16370.jpg
盗撮魔に「2度とするな」と説教してお金要求…「盗撮ハンター」は正義の味方か?
2019年06月24日 10時05分

男性2人組に盗撮行為を見とがめられ、50万円を支払った人が弁護士ドットコムに質問を寄せました。

相談者は、商業施設内で盗撮しました。その後、2人組の男に声をかけられ「要求に従えば何もしない」と伝えられたそうです。要求された50万円を渡し、動画を自分で削除。男たちは「2度とこんなことをしないように」と相談者を叱った上で、解放したといいます。

男性は「自分に非があることは重々承知はしていますが、盗撮ハンターと思わしき2人にも恐喝は成立しないのでしょうか」と聞いています。

「盗撮ハンター」たちの行為は「恐喝」など何らかの罪にあたるのでしょうか。西浦善彦弁護士に聞きました。

男性2人組に盗撮行為を見とがめられ、50万円を支払った人が弁護士ドットコムに質問を寄せました。

相談者は、商業施設内で盗撮しました。その後、2人組の男に声をかけられ「要求に従えば何もしない」と伝えられたそうです。要求された50万円を渡し、動画を自分で削除。男たちは「2度とこんなことをしないように」と相談者を叱った上で、解放したといいます。

男性は「自分に非があることは重々承知はしていますが、盗撮ハンターと思わしき2人にも恐喝は成立しないのでしょうか」と聞いています。

「盗撮ハンター」たちの行為は「恐喝」など何らかの罪にあたるのでしょうか。西浦善彦弁護士に聞きました。

●盗撮ハンター「恐喝罪」に該当する可能性

「相談のケースでは、男性2人組の行為は、恐喝罪に該当する可能性があると考えます。刑法は『人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する』(第246条第1項)としています。

ここにいう『恐喝』とは、人に暴力を加えたり、被害を及ぼすことを伝えることで金銭などを要求することを言います。

今回のケースでは、盗撮ハンターは、相談者に『要求に従えば何もしない』と伝えており、要求に従わないと110番通報することをほのめかしています。

確かに、盗撮のような迷惑防止条例違反の犯罪を捜査機関に通報することは、一市民として推奨される行為ですが、仮に正当な行為であっても、相手の弱みに付け入り金銭を要求した場合、恐喝に当たる可能性があるのです。

男たちは『2度とこんなことをしないように』と相談者を叱ったとのことですが、自分たちが恐喝をしておきながら、金八先生、または、正義の味方のように振る舞うことに腹が立ちますね」

民事で、返金を求めることは可能でしょうか。

「相談者が『通報されたくない』という恐怖により冷静さを欠いて、50万円を渡してしまったことが立証でき、かつ2人組の氏名と住所がわかれば、民事訴訟において、この金額を取り戻せる可能性があると考えます」

●今も後悔する、ある盗撮事件

そもそもの原因である「盗撮」も許されませんが、「盗撮ハンター」をする人たちがいることにも驚きます。

「私がかつて経験した美人局の事件では、男女のグループが巧妙な手口を用いて若い男性を騙すものでした。今回のケースでは、2人組の男性が知人の女性にあえて短いスカートを履かせて階段を歩かせるということがなかったか、商業施設の防犯カメラなどを確認するなどしてみてはいかがでしょうか。

私が弁護士1年目の頃、三軒茶屋駅でドラゴンボールのレッドリボン軍のTシャツを着た男が女子高生のスカートの中を携帯カメラで盗撮している場面を目の前で目撃し、当時若かった私は、何も声を上げることができませんでした。

今発見したら、こっぴどく叱るはずですが、それが悔しくて、以後、三軒茶屋に行った時は、目を皿のようにしてレッドリボン軍を探しています。盗撮している人物に声をかけることはそれなりに勇気のいる行動であり、正義感ある行動であるはずです。それだけにこれを逆毛にとって、金銭を脅し取るような行動は放置したくありませんね」

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る