16312.jpg
ワクチン冷蔵庫「#プラグを抜こう」が話題、本当にやったらどうなるの?
2021年06月28日 15時03分

温度管理が難しいとされる新型コロナウイルスワクチン。接種が本格化した5月下旬以降、ミスによるワクチン廃棄の報道も頻繁に目にするようになった。

中でも多い類型の一つが、ワクチンを保管する冷蔵庫・冷凍庫のプラグが抜けていたというもの。ツイッターには「#プラグを抜こう」というハッシュタグも見られることから、意図的な行為を疑う声もある。

温度管理が難しいとされる新型コロナウイルスワクチン。接種が本格化した5月下旬以降、ミスによるワクチン廃棄の報道も頻繁に目にするようになった。

中でも多い類型の一つが、ワクチンを保管する冷蔵庫・冷凍庫のプラグが抜けていたというもの。ツイッターには「#プラグを抜こう」というハッシュタグも見られることから、意図的な行為を疑う声もある。

●時事通信の記事が話題に

時事通信は6月28日、「全国で相次ぐプラグ抜け ワクチン冷蔵庫、廃棄原因に―ネットで呼び掛けも」というタイトルの記事を配信。問題が起きた自治体や冷蔵庫メーカーなどを取材し、「自然に抜けたとも考えづらい」などのコメントを紹介している。

時事通信が記事であげただけでも、プラグ抜けが起きた自治体は大阪府寝屋川市や兵庫県芦屋市、神戸市、横浜市など、8自治体にもなる。

このほかでは、大阪府堺市でも6月1日と10日、接種会場のホテルで冷蔵庫の電源が切れて、計666人分のワクチンが廃棄となっている。1日はホテル側が誤って電源のブレーカーを落としてしまったとのことだが、10日のほうは原因不明だという。

誤ってコードを踏んでしまうなどのケースも考えられ、本当に単なるミスなのかもしれないが、もしもわざとプラグが抜かれていた場合はどういう罪になるのだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。

●業務妨害や器物損壊になりうる

あまり考えたくない話ですが、仮にわざとプラグが抜かれていた場合を想定して解説したいと思います。

わざとプラグを抜く行為によって、接種会場における接種作業という業務が滞る(妨害される)おそれがあることは明らかですから、偽計業務妨害罪(刑法233条)が成立し得ます。

また、プラグを抜くことによって、温度管理ができなくなるとワクチンが廃棄処分となることはニュース報道等によって世間で広く知られていることですから、器物損壊罪(刑法261条)も成立し得ます。

●どのくらいの罰になる?

このように、プラグを抜く行為という1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合を観念的競合(刑法54条1項前段)といいます。

観念的競合の処罰については、その最も重い刑により処断するとされます(同項。吸収主義)ので、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の範囲で処罰されることとなります。

●接種するかどうかは自由、でも妨害はNG

ワクチンをめぐっては誤情報等も飛び交っていますし、ワクチン接種をするかどうかは個人の判断に委ねられているはずなのです。ただ、ワクチン接種を希望する人や接種行為に従事している人に迷惑をかけるような行為は許されません。

上記解説のようにプラグを抜く行為は犯罪行為に該当し得る行為なので、万一そのようなことをすれば、検挙されるおそれがあることを強く自覚していただきたいと思います。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る