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痴漢の冤罪、もし疑われた時にはどのように対応すべきか
2012年07月27日 14時48分

もし身に覚えの無い痴漢の疑惑をかけられてしまった場合、どのように対応すべきなのだろうか。

近年、痴漢冤罪をテーマにした映画が上映されたり、報道番組で冤罪被害者のドキュメントが取り上げられるなどの影響によって、冤罪について関心をもった人は少なくないであろう。実際に冤罪にあわないよう、意識して行動している人もいるかもしれない。

一般的に痴漢の疑惑をかけられてしまう状況としては、やはり混雑した電車に乗っている時が多いと思われるが、通勤ラッシュの時間帯などではどうしても隣の人との身体の接触を避けることが難しい場面がある。つまり、残念ながらほとんどの人にとって痴漢の冤罪にあうリスクは身近に存在するということだ。

はたして、冤罪によって人生を狂わされないためにはどうしたらよいのだろうか。痴漢の疑惑をかけられた場合の対応として、「名刺などで連絡先だけ伝えて立ち去るべき」「その場に残って徹底して否定すべき」など、いくつかの方法が通説として存在しているが、これらは本当に正しい対応なのだろうか。刑事事件に詳しい馬場龍行弁護士に聞いた。

「最も大切なのは、即座に、冷静かつ真剣に否定することです。痴漢の冤罪は突如として巻き込まれてしまうものですので、その瞬間、頭が真っ白になったり、屈辱感や恐怖心などで興奮状態になってしまう可能性がありますが、努めて冷静に対応すべきです。怒りも沸くかもしれませんが、被害者を罵倒するような発言は慎む方が良いでしょう。」

「名刺などで連絡先を伝えて立ち去るという方法は、軽微な犯罪について現行犯逮捕の要件を加重した刑訴法217条の趣旨に基づくものですが、痴漢は同条が定める軽微な犯罪には当たりません。穏便に立ち去ることが出来るのであれば、そうするにこしたことはありません。そのまま逮捕されてしまうと、長期間身体を拘束されるリスクがあるためです。そうはいっても、『痴漢です』と声を上げた被害者や周囲の人々が、名刺等を渡しただけで立ち去ることを簡単に許してくれるような状況はあまりないでしょう。」

「ではどうすれば良いかというと、その場から穏便に立ち去ることを最終目標としつつ、その場で冷静に否定する、自分の身元を明らかにする、駅員室には行かない、携帯で家族等に連絡する、警察が出てきたような場合には弁護士に連絡する、のがベストです。立ち去ることが出来た場合には、電車内での自分、被害者、周囲の人の立ち位置等をメモしておいた方が良いでしょう。」

「なお、『全力で逃げる』という方法を聞くことがあります。人質司法と呼ばれる刑事司法運用問題の根深さを示唆するものですが、逃げ切れなかったときのリスクが大きすぎるのでお勧めしません。」

残念ながら実際に痴漢行為を犯す者がいる以上、強い警戒心を抱いて生活している人がいるのは無理もないことであるが、一方で冤罪によって大きな苦しみを味わうことになってしまった人がいることも事実である。

痴漢の根絶という根本的な解決にはならない話ではあるが、万が一冤罪によって人生に傷跡を残すことがないよう、もしもの場合の正しい対応は認識しておきたい。

(弁護士ドットコムニュース)

もし身に覚えの無い痴漢の疑惑をかけられてしまった場合、どのように対応すべきなのだろうか。

近年、痴漢冤罪をテーマにした映画が上映されたり、報道番組で冤罪被害者のドキュメントが取り上げられるなどの影響によって、冤罪について関心をもった人は少なくないであろう。実際に冤罪にあわないよう、意識して行動している人もいるかもしれない。

一般的に痴漢の疑惑をかけられてしまう状況としては、やはり混雑した電車に乗っている時が多いと思われるが、通勤ラッシュの時間帯などではどうしても隣の人との身体の接触を避けることが難しい場面がある。つまり、残念ながらほとんどの人にとって痴漢の冤罪にあうリスクは身近に存在するということだ。

はたして、冤罪によって人生を狂わされないためにはどうしたらよいのだろうか。痴漢の疑惑をかけられた場合の対応として、「名刺などで連絡先だけ伝えて立ち去るべき」「その場に残って徹底して否定すべき」など、いくつかの方法が通説として存在しているが、これらは本当に正しい対応なのだろうか。刑事事件に詳しい馬場龍行弁護士に聞いた。

「最も大切なのは、即座に、冷静かつ真剣に否定することです。痴漢の冤罪は突如として巻き込まれてしまうものですので、その瞬間、頭が真っ白になったり、屈辱感や恐怖心などで興奮状態になってしまう可能性がありますが、努めて冷静に対応すべきです。怒りも沸くかもしれませんが、被害者を罵倒するような発言は慎む方が良いでしょう。」

「名刺などで連絡先を伝えて立ち去るという方法は、軽微な犯罪について現行犯逮捕の要件を加重した刑訴法217条の趣旨に基づくものですが、痴漢は同条が定める軽微な犯罪には当たりません。穏便に立ち去ることが出来るのであれば、そうするにこしたことはありません。そのまま逮捕されてしまうと、長期間身体を拘束されるリスクがあるためです。そうはいっても、『痴漢です』と声を上げた被害者や周囲の人々が、名刺等を渡しただけで立ち去ることを簡単に許してくれるような状況はあまりないでしょう。」

「ではどうすれば良いかというと、その場から穏便に立ち去ることを最終目標としつつ、その場で冷静に否定する、自分の身元を明らかにする、駅員室には行かない、携帯で家族等に連絡する、警察が出てきたような場合には弁護士に連絡する、のがベストです。立ち去ることが出来た場合には、電車内での自分、被害者、周囲の人の立ち位置等をメモしておいた方が良いでしょう。」

「なお、『全力で逃げる』という方法を聞くことがあります。人質司法と呼ばれる刑事司法運用問題の根深さを示唆するものですが、逃げ切れなかったときのリスクが大きすぎるのでお勧めしません。」

残念ながら実際に痴漢行為を犯す者がいる以上、強い警戒心を抱いて生活している人がいるのは無理もないことであるが、一方で冤罪によって大きな苦しみを味わうことになってしまった人がいることも事実である。

痴漢の根絶という根本的な解決にはならない話ではあるが、万が一冤罪によって人生に傷跡を残すことがないよう、もしもの場合の正しい対応は認識しておきたい。

(弁護士ドットコムニュース)

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