16956.jpg
死刑囚の元組長が「過去の殺人」告白…新たに「刑罰」が科されるのか?
2016年04月25日 11時10分

殺人などの罪で死刑判決が確定した元暴力団組長が、別の殺人事件に関わったこと告白したことを受けて、警視庁と神奈川県警は4月19日、神奈川県伊勢原市の山林で、捜索を始めた。

報道によると、組長が殺害に関与したとされるのは、東京都新宿区で不動産業を営んでいた男性で、1996年8月に自宅を出たまま失踪し、家族が警察に捜索願を出していた。遺体が見つかればDNA鑑定などで身元を特定し、死因について詳しく調べる方針だ。

死刑が確定している死刑囚であっても、新たな犯罪が発覚した場合は、裁判にかけられることになるのか。もし、その裁判で有罪になった場合には、死刑との関係はどのように考えればいいのか。刑事手続に詳しい伊藤諭弁護士に聞いた。

殺人などの罪で死刑判決が確定した元暴力団組長が、別の殺人事件に関わったこと告白したことを受けて、警視庁と神奈川県警は4月19日、神奈川県伊勢原市の山林で、捜索を始めた。

報道によると、組長が殺害に関与したとされるのは、東京都新宿区で不動産業を営んでいた男性で、1996年8月に自宅を出たまま失踪し、家族が警察に捜索願を出していた。遺体が見つかればDNA鑑定などで身元を特定し、死因について詳しく調べる方針だ。

死刑が確定している死刑囚であっても、新たな犯罪が発覚した場合は、裁判にかけられることになるのか。もし、その裁判で有罪になった場合には、死刑との関係はどのように考えればいいのか。刑事手続に詳しい伊藤諭弁護士に聞いた。

●死刑が確定している場合、「没収」以外の刑罰は科されない

「死刑が確定していたとしても、別の犯罪に関わったことが疑われる場合、検察官はその人物を起訴することができ、裁判所は、その犯罪について有罪・無罪の判断をすることになります

伊藤弁護士はこのように述べる。既に確定している死刑判決との関係は、どう考えればいいのか。

「今回関与を告白した殺人事件が仮に有罪だとすると、既に死刑が確定した事件の裁判の前に犯した罪ですから、『併合罪』(刑法45条後段)として扱われます。

『併合罪』というのは、簡単に言えば、複数の罪の刑罰を決めるための処理方法のひとつです。

まだ裁判を受けていない事件(今回のケースでは、元組長が告白した殺人事件)は、確定した事件(元組長が死刑判決を受けた事件)に対する『余罪』としてさらに処断される(刑法50条)ので、この件について起訴されれば、裁判員裁判により、別個に判決が言い渡されます。

もっとも、死刑判決が確定している場合には、新たな裁判でどのような刑が言い渡されても、没収以外の刑罰が執行されることはありません(刑法51条1項ただし書)。

そのため、今回のケースでも、仮に起訴されて殺人の罪で有罪判決を受けることになっても、没収以外の刑罰を受けることにはなりません」

伊藤弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る