16060.jpg
帰宅したら、元カノがいた! 勝手に合鍵を作って、家に出入り…罪になる?
2019年07月02日 09時39分

勝手に彼女の部屋の合鍵を作って、部屋に入ってしまったーー。「ばれなければ罪にならないのでしょうか」と尋ねる相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者は2年ほど交際している彼女がいます。しかし、ほとんど部屋に入れてくれないため浮気を疑い、勝手に合鍵を作ってしまいました。

手帳を見ると、自分以外の男性としばしば会っていることも分かりました。「証拠を掴みたくなり、数回侵入して経過観察をしています」と言います。

逆に「元交際相手に合鍵を勝手に作られた」という相談もありました。相談者の男性は、別れた際に元カノから合鍵を返してもらっていましたが、数日後、家に帰ると、なぜか元カノが部屋の中にいました。元カノは勝手に、もう一つ合鍵を作っていたそうです。

交際相手の合鍵を相手に無断で作って、部屋に入る行為は、法的に問題になるのでしょうか。星野学弁護士に聞きました。

勝手に彼女の部屋の合鍵を作って、部屋に入ってしまったーー。「ばれなければ罪にならないのでしょうか」と尋ねる相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者は2年ほど交際している彼女がいます。しかし、ほとんど部屋に入れてくれないため浮気を疑い、勝手に合鍵を作ってしまいました。

手帳を見ると、自分以外の男性としばしば会っていることも分かりました。「証拠を掴みたくなり、数回侵入して経過観察をしています」と言います。

逆に「元交際相手に合鍵を勝手に作られた」という相談もありました。相談者の男性は、別れた際に元カノから合鍵を返してもらっていましたが、数日後、家に帰ると、なぜか元カノが部屋の中にいました。元カノは勝手に、もう一つ合鍵を作っていたそうです。

交際相手の合鍵を相手に無断で作って、部屋に入る行為は、法的に問題になるのでしょうか。星野学弁護士に聞きました。

●原則、合鍵を作っただけで処罰されることはないが…

交際相手の合鍵を相手に無断で作る行為は、どうでしょうか。

「合鍵を無断で作っただけの場合、通常は法的問題が生じることはないでしょう。『合鍵を作ってはいけない』という法律は存在しないので、原則として合鍵を作っただけで処罰されることはありません。

しかし、例外的に犯罪の準備行為を処罰する予備罪というものがあります。したがって、例えば、別れた交際相手を殺すため(殺人罪)、嫌がらせをしようと家に火をつけるため(放火罪)に合鍵を作ったなどの事情がある場合には予備罪として処罰される可能性があります。

少し話が変わりますが、賃貸物件の場合、一般的には、部屋の「鍵」は大家さんのものであって賃借人に貸しているだけです。したがって、通常の賃貸借契約では、大家さん(あるいは管理会社)の承諾を得ないで鍵の複製・交換をしてはいけませんし、契約終了時には鍵を大家さんに返還しなければならないと定められています。

そのため、交際相手が合鍵を無断で作った場合、そもそも鍵の管理が不十分だったから合鍵を作られてしまったんだという理屈から、『鍵』及び『錠』の交換費用を請求される可能性があります」

●無断で作って家に入ったら「住居侵入罪」の可能性

合鍵を無断で作って勝手に家に入った場合は、どうでしょうか。

「合鍵を無断で作っただけでなく、その合鍵を使って交際相手の自宅に許可を得ずに入れば住居侵入罪が成立する可能性があります。

さらに、例えば、浮気の証拠となる物品を持ち帰れば窃盗罪が成立する可能性もあります。

犯罪が成立するとされるためには様々な事情が考慮されますが、単に交際中だとか交際相手の浮気調査のためだという事情があるからといって許可無く家に入って良いということにはなりません」

●損害賠償は「難しい」

合鍵を無断で作られたことを理由に、損害賠償請求はできるのでしょうか。

「一般論を言えば、合鍵を無断で作られれば『気持ち悪い』『怖い』という感情を抱くのが普通ですが、それは漠然とした不安感にとどまり、何か具体的な損害が生じたわけではありません。したがって、このような場合に損害賠償を請求しても、それが認められることはないでしょう。

ただし、例外的に損害賠償請求が認められる場合もあります。

例えば、元交際相手からストーカー行為を繰り返されている場合、あるいは元交際相手から暴力を振われて逃げてきたなどの場合は、無断で合鍵を作ってそれを伝える行為が『いつでもお前の家に入れるんだ』という脅迫行為であると捉えることができます。

このような場合には、合鍵を無断で作られたことを理由に損害賠償請求をすることができるでしょう」

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る