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柔道の練習中に「中1死亡」 技をかけた「元顧問」の賠償責任はナシ――なぜか?
2015年02月16日 16時40分

柔道部の練習で技をかけられた中学生が死亡したが、技をかけた元顧問の「賠償責任」は認められなかった——。滋賀県愛荘町の町立中学校で2009年7月、柔道の練習中に中学1年の男子生徒が死亡した。この事故について、中学生の母親が柔道部の顧問だった男性に損害賠償を求めていたが、最高裁は2月5日の決定で、母親の訴えを退けた。

これにより、町の責任を認めつつ、元顧問の「個人責任」は認めなかった一審・二審の判決が確定した。報道によると、この訴訟では、一審の大津地裁が町に対して約3700万円の支払いを命じたが、元顧問への請求は「公務員の過失は町が責任を負う」として退け、二審の大阪高裁もこの判決を支持した。一審・二審の判決によると、生徒は元顧問に返し技をかけられて倒れ、約1カ月後に急性硬膜化血腫で死亡した。

遺族側は「私立学校では教師の個人責任が問えるのに、公立で問えないのは不合理だ」と主張していたという。なぜ今回、元顧問ではなく、町に損害賠償が命じられたのか。元顧問の「個人責任」を問うことはできないのか。公立小学校での教員経験がある畑中優宏弁護士に聞いた。

柔道部の練習で技をかけられた中学生が死亡したが、技をかけた元顧問の「賠償責任」は認められなかった——。滋賀県愛荘町の町立中学校で2009年7月、柔道の練習中に中学1年の男子生徒が死亡した。この事故について、中学生の母親が柔道部の顧問だった男性に損害賠償を求めていたが、最高裁は2月5日の決定で、母親の訴えを退けた。

これにより、町の責任を認めつつ、元顧問の「個人責任」は認めなかった一審・二審の判決が確定した。報道によると、この訴訟では、一審の大津地裁が町に対して約3700万円の支払いを命じたが、元顧問への請求は「公務員の過失は町が責任を負う」として退け、二審の大阪高裁もこの判決を支持した。一審・二審の判決によると、生徒は元顧問に返し技をかけられて倒れ、約1カ月後に急性硬膜化血腫で死亡した。

遺族側は「私立学校では教師の個人責任が問えるのに、公立で問えないのは不合理だ」と主張していたという。なぜ今回、元顧問ではなく、町に損害賠償が命じられたのか。元顧問の「個人責任」を問うことはできないのか。公立小学校での教員経験がある畑中優宏弁護士に聞いた。

●公務員個人には賠償責任がない

「この裁判で、元顧問個人ではなく、町に損害賠償が命じられた理由は、国家賠償法が適用されたからです」

畑中弁護士はこのように切り出した。国家賠償法とは、どのような法律なのだろうか。

「国家賠償法とは、国や公共団体の損害賠償について適用される法律です。国公立の学校にも適用されます。この法律では、公務員が不法行為をした場合、国や自治体が賠償責任を負い、公務員個人は、賠償責任を負わないとされています。ですから今回のケースも、公務員である元顧問個人に賠償責任を負わせることはできません」

●私立学校の場合は賠償責任を負う

国公立の学校の教師個人には、直接的には損害賠償責任を負わせられないという。では、私立学校の場合はどうなのか。

「私立学校では、民法が適用されます。したがって、教師個人が賠償責任を負い、さらに学校も賠償責任を負います」

同じ教師でありながら、なぜ国公立と私立で、このような違いがあるのだろう。

「国公立と私立とでは、教師の根本的な立場が違うからです。国公立の学校の教師は公務員であるため、彼らの行為は、あくまで公権力の行使の一環として考えられています。一方、私立学校の教師の行為は、公的な立場を離れた一個人の行為と考えられています。

今回のケースでは、公務員である元顧問個人は賠償責任を負いません。ただ、元顧問の不法行為に故意または重大な過失があると町が判断すれば、町が遺族に損害賠償をした上で、さらに元顧問に求償することができます。ですから、間接的に、元顧問の賠償責任を問うことはできるといえるでしょう」

畑中弁護士はこのように語っていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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