときは、係員の承諾がなければ下車することはできないとされています。

JRが乗客に対して『車外に出ないでください』という指示を出していた場合や、『乗務員の指示がない限り線路へはでないように』といった一般的な注意があった場合、勝手な下車は、同規程違反となります。乗客には、この規程を守るべき義務があるにもかかわらず、守らなかったという点は、法的には債務不履行といえます。JRに運行遅延によって金銭的な損害を生じさせた場合、損害賠償を請求されることもあります」

男性は、ほかに対策をとることができただろうか。

「男性は、勝手に降りたために、遅刻よりもさらにトラブルを大きくしてしまいました。当たり前のことですが、乗務員の指示がない場合は、勝手に降りるべきではありません。まずは自分の会社に連絡を取って、会社に身動きできないという説明をすればよいのです。そしてJRが発行する遅延証明書などを持参し、事情の説明に努めることが一番いいということになりますね」

男性の「会社の会議に遅れるわけにはいかない」という主張は通るだろうか。

「それだけでは違法性を阻却することは困難です。処罰の可能性や、損害がある場合の損害賠償請求の可能性は免れないでしょう」

岡田弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る