15625.jpg
交通事故で重傷を負わされたのに一切謝罪なし…「重い罰」を求めることは可能?
2017年10月02日 10時05分

相手方が原因の交通事故で重傷を負ったのにもかかわらず、謝罪が一切なし。賠償金を多く取って、腹立たしい気持ちを抑えたいーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこのような相談が寄せられました。

相談者はこの交通事故により、1か月入院し、全治1年の重傷を負いました。この事故が原因で仕事も失ったそうですが、相手方からは謝罪すらないといいます。

そこで相手方が刑事事件として起訴された場合、検察に「謝罪がない」と伝えることで、刑を重くすることはできないかと考えているようです。

刑事事件になるような交通事故において、謝罪があるかどうかで、加害者の刑罰は変わるのでしょうか。また、民事では損害賠償額が増えるのでしょうか。斉藤圭弁護士に聞きました。

相手方が原因の交通事故で重傷を負ったのにもかかわらず、謝罪が一切なし。賠償金を多く取って、腹立たしい気持ちを抑えたいーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこのような相談が寄せられました。

相談者はこの交通事故により、1か月入院し、全治1年の重傷を負いました。この事故が原因で仕事も失ったそうですが、相手方からは謝罪すらないといいます。

そこで相手方が刑事事件として起訴された場合、検察に「謝罪がない」と伝えることで、刑を重くすることはできないかと考えているようです。

刑事事件になるような交通事故において、謝罪があるかどうかで、加害者の刑罰は変わるのでしょうか。また、民事では損害賠償額が増えるのでしょうか。斉藤圭弁護士に聞きました。

●刑を重くする理由にはなりにくい

相談者は刑事事件でより重い刑罰を希望しています。裁判で被害者の立場から、こういった主張はできるのでしょうか。

「刑事事件で加害者の不誠実な対応を主張したい場合には、『被害者参加』という手続を利用する方法が考えられます。ただし、裁判所が常に被害者の手続参加を許可するわけではありません。また、参加が許可された場合でも、意見陳述等の内容が量刑に影響するかというと、微妙なところです。

刑事手続では、被告人(加害者)は反省を述べるのが常です。そうなると、『裁判前に謝罪がなかった』ことが刑を重くする理由にはなりにくいというべきです。法廷で暴言を吐いたような場合は別でしょうが、そうしたケースはまずありません」

●民事では「裁判所基準」の賠償額を請求すべき

民事ではどうでしょうか。

「民事の損害賠償請求でも、謝罪がないことが慰謝料の増額理由になることは、あまりありません。『保険会社に任せていた』、『無用なトラブルを避けるために接触しなかった』との反論が予想されます。そのような言い分には、道義的な問題は別にして、それなりの説得力があります」

ではどうすれば良いのでしょうか。

「実際には、最も高額とされる『裁判所基準』の賠償額をきっちりと加害者側に請求することで、満足を得ていくべきものと考えます。そして、損害項目の漏れや金額評価でミスのないよう、この交渉は弁護士に依頼した方が無難です。

交渉をしても、どうしても相手方と折り合えない場合には、裁判手続とすることも検討すべきでしょう。ただし、裁判となれば一定程度の時間や手間がかかるうえ、思わぬ反論を受けたり、意図せぬ判決となるリスクもあります。このあたりの方針の検討については、弁護士に相談するなどして、慎重に行うべきでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る