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「セクハラなしで、いい演劇は作れる」被害を実名告発した女優、演出家と和解…MeTooが後押し
2018年04月27日 16時26分

高校時代に演出家からセクハラを受けていたとTwitterで明かした俳優の知乃さん(20)が4月27日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した。相手方として告発した演出家の市原幹也氏と和解が成立したことを明らかにした。市原氏側から受け取る数十万円の示談金は、同種の被害者を支援する活動にあてるという。

高校時代に演出家からセクハラを受けていたとTwitterで明かした俳優の知乃さん(20)が4月27日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した。相手方として告発した演出家の市原幹也氏と和解が成立したことを明らかにした。市原氏側から受け取る数十万円の示談金は、同種の被害者を支援する活動にあてるという。

●性的行為の手伝い求められる

知乃さんと代理人の馬奈木厳太郎弁護士によると、2015年2月某日の夕方、当時17歳(高校2年)で劇団に所属していた知乃さんが、写真モデルの撮影後に打ち上げと称して市原氏から食事に誘われ、食事後のカラオケ店(横浜市内)の個室で、「仕事を紹介できる」などと言われたうえで、太ももを触られたり性的行為の手伝いを求められたりしたという。

知乃さんは2017年12月、市原氏の実名をあげてTwitterでセクハラ被害があったと投稿。セクハラ被害を告発する「MeToo」の動きに後押しされた。知乃さんの投稿後、同様の被害にあったという複数の投稿があり、市原氏はサイト上で「お詫び」を表明した。2018年1月以降、和解に向けた協議が始まり、4月17日付で和解合意書が結ばれた。

●「演出家の力、絶対的」

会見で、知乃さんは「もし何かあっても、(和解)合意したケースがあるんだということを念頭に置いて、他の子には存分に夢を追いかけてほしい」。実名告発によって俳優を続けられなくなるリスクも頭をよぎったが、「セクハラをしないと演劇界が成り立たないという人は一定数いると思うが、その人たちよりもいいものを作っているという思いがあった」と話した。

馬奈木弁護士は「演劇の世界では演出家の力が大きい。絶対的と言っていい。声をあげた人が不利益を受けるというのはあってはならない」。今回の合意により、知乃さんは被害届を提出せず、互いに何らの債権債務も存在しないことを双方に確認しあったという。

今回の問題を受け、知乃さんは「演劇・映画・芸能界のセクハラ・パワハラをなくす会」を設立した。ホームページは(http://nosekuhara.com/ )。被害にあった人たちの相談に乗っていきたいとしている。

(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama

(弁護士ドットコムニュース)

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