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Facebookにアップした写真、無断使用にご注意を
2012年11月02日 16時11分

Facebookに写真をアップすると、瞬く間にたくさんの友人・知人から「いいね!」やコメントがつくので、写真を撮って公開するのが楽しくなってきたという話をよく聞く。

こうした楽しさの延長からか、声高に個人情報保護が叫ばれる時代であるにも関わらず、Facebook上では頻繁にプライベートな写真が共有されている。Facebookが実名での利用を義務づけているため、変な人はいないだろうという安心感や、またはログインしないと外部から閲覧できない「閉ざされた空間」だからという理由もあるのかもしれない。

しかし閉ざされているといっても、自分以外の他人が存在することに変わりはない。投稿内容の公開範囲を限定していないと、アップした写真は見ず知らずのFacebookユーザーからでも閲覧可能な状態にあることを忘れてはならない。

女性向けウェブサイトに掲載された一般女性のファッションスナップが勝手にダウンロードされ、風俗店のホームページであたかもその店で働いている女性かのように無断使用されていたという事例もある。公開範囲を限定していないと、Facebookにアップされた写真でも同じような事態が起こる可能性は十分ある。もし自身の写真が上記の例のように無断で使用された場合、肖像権の侵害として、無断で使用した者に損害賠償を求めることができるのだろうか。秋山直人弁護士に話を聞いた。

●無断使用された場合は、損害賠償請求が認められる可能性がある

「撮影された肖像写真をみだりに公表されないという人格的利益は、『肖像権』の一種として、法的に保護されるものと考えられています。」

「従って、自身が写ったプライベートなスナップ写真をFacebookのようなSNSにアップしたところ、無断で風俗店のホームページに使用されたような場合には、肖像権侵害を理由とする損害賠償請求が認められる可能性は相当程度あると言えます。」

「実際に、出会い系サイトの広告に顔写真を無断で使用された女性が広告制作会社や写真家を訴え、肖像権侵害を理由に慰謝料等120万円の賠償が命じられている裁判例も出ています(東京地裁平成17年12月16日判決)。」

●相手の実態が不明だと、実際に賠償金を回収するのは難しいことが多い

「しかし、理屈の上では損害賠償請求ができるとしても、実際に賠償金を回収するまでには大変な苦労があるのが通常です。まず、スナップ写真を無断で使用したのが誰なのかが分からないといけません。怪しげな風俗サイトなどでは、そもそもこの点がはっきりしないことが多いでしょう。仮に相手の住所・氏名が特定できたとしても、相手の財産など分かりようがない中、判決を取って強制執行するまでは難しいことが多く、開き直られるとどうしようもないこともあるでしょう。」 

●安全を期したい場合は、アップした写真の公開範囲を友人のみに制限するなどの対策を

つまり、自身がアップした写真が無断使用された場合には、理屈上では損害賠償を請求することはできるものの、秋山弁護士が指摘しているとおり、相手の実態が分からない場合には賠償金の回収が難しく、結果的に泣き寝入りせざるを得ないかもしれないということだ。

自身の安全のためにも、Facebook上にプライベートな写真を掲載する場合には、公開範囲を友人までに留めるなど、できる限りの注意を払った方が賢明であろう。

(弁護士ドットコムニュース)

Facebookに写真をアップすると、瞬く間にたくさんの友人・知人から「いいね!」やコメントがつくので、写真を撮って公開するのが楽しくなってきたという話をよく聞く。

こうした楽しさの延長からか、声高に個人情報保護が叫ばれる時代であるにも関わらず、Facebook上では頻繁にプライベートな写真が共有されている。Facebookが実名での利用を義務づけているため、変な人はいないだろうという安心感や、またはログインしないと外部から閲覧できない「閉ざされた空間」だからという理由もあるのかもしれない。

しかし閉ざされているといっても、自分以外の他人が存在することに変わりはない。投稿内容の公開範囲を限定していないと、アップした写真は見ず知らずのFacebookユーザーからでも閲覧可能な状態にあることを忘れてはならない。

女性向けウェブサイトに掲載された一般女性のファッションスナップが勝手にダウンロードされ、風俗店のホームページであたかもその店で働いている女性かのように無断使用されていたという事例もある。公開範囲を限定していないと、Facebookにアップされた写真でも同じような事態が起こる可能性は十分ある。もし自身の写真が上記の例のように無断で使用された場合、肖像権の侵害として、無断で使用した者に損害賠償を求めることができるのだろうか。秋山直人弁護士に話を聞いた。

●無断使用された場合は、損害賠償請求が認められる可能性がある

「撮影された肖像写真をみだりに公表されないという人格的利益は、『肖像権』の一種として、法的に保護されるものと考えられています。」

「従って、自身が写ったプライベートなスナップ写真をFacebookのようなSNSにアップしたところ、無断で風俗店のホームページに使用されたような場合には、肖像権侵害を理由とする損害賠償請求が認められる可能性は相当程度あると言えます。」

「実際に、出会い系サイトの広告に顔写真を無断で使用された女性が広告制作会社や写真家を訴え、肖像権侵害を理由に慰謝料等120万円の賠償が命じられている裁判例も出ています(東京地裁平成17年12月16日判決)。」

●相手の実態が不明だと、実際に賠償金を回収するのは難しいことが多い

「しかし、理屈の上では損害賠償請求ができるとしても、実際に賠償金を回収するまでには大変な苦労があるのが通常です。まず、スナップ写真を無断で使用したのが誰なのかが分からないといけません。怪しげな風俗サイトなどでは、そもそもこの点がはっきりしないことが多いでしょう。仮に相手の住所・氏名が特定できたとしても、相手の財産など分かりようがない中、判決を取って強制執行するまでは難しいことが多く、開き直られるとどうしようもないこともあるでしょう。」 

●安全を期したい場合は、アップした写真の公開範囲を友人のみに制限するなどの対策を

つまり、自身がアップした写真が無断使用された場合には、理屈上では損害賠償を請求することはできるものの、秋山弁護士が指摘しているとおり、相手の実態が分からない場合には賠償金の回収が難しく、結果的に泣き寝入りせざるを得ないかもしれないということだ。

自身の安全のためにも、Facebook上にプライベートな写真を掲載する場合には、公開範囲を友人までに留めるなど、できる限りの注意を払った方が賢明であろう。

(弁護士ドットコムニュース)

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