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亡き夫が残した暗号資産「パスワードわからない」、相続は? デジタル遺産、生前に備えておくべきポイント
2025年03月23日 09時20分
#相続 #ビットコイン #仮想通貨 #デジタル遺産

暗号資産、いわゆる仮想通貨を運用する人が近年増えており、中高年の間にも広まっています。それに伴い、家族が遺した電子マネーなどの「デジタル遺産」についての悩みも増えているようです。

弁護士ドットコムには、夫を亡くした女性から、こんな相談が寄せられています。

「亡くなった主人が暗号資産の取引所で取引をしていましたが、パスワードがわからず、ログインできません。このまま諦めるしかないのでしょうか」

また、「家族に遺産をのこしたい」という人からは、「財産の一部が暗号資産なのですが、問題なく相続できますか」といった相談も寄せられています。

通常の銀行口座などと異なり、相続が難しそうなイメージのある暗号資産などの「デジタル遺産」。相続にそなえて、何をしておけば良いのでしょうか。

士業専門家集団「BAMBOO INCUBATOR」でデジタル遺産プロジェクトチームに所属している中野仁弁護士に聞きました。

暗号資産、いわゆる仮想通貨を運用する人が近年増えており、中高年の間にも広まっています。それに伴い、家族が遺した電子マネーなどの「デジタル遺産」についての悩みも増えているようです。

弁護士ドットコムには、夫を亡くした女性から、こんな相談が寄せられています。

「亡くなった主人が暗号資産の取引所で取引をしていましたが、パスワードがわからず、ログインできません。このまま諦めるしかないのでしょうか」

また、「家族に遺産をのこしたい」という人からは、「財産の一部が暗号資産なのですが、問題なく相続できますか」といった相談も寄せられています。

通常の銀行口座などと異なり、相続が難しそうなイメージのある暗号資産などの「デジタル遺産」。相続にそなえて、何をしておけば良いのでしょうか。

士業専門家集団「BAMBOO INCUBATOR」でデジタル遺産プロジェクトチームに所属している中野仁弁護士に聞きました。

●こんなにある! 多様な「デジタル遺産」

——まず、デジタル遺産とはどのようなものなのでしょうか。

広義のデジタル遺産(遺品)には、財産的価値がある狭義のデジタル遺産と、財産的な価値のない故人のメッセージや動画・写真等の狭義のデジタル遺品があると思います。

法的な相続の対象としては、財産的価値のある、前者の狭義のデジタル遺産になると思いますが、ビットコインのような暗号資産の他、NFTや、セキュリティトークンのようなデジタル証券、電子マネー、そして、ポイントや飛行機のマイレージなどもこの狭義のデジタル遺産といえると思います。

その他、ブログやYouTube等で、アドセンス(広告)収入、アフィリエイト収入があった場合、そのアカウントを相続で引き継ぐことができるか等も問題となると思います。

他方、財産的な価値のないSNSアカウント、Googleアカウント、AppleIDなどの引継ぎについてもその可否や方法について、サービスごとに異なった扱いがされています。

●パスワードがわからないと相続できない場合も

——最初の相談者の女性ですが、パスワードなどの情報がない場合、亡くなった夫の暗号資産を相続することはやはり難しいのでしょうか。

狭義のデジタル遺産、特に暗号資産については、暗号資産取引所のような機関に預けているものは、銀行預金のような通常の遺産の相続手続きと似ている部分が多く、必ずしも亡くなった方のパスワード等なければ相続手続きができないわけではありません。

各取引所のウェブサイト等に相続手続の記載があることもあるので、確認の上、対応していくのがよいと思います。

他方で、暗号資産については、暗号資産取引所のような機関に預けず、MetaMaskのような自分のウォレットで管理し、取引をする場合もあり、この場合は、ブロックチェーン上の資産を自分で管理していることになるので、管理に必要な情報を忘れてしまった場合は厄介なことになります。

この場合、パスワードかシークレットリカバリーフレーズがあれば対応ができる可能性がありますが、いずれも不明だと、復旧は難しくなってしまいます。

●生前に整理してエンディングノートに記載

——2人目の相談者の悩みも踏まえ、遺族が相続しやすいよう、生前から備えておくべきことはありますか。

デジタル遺産の相続の問題点の1つとして、デジタル遺産の存在自体に気づきにくい、発見しにくい点が挙げられます。 文字通りデジタルでのみ存在する場合が多く、PCやスマホ等の中を見られない場合は、具体的な情報がわからず、存在自体を認識しないまま遺産分割をしたり、税務申告をしたりすることになってしまう場合もありえます。

この場合、遺族が遺産を引き継げなかったり、後で判明した場合に相続税の延滞税がかかったりする等、遺族に損害が生じる場合がありますので、十分な生前対策が必要といえます。

そこで、被相続人が遺族のためにやっておくことは、(1)暗号資産が多岐にわたるのであれば一定程度整理しておくこと、(2)亡くなってから遺族がデジタル遺産の存在を認識できるようエンディングノート等にわかりやすく記載(たとえば、「デジタル遺産」という項目を作る等)を残しておくこと(パスワード等も記載しておくこと)、になると思います。

また、(3)相続手続きのやり方を調べてその旨の記載を残しておくこと、までできると、相続人がデジタル遺産に明るくない場合でも混乱が少なく、さらによいと思います。

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