16398.jpg
ふるさと納税でお墓掃除や空き家管理…豪華返礼品より、故郷とのつながり大切に
2018年05月19日 09時58分

ブランド牛やイクラ、ウニなどを目当てに、縁もゆかりもない自治体に対し、ふるさと納税をする人は多い。ただ、寄付額に対してお礼の品の額が高すぎたり、地元と無関係な品物をお礼としたりする自治体が相次ぎ、問題視する総務省は引き締めを図っている。そうしたなか、「豪華返礼品」に頼らないサービスが注目を集めつつある。

ブランド牛やイクラ、ウニなどを目当てに、縁もゆかりもない自治体に対し、ふるさと納税をする人は多い。ただ、寄付額に対してお礼の品の額が高すぎたり、地元と無関係な品物をお礼としたりする自治体が相次ぎ、問題視する総務省は引き締めを図っている。そうしたなか、「豪華返礼品」に頼らないサービスが注目を集めつつある。

●お墓掃除、代わりにやります

「故郷を離れている方の代わりに、お墓参りを行います」

NHKの朝ドラ「てっぱん」の舞台にもなった広島県尾道市。5月10日から、お墓掃除の代行サービスを、お礼として選べるようにした。1万4000円から4万2000円まで3種類のプランがあり、4万2000円の「墓掃除Cプラン」では尾道市内のお墓3区画(3畳分)で除草や供花を行い、作業終了前後の写真を送る。作業はシルバー人材センターが担当する。

各地でも同様のサービスは少しずつ広がっている。千葉県君津市では、1万円の寄付でお墓(1区画、4平方m程度)の水垢や苔などを手作業で洗浄して除去し、草取りやゴミ拾い、線香のお供え、作業前後の写真郵送も行う。

●1万円の寄付で空き家見守ります

放置する危険性が全国的に指摘される「空き家」についても、代わりに見守りをするサービスを寄付のお礼とする自治体が増えている。

別荘地として知られる栃木県那須町。4月から、1万円の寄付で、空き家見守りサービスの提供を始めた。内容は、建物の外観チェックや郵便物チェック、報告書の送付など。寄付が3万円なら、敷地内の草刈り(2人で2時間半程度)もついてくる。

那須町企画財政課の担当者は「空き家を放置しておくと危険で、景観の保持という観点からも問題があると考えた」と話した。

愛媛県東温市でも4万5000円の寄付で、寄付者が希望する時期に3回、3人の作業員が2時間にわたり空き家の異常確認や換気、郵便物の転送などを行っている。

●総務省、返礼品競争に眉ひそめる

総務省は4月1日、地方自治法を根拠に、「ふるさと納税の返礼品は原則として地場産品にするように」との通知を、各都道府県知事に向けて出した。白熱する返礼品競争に眉をひそめる総務省による「お達し」だが、どの程度の引き締め効果を生むかはまだわからない。

ただ、地方を中心に過疎化が進み、空き家問題も深刻さを増している。返礼品の豪華さに隠れたとしても、確実に需要が見込めるお墓掃除の代行や空き家見守りサービスは、じわじわと広がっていきそうだ。

(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る