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旅館の夕食「廃棄前提」ツイートが波紋 田端信太郎氏「炎上マーケティング」投稿に法的問題は?
2020年08月14日 14時50分

旅館に泊まったら、夕食が多すぎて食べきれないーー。天ぷらやごはん、お吸い物などが並んだ写真とともに「廃棄前提(としか思えない)」などとつぶやいた男性のツイートが話題になっています。

このツイートに対し、「調べてから行けばいいのに」「普通の量ではないか」と批判が殺到。8月13日時点で2.8万回もリツイートされ、「万座温泉」など関連ワードが一時トレンド入りしました。

ツイートした男性は、田端信太郎さんが代表をつとめるオンラインサロン「田端大学」に携わっており、田端さんは自身のツイッターで「田端大学で請け負った万座温泉の炎上マーケティングだよ」とツイート。

さらに、「なんか、このご時世にあの温泉旅館、半年先までいっぱいになったらしいですよwww炎上マーケティング大成功じゃないですかw」とツイートしました。

男性は旅館名を明らかにしていませんでしたが、ツイッター上では、料理などから群馬県嬬恋村の温泉旅館「万座亭」の名前が上がっていました。

この騒ぎを受け、「万座亭」は公式HPで「SNSで取り沙汰されている件につきまして、当宿で宣伝目的の依頼などは一切しておりません」と否定。

田端さんは「万座亭さんから依頼を受けたなんて、誰も言ってないのにw」と話し、「万座亭」に取材したねとらぼ(2020年8月13日)の記事に対しては、「『万座温泉』という地名しか出してない冗談を個別の旅館に事実確認して『事実無根』って当たり前だよ」と反論しています。

今回のツイートについて、冗談でも「田端大学で請け負った万座温泉の炎上マーケティング」と発言することは、万座温泉や旅館に対する名誉毀損や業務妨害に当たるのでしょうか。清水陽平弁護士に聞きました。

ーー元のツイートだけでなく、田端さんの発言についても賛否両論が集まっています。法的にはどう考えられますか。

旅館名を指摘しているものでないとしても、話の流れや状況から実際上どの旅館のことを指していると認識することができれば、問題になることがあります。この判断においては、必ずしも発信した主体がどのように考えていたのかは関係がありません。

本件では、状況的に万座亭という旅館のことを指しているということが、話題にしている人たちの概ね共通認識になっていたことがうかがえます。実際に、万座亭もそのように認識してリリースを出している状況です。したがって、問題にはなり得るといえます。

そこで、この「万座温泉の炎上マーケティングだよ」という発言が問題と言えるかを検討することになりますが、問題と言えるかどうかも、単にそこに現れている言葉を字義どおり読むのではなく、前後に投稿された内容や状況から文脈を読む必要があります。

字義どおり読めば、炎上マーケティングをしているということは、一般的にはあまり褒められたことではないと認識されているため、それをしていると指摘を受けた主体は社会的評価の低下を招くおそれがあるといえます。

しかし、本件においては、田端氏のオンラインサロンの関係者が炎上していることから、それをネタにするため、あるいは炎上を収束させるためのものであることが、文脈や状況から読み取ることができます。したがって、この投稿で万座亭の社会的評価の低下が生じるとまで言えないと考えます。

また、「半年先までいっぱいになったらしい」との情報は虚偽ということですが、この点も自身の炎上マーケティング発言の続きのネタと考えるのが文脈上妥当といえます。したがって、この点でも社会的評価の低下があるということは難しいでしょう。

そのため、万座亭に対する名誉毀損ということはできないと考えます。

ーー「万座亭」は公式HPで否定コメントを出しています。

「万座亭」が否定リリースを出していることは、田端氏の炎上マーケティング発言があったからこその対応と言えます。本来する必要がなかった作業をすることが必要になっており、この点は業務妨害といえる余地があります。

しかし、予約が半年先までいっぱいになっているという点については、そのような状況になっているかどうかは調べればすぐに分かることであり、実際に予約をしようとする際は予約可能かを確認するはずで、これにより予約が減るといった状況もないと思われるため、業務妨害とはいえません。

