15745.jpg
アイルランド国民が「同性婚」に賛成投票ーーゲイの南弁護士が「気がかりな点」とは?
2015年05月24日 13時07分

アイルランドの国民は同性婚に「賛成」——。5月23日に開票された国民投票で、62%が「同性婚を認める憲法改正」に賛成票を投じた。同性婚の是非が「国民投票」という形で問われたのは、世界で初めてとあり、欧米の主要メディアがトップニュースとして結果を報じた。

アイルランドのメディアは、同性婚の実現を祝う「賛成派」の熱気を繰り返し伝えた。公共放送「アイルランド放送協会」は、女性同士のカップルがテレビカメラの前で熱いキスをし、プロポーズの言葉を伝える場面を報じた。

アイルランドは保守的とされるカトリック教徒が多い国で、同性愛は22年前まで「犯罪」とされていた。そんな国での国民投票だけに、大きな注目を集めていたのだ。

自らゲイであることを公表している南和行弁護士は、ニュースを見て「本当によかった」と喜びの声をもらした。その一方で、南弁護士には「気がかりな点」が2つあるという。それは何だろうか?

アイルランドの国民は同性婚に「賛成」——。5月23日に開票された国民投票で、62%が「同性婚を認める憲法改正」に賛成票を投じた。同性婚の是非が「国民投票」という形で問われたのは、世界で初めてとあり、欧米の主要メディアがトップニュースとして結果を報じた。

アイルランドのメディアは、同性婚の実現を祝う「賛成派」の熱気を繰り返し伝えた。公共放送「アイルランド放送協会」は、女性同士のカップルがテレビカメラの前で熱いキスをし、プロポーズの言葉を伝える場面を報じた。

アイルランドは保守的とされるカトリック教徒が多い国で、同性愛は22年前まで「犯罪」とされていた。そんな国での国民投票だけに、大きな注目を集めていたのだ。

自らゲイであることを公表している南和行弁護士は、ニュースを見て「本当によかった」と喜びの声をもらした。その一方で、南弁護士には「気がかりな点」が2つあるという。それは何だろうか?

●人権は「多数決」で決めて良い?

「ひとつめは『同性婚を認めるかどうかという問題は、単純な多数決で決めていい問題なのか』という点です。

同性婚を認めるかどうかは、同性カップルが結婚する権利、つまり『人権』をどう保障するかという問題です。単純な多数決で少数者の人権を認めることができるということは、逆に多数決で人権を認めないことも容認できる、ということにならないでしょうか。

今回はたまたま権利が認められたから良かったですが、もし反対派がちょっと多くて憲法改正が否決されていたらどうでしょう。『少数者の人権はなくていい』と、考える人がちょっとでも多ければ、人権が否定されてもいいのでしょうか。そう考えると、多数決という方法には、一抹の不安を感じました」

●「憲法改正」という点への懸念

「もうひとつが、今回のニュースが日本で報じられたとき、『憲法を改正しなければ、同性婚ができない』という形で理解されなければいいなという点です。

アイルランドと日本では憲法の中身も、改正の手続きも違うのですが、単純に同列に考える人が出てきてしまうのではないか、と。

もし日本で同性婚を認めるために憲法改正が必要だとすると、同性婚の実現が遠のいてしまう可能性があると思います」

日本国内でも「同性婚を認めるためには、憲法を改正しなければならない」という見解があるが・・・。結婚について定めた憲法24条について、南弁護士は次のように話していた。

「日本では憲法改正をしなくても、同性婚を認める法律をつくることができると思います。憲法24条は『両性』という言葉を用いていますが、同性婚を否定も肯定もしていないと解釈することが可能だからです」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る