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理研の非正規研究者、「無期転換逃れ」で大量雇い止めの危機 労組が撤回求める
2022年03月25日 21時16分

国立研究開発法人「理化学研究所(理研)」の有期の研究系職員およそ600人が来年3月末で雇い止めになるとして、一部職員でつくる労働組合が見直しを求めている。

3月25日には理研への働きかけを求めて、文科省や厚労省に要請書を提出。「無期転換逃れ」のための違法な雇い止めだと主張している。

組合によると、対象者の内訳は2023年で勤続10年を超える研究職が約300人。これに伴い、約60の研究チームが解散することになり、そこで働く約300人も仕事を失うという。計約600人。これは理研の全職員の8分の1に相当するという。

当事者らは「移転先が決まっていない。科研費をもらっているが研究が中断してしまう」「日本の科学の危機。技術が海外に流出してしまう」などと訴えている。

国立研究開発法人「理化学研究所(理研)」の有期の研究系職員およそ600人が来年3月末で雇い止めになるとして、一部職員でつくる労働組合が見直しを求めている。

3月25日には理研への働きかけを求めて、文科省や厚労省に要請書を提出。「無期転換逃れ」のための違法な雇い止めだと主張している。

組合によると、対象者の内訳は2023年で勤続10年を超える研究職が約300人。これに伴い、約60の研究チームが解散することになり、そこで働く約300人も仕事を失うという。計約600人。これは理研の全職員の8分の1に相当するという。

当事者らは「移転先が決まっていない。科研費をもらっているが研究が中断してしまう」「日本の科学の危機。技術が海外に流出してしまう」などと訴えている。

●研究者の「無期転換10年ルール」

2013年施行の改正労働契約法により、有期雇用の労働者でも、同じ職場で5年を超えて働くと無期雇用に転換できる権利を得られる「5年ルール」が導入された。

ただし、研究者らは例外とされ、長期のプロジェクトもあることから、「イノベ法(科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律)」により、「10年ルール」が採用されている。

今回、大量の雇い止めが懸念されているのは、2023年がちょうど10年のタイミングになるからだ。組合側は一律に10年で雇い止めするのは、法の趣旨を潜脱するものだと主張している。

●過去には事務職の「5年ルール逃れ」も問題に

理研では「5年ルール」の適用がはじまった2018年にも、大量の事務系職員の雇い止めが予定されていた。ただし、このときは労働組合の交渉により撤回された。

ポイントになったのは、理研が就業規則で有期雇用の更新上限を事務職5年、研究職10年と定めたのが、改正法が施行されて数年後の2016年4月だったことだという。

少なくとも、それより前に採用された事務職については、さかのぼって更新上限が適用されることはないと主張し、該当者が上限の適用除外になった。

組合側は今回の研究職についても、2016年4月より前に採用されているため適用対象外だと指摘。そもそも上限の撤廃を求めている。

●理研「雇用上限の効力、認められる」

弁護士ドットコムニュースの取材に対し、理研は対象者が約600人という主張については、職員数が絶えず変動しており、事実関係を十分に把握していないと回答。そのうえで次のようにコメントした。

「当研究所は、国立研究開発法人としての社会的な使命・役割を果たすため、任期付の研究系職員については、将来の研究開発プロジェクトの改廃や業務の合理化等により、業務内容やその規模が変動した際であっても最適な人員体制を機動的に構築することが必要となることから、原則7年間(最長10年間)の適切な研究期間を確保するとともに、雇用期間に上限のある有期雇用職員を従来から採用しております。

任期付の研究系職員は、その多くが単年度毎に契約を締結しており、2016年4月1日以降の雇用契約から雇用上限を設定しておりますが、個別の契約毎に労働条件が定められることから、就業規程改定後に労働契約が締結されたことにより、雇用上限の効力が認められるものと考えております」

【編注:理研のコメントを追記しました(2022年4月1日)】

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