17102.jpg
追い越し車の「飛び石」でマイカーのフロントガラスが割れた…修理代を請求できる?
2016年09月12日 10時12分

追い越してきた車の飛び石があたって、フロントガラスが割れた。修理代は払ってもらえるのかーー。そんな相談がネットの掲示板で話題になった。

投稿者は、車のナンバーと車種と家の住所を控えたので、修理の費用を請求したいと考えている。しかし、警察に相談したところ、「ムリだ」と言われてしまったらしい。

この投稿に対して、「飛び石なんてお互い様」、「その車から飛んできたことを証明せなあかん」などと冷静な反応が出てきたが、投稿者は「泣き寝入りは嫌だ」と譲れないようだ。

飛び石が当たって車が傷ついてしまったとき、修理にかかる費用を相手に支払わせることは可能なのだろうか。池田誠弁護士に聞いた。

追い越してきた車の飛び石があたって、フロントガラスが割れた。修理代は払ってもらえるのかーー。そんな相談がネットの掲示板で話題になった。

投稿者は、車のナンバーと車種と家の住所を控えたので、修理の費用を請求したいと考えている。しかし、警察に相談したところ、「ムリだ」と言われてしまったらしい。

この投稿に対して、「飛び石なんてお互い様」、「その車から飛んできたことを証明せなあかん」などと冷静な反応が出てきたが、投稿者は「泣き寝入りは嫌だ」と譲れないようだ。

飛び石が当たって車が傷ついてしまったとき、修理にかかる費用を相手に支払わせることは可能なのだろうか。池田誠弁護士に聞いた。

●「理論上、立証上の困難がある」

「結論から申し上げると、修理代を相手に支払わせることは不可能ではありませんが、理論上および立証上の困難が伴います」

池田弁護士はこのように述べる。どのような点が問題となるのだろうか。

「まず、理論上の問題ですが、自動車を走行させる際に、道路上の石に注意を払うべき義務は道路交通法に明記されていません。

道路交通法71条には運転者が遵守すべき事項が列挙されていますが、ここにも道路上の石に注意するべき義務は明記されていません。

各都道府県の公安委員会が、道路交通法上の運転者遵守義務事項に追加して遵守義務事項を定めていますが、一都二県を調査した限りでは、これについて定めたものは見付かりませんでした。

そうすると、道路交通法70条の『安全運転の義務』に違反したとして、当該行為の違法性を主張することになります」

飛び石のケースでは、どんなときに「安全運転の義務」に違反したといえるのだろうか。「『安全運転義務』のような一般条項で責任を追及するためには、たとえば、次のような特殊な状況が必要になると思います。

石が相応に大きく目立つもので、回避する余地があるのに回避をせず、かつ、対向車または後続車との距離が近く、飛び石が生じればその飛び石が対向車または後続車に衝突する具体的な可能性を認識できる状況下で、あえて当該石の上を走行したと言えるような状況です」

理論上はこのようなハードルがあるということだ。立証上の困難というのは、どのような点だろうか。

「今指摘したような事項すべてを、損害賠償を請求する側が立証する必要があります。このような立証は極めて困難でしょう。

もっとも、近年、自動録画のカメラを積載する自動車も増えています。前方を走る自動車がまさに飛び石を生じさせる状況を録画していた場合であれば、立証の困難は多少克服されると考えます」

●石はなぜ道路上に置かれていたのか?

「今回は、飛び石を生じさせた自動車の運転者に対する責任追及を前提とする質問でしたが、そもそも飛び石の原因となった石が道路上に置かれていた状況を作った者の責任を考えることができます。

飛び石の原因となった石が別の自動車の積載物であった場合には、その積載自動車の運転者や会社の責任を追及する方法も考えられます。

また、飛び石の原因となった石の存在について、再三にわたって道路管理者に報告されていたのに、管理者が適時に撤去しなかった結果生じた事故であったとすれば、道路管理者の責任も問題となり得ます。

飛び石が原因となった事故について損害賠償を求めようとした場合、上記3者の責任を状況によって使い分け、理論上および立証上の困難を克服できる可能性のある、責任追及が一番容易な対象者を見極めることが重要であると考えます」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る