17205.jpg
日本でも広がりつつある「結婚契約書」に法的効力はあるのか?
2013年03月07日 23時26分
最近、結婚生活を送っていくうえでの約束ごとを文書にする「結婚契約書」を作る若い夫婦が増えているという。ハリウッドのセレブが結婚契約書を交わしたというニュースはときどき聞くが、実は日本でも少しずつ広まっているらしいのだ。
 
「婚前契約書」や「婚姻契約書」とも呼ばれる結婚契約書は、夫婦の財産の管理や家事・育児の分担、浮気が判明したときの対処法など、結婚生活で生じるさまざまな問題について、あらかじめ目に見える形で約束を取り交わしておこうというものだ。
 
山あり谷ありの結婚生活を円滑に進めていくために作られるものだが、民法には「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる」という規定もある。はたして、この「結婚契約書」は法的な効力を持つのだろうか。田中真由美弁護士に聞いた。
 
●「結婚契約書」は、婚姻中いつでも夫婦の一方から取り消しが可能
 
「結婚に関する契約も、契約である以上は法的な効力があります。ただ、民法754条で、夫婦間で交わした契約は、婚姻中いつでも夫婦の一方から取り消すことができる、とされています」
 
このように田中弁護士は、結婚契約書は通常の契約書とは違った面をもつことを指摘する。そのうえで、次のように付け加える。
 
「ただ、夫婦関係が破綻した場合には、取消を認めないとするのが判例の立場です」
 
つまり、夫婦関係が破綻してしまえば、もはや他人と契約するのと同じようものということなのだろう。
 
では、結婚契約書を作るときには、どのような点に注意すればいいのだろうか。田中弁護士は、そのポイントについて次のように説明する。
 
「結婚契約書には、形式や内容について法律上の決まりはありません。内容が公序良俗に反するようなものでない限り、どのような契約を結ぶこともできます。二人で自由に作ってもかまいませんし、弁護士等に作成を依頼したり、公正証書にすることもできます」
 
どんな内容にするかは自由ということだが、たとえば、どんなことを書くのだろう。
 
「内容としては、夫婦間でトラブルになりそうなこととして、まずお金に関することがあります。たとえば、家計の管理方法や負担金額、お金の使い方などです。そのほか、家事の分担に加え、子どもをもうけるかどうか、育児の分担、子育てや教育方針のあり方といった子どもに関すること、そして、親と同居するかどうか、親戚付き合いなどがあります」
 
結婚契約書は、結婚したときの「約束」を文書で残しておくことだといえる。それによって、夫婦間のトラブルを減らすことができるかもしれないが、お互いを思いやる気持ちがを持ち続けることが大切なことは言うまでもないだろう。
 
新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る