SNSを楽しむ上では、元の発言も含めて建設的な議論をしたり、ネタをネタとして楽しめるような懐の深さも重要ではないかと思います。

旅館に泊まったら、夕食が多すぎて食べきれないーー。天ぷらやごはん、お吸い物などが並んだ写真とともに「廃棄前提(としか思えない)」などとつぶやいた男性のツイートが話題になっています。

このツイートに対し、「調べてから行けばいいのに」「普通の量ではないか」と批判が殺到。8月13日時点で2.8万回もリツイートされ、「万座温泉」など関連ワードが一時トレンド入りしました。

ツイートした男性は、田端信太郎さんが代表をつとめるオンラインサロン「田端大学」に携わっており、田端さんは自身のツイッターで「田端大学で請け負った万座温泉の炎上マーケティングだよ」とツイート。

さらに、「なんか、このご時世にあの温泉旅館、半年先までいっぱいになったらしいですよwww炎上マーケティング大成功じゃないですかw」とツイートしました。

男性は旅館名を明らかにしていませんでしたが、ツイッター上では、料理などから群馬県嬬恋村の温泉旅館「万座亭」の名前が上がっていました。

この騒ぎを受け、「万座亭」は公式HPで「SNSで取り沙汰されている件につきまして、当宿で宣伝目的の依頼などは一切しておりません」と否定。

田端さんは「万座亭さんから依頼を受けたなんて、誰も言ってないのにw」と話し、「万座亭」に取材したねとらぼ(2020年8月13日)の記事に対しては、「『万座温泉』という地名しか出してない冗談を個別の旅館に事実確認して『事実無根』って当たり前だよ」と反論しています。

今回のツイートについて、冗談でも「田端大学で請け負った万座温泉の炎上マーケティング」と発言することは、万座温泉や旅館に対する名誉毀損や業務妨害に当たるのでしょうか。清水陽平弁護士に聞きました。

●文脈を読む必要がある

ーー元のツイートだけでなく、田端さんの発言についても賛否両論が集まっています。法的にはどう考えられますか。

旅館名を指摘しているものでないとしても、話の流れや状況から実際上どの旅館のことを指していると認識することができれば、問題になることがあります。この判断においては、必ずしも発信した主体がどのように考えていたのかは関係がありません。

本件では、状況的に万座亭という旅館のことを指しているということが、話題にしている人たちの概ね共通認識になっていたことがうかがえます。実際に、万座亭もそのように認識してリリースを出している状況です。したがって、問題にはなり得るといえます。

そこで、この「万座温泉の炎上マーケティングだよ」という発言が問題と言えるかを検討することになりますが、問題と言えるかどうかも、単にそこに現れている言葉を字義どおり読むのではなく、前後に投稿された内容や状況から文脈を読む必要があります。

字義どおり読めば、炎上マーケティングをしているということは、一般的にはあまり褒められたことではないと認識されているため、それをしていると指摘を受けた主体は社会的評価の低下を招くおそれがあるといえます。

しかし、本件においては、田端氏のオンラインサロンの関係者が炎上していることから、それをネタにするため、あるいは炎上を収束させるためのものであることが、文脈や状況から読み取ることができます。したがって、この投稿で万座亭の社会的評価の低下が生じるとまで言えないと考えます。

また、「半年先までいっぱいになったらしい」との情報は虚偽ということですが、この点も自身の炎上マーケティング発言の続きのネタと考えるのが文脈上妥当といえます。したがって、この点でも社会的評価の低下があるということは難しいでしょう。

そのため、万座亭に対する名誉毀損ということはできないと考えます。

●業務妨害といえる余地がある

ーー「万座亭」は公式HPで否定コメントを出しています。

「万座亭」が否定リリースを出していることは、田端氏の炎上マーケティング発言があったからこその対応と言えます。本来する必要がなかった作業をすることが必要になっており、この点は業務妨害といえる余地があります。

しかし、予約が半年先までいっぱいになっているという点については、そのような状況になっているかどうかは調べればすぐに分かることであり、実際に予約をしようとする際は予約可能かを確認するはずで、これにより予約が減るといった状況もないと思われるため、業務妨害とはいえません。

SNSを楽しむ上では、元の発言も含めて建設的な議論をしたり、ネタをネタとして楽しめるような懐の深さも重要ではないかと思います。

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