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話が"一方通行"な警察官、質問答えず「我々が見たので違反」 50代男性、怒りの徹底抗戦
2023年06月04日 09時23分

自動車を運転していて、交通違反の取り締まりを受けた際、警察官から納得できない説明をされても、そのまま素直に交通切符を受け取れるだろうか。

弁護士ドットコムのLINEには「現場がまったく見えない所から近づいてきた警官に呼び止められ、一時停止違反と指摘された」という男性(50代)が体験談を寄せてくれた。

男性は、その場では交通切符(青切符)を受け取ったものの納得ができず、否認して反則金を納めず違反事実はなかったとして争う構えだ。

その時なにが起きたのか。男性とともに現場を訪れ、当時の状況を振り返ってもらった。(編集部・若柳拓志)

自動車を運転していて、交通違反の取り締まりを受けた際、警察官から納得できない説明をされても、そのまま素直に交通切符を受け取れるだろうか。

弁護士ドットコムのLINEには「現場がまったく見えない所から近づいてきた警官に呼び止められ、一時停止違反と指摘された」という男性(50代)が体験談を寄せてくれた。

男性は、その場では交通切符(青切符)を受け取ったものの納得ができず、否認して反則金を納めず違反事実はなかったとして争う構えだ。

その時なにが起きたのか。男性とともに現場を訪れ、当時の状況を振り返ってもらった。(編集部・若柳拓志)

●どのような現場か

画像タイトル 現場の俯瞰図

男性は2023年1月、午前10時過ぎに神奈川県川崎市内の交差点を過ぎてすぐの県道に出たところで、一時停止違反を理由に警察官2人による取り締まりを受けた。

交差点は、男性の走行していた片側一車線の道路と、生活道路と県道が交わる丁字路。二つの細い道路側にそれぞれ一時停止の道路標識および路面標示がある。

一時停止地点から県道との合流地点までの距離はわずかなうえ、合流直前には横断歩道もある。現場を通る車を見ていると、完全に停止しない車や「とまれ」を素通りする車も少なからずいた。

県道は鶴見と溝の口を結ぶ幹線道路で、付近にはチェーンの飲食店などが並び、通行量が多い。児童の通学路にもなっており、午後2時ごろには列をなした小学生が次々と横断歩道を渡っていた。

●取り締まり時「どこから見ていたの?」

男性は当時の状況について「自分としては減速して止まり、安全確認をしました。その後県道との合流地点まで進みましたが、その間歩行者は数人いたものの、警察官なんてどこにもいませんでした」と振り返る。

県道に合流してすぐの交差点で信号待ちをしていたら、男性の車両後方からバイク(スクーター)が向かってきたという。横に来て窓をノックされて、警察官に「今止まってませんでしたよね」と声をかけられた。

もし合流地点から見て県道側の車線後方にいた場合、建物があって一時停止地点を観察することはできないというのが男性の主張だ。

「県道側周辺で観察できそうな場所に警察官は見当たりませんでした。どこから違反した瞬間を見ていたのでしょうか」

男性の車にはドライブレコーダーはなく、一時停止していたかどうかや周辺に警察官がいたかどうかを確認するための映像は手元にはない。

●見ていた場所を尋ねるも…「聞いても教えてくれない」

納得できない男性は、後日、交番に行って別の警察官に一時停止違反の確認方法について質問。「真横から見てタイヤが回っているかどうかで停止の有無を確認する」と説明された。

男性としては、真横から見られたのであれば、あるいは観察していた場所を教えてもらえれば、取り締まり方法としては納得できる。しかし、警察官にどこで見ていたのかと尋ねても教えてもらえず、終始威圧的な態度だったことにも不満があるという。

「『我々は見ました。あれでは停止したとはいえません』の一点張りです。質問しても全部遮って、『あなた、一時停止は守らなければならないと教習所で習いましたよね』など言われるばかりでした。

たとえばタイヤを真横から見られる場所に立っていて『違反です』と言われれば、まだ納得もできたと思います。しっかりと見える場所から見ていたという証拠を出してほしいです」

男性は、所轄の警察署に電話で「取り締まりについて争う、否認する」と主張。警察職員から、取り締まりを担当した警察官の聴取などはすでに終わっていると説明があり、今後の対応については検察庁からの連絡を待っている状態だ。

男性は違反事実について否認するため、反則金を支払っていない。このように「無実」を主張する場合には、刑事手続きに進んで争う必要がある。反則金の納付で事件が終結する交通反則通告制度による手続きを拒む形となる。

●男性の危機感「いくらでも犯罪者を作ることができてしまうのではないか」

男性は、取材に対し、取り締まりを受けたこと自体に対する不満は口にせず、「取り締まり方法の不透明さ」を指摘し続けた。

「どうして警察官がどこにいてどのような違反を見たのかを説明できないのか。これで違反になるなら、警察は『お前やっただろう』と言って、いくらでも違反を、犯罪者をつくることができる。それは絶対におかしいと思います」

一時停止違反については、道路交通法では「一時停止しなければならない」と定められているのみで、「何秒間止まらなければならない」という明確な基準を設けているわけではないため、一時停止したか否かで議論になりやすい。

警察は絶大な権限を背景に、法にのっとって交通違反を取り締まる。一時停止違反を現認したのだとしても、ドライバーが「停止した」と訴えているのであれば、違反事実について丁寧な説明を尽くすことも重要だろう。「当事者双方が納得できる取り締まり」こそ、あるべき警察対応の姿ではないだろうか。

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