15365.jpg
月単位の「子連れ帰省」を繰り返す「実家依存症」の妻、お願いだから帰ってきて!
2019年08月16日 09時53分

「実家依存の妻から離婚を切り出されました」。子どもが生まれてから、何度も実家に帰省する妻に悩まされてきたという男性が弁護士ドットコムにこのような相談を寄せています。

男性は妻とは結婚5年目で、2歳の子どもがいるようです。

「子どもが生まれてから2年間、妻は子どもを連れて約10回程度実家に帰省しています。1度帰省すると1から2カ月は帰ってきません。帰省する日程は前日または当日に知らされ、戻ってくる日も教えてもらえません」と相談者はいいます。

我慢の限界に達した男性が「帰省を控えてほしい」と怒ったところ、妻に「怒られてこわかった。もう一緒に生活できない」と離婚を切り出され、音信不通となったようです。

男性は離婚したくないようですが、このような場合は離婚が認められる可能性はあるのでしょうか。

「実家依存の妻から離婚を切り出されました」。子どもが生まれてから、何度も実家に帰省する妻に悩まされてきたという男性が弁護士ドットコムにこのような相談を寄せています。

男性は妻とは結婚5年目で、2歳の子どもがいるようです。

「子どもが生まれてから2年間、妻は子どもを連れて約10回程度実家に帰省しています。1度帰省すると1から2カ月は帰ってきません。帰省する日程は前日または当日に知らされ、戻ってくる日も教えてもらえません」と相談者はいいます。

我慢の限界に達した男性が「帰省を控えてほしい」と怒ったところ、妻に「怒られてこわかった。もう一緒に生活できない」と離婚を切り出され、音信不通となったようです。

男性は離婚したくないようですが、このような場合は離婚が認められる可能性はあるのでしょうか。

●「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるか

夫婦2人の話し合いにより合意すれば、どんな理由であっても離婚することは可能です(協議離婚)。しかし、今回のケースの場合、相談者は離婚をしたくないと考えていることや、妻が音信不通になっていることから、協議離婚は難しいでしょう。

協議離婚できなかった場合には、裁判所での調停、裁判へと進みます。この場合には、法律(民法770条1項)が定める離婚理由が必要となります。

民法770条が定める離婚事由は、(1)不貞行為 (2)悪意の遺棄 (3)生死が3年以上、明らかでないとき (4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき (5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、の5つです。

今回のケースは(1)から(4)にはあたらないでしょう。しかし、「(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」と判断されれば、離婚が認められる場合があります。

ただし、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるか否かの判断はケースバイケースです。判断にあたり、裁判所はさまざまな事情を総合考慮します。

そして、夫婦関係が破綻し、回復が困難であり、これ以上は結婚生活を続けていくことが難しいと判断された場合に、離婚が認められることになります。

今回のケースでは、妻は夫に「帰省を控えてほしい」と言われたことを理由に、離婚を切り出しています。このことのみをもって、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして、ただちに離婚が認められることはないでしょう。

●別居期間も考慮される

「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかを裁判所が判断するにあたり、別居期間も考慮されます。別居期間のみで離婚が認められることはありませんが、長期間の別居が続いた場合は、夫婦関係が破綻しているとして、離婚が認められる場合もあります。

ただし、長期間の別居が続いていたという理由で、ただちに離婚が認められるわけではありません。別居期間中に夫婦の間に定期的な交流があるなどの事情があれば、夫婦関係が破綻していると認められにくくなります。

小田紗織弁護士は「生計を共にするなどして、相互に協力関係にある別居(転勤や一時的な帰省)は夫婦関係の破綻につながる別居とはいえません」と説明します。

では、今回のように、妻が「もう一緒に生活できない」と離婚を切り出し、実家に帰省した場合はどうでしょうか。

小田弁護士は「離婚を切り出され、音信不通となった時期から夫婦関係の破綻につながる別居が始まったといえるでしょう。さらに別居が続くようであれば、同居期間との比較や子の有無・年齢など様々な事情を総合考慮して、夫婦関係の修繕は難しい=夫婦関係破綻=離婚と認められるでしょう」。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る