17298.jpg
ビッグモーター社員、客を装い営業妨害「おたくの査定キャンセルします」 競合他社が感じたヤバさ
2023年08月06日 09時35分
#ビッグモーター

自動車保険の不正請求問題が判明した中古車販売大手「ビッグモーター」について、7月25日の会見後も、内部を知る人たちからの告発が相次ぎ、報道をにぎわせている。

弁護士ドットコムニュースにも、実際に店前の植物を抜いた元社員のほか、多くの業界関係者から情報が寄せられている。

中でも目立つのは、売上のためなら手段を選ばない企業風土についての証言だ。和泉伸二新社長は会見で「いつしかお客さんの方ではなく、会社の方を向いて仕事をしていた」と反省の弁を述べた。その内実とは。

自動車保険の不正請求問題が判明した中古車販売大手「ビッグモーター」について、7月25日の会見後も、内部を知る人たちからの告発が相次ぎ、報道をにぎわせている。

弁護士ドットコムニュースにも、実際に店前の植物を抜いた元社員のほか、多くの業界関係者から情報が寄せられている。

中でも目立つのは、売上のためなら手段を選ばない企業風土についての証言だ。和泉伸二新社長は会見で「いつしかお客さんの方ではなく、会社の方を向いて仕事をしていた」と反省の弁を述べた。その内実とは。

●あらゆる手を使って自社が買い取る

他社で買取営業をしている片岡さん(仮名)は、ビッグモーターに何度も営業妨害された経験があるという。客の名前を騙り、予定していた査定日時のアポを勝手にキャンセルしていたとみられる。

「お客さんに聞いたら『断りの電話を入れていません』と言われました。ビッグモーターの営業が自分の携帯から電話していたんです。別のお客さんのときも、同じ番号からキャンセルの電話があったそうです」

片岡さんは、車買取についての情報を収集する日本自動車購入協会(JPUC)に相談。JPUCには、同様の相談が寄せられているという。

元社員の古田さん(仮名)も「他社の買い取りが決まった後に、契約をご破算にさせようと、客の車に傷をつけてこいと上司から指示された」と証言する。

●車の部品を破壊「客に請求かけといて」

売上のためならば、客の車も平気で壊す。ビッグモーターで整備士をしていた高木さん(仮名)は、そんな上司のやり方に「ありえない」と嫌気が差して退職したと語る。

客に頼まれ、車検に出された車のエアコンを点検していたときのことだった。「工場長が電動ファンモーターを叩いて点検している最中に、ラジエーターという冷却機関の部品を破って壊してしまったんです」。

高木さんが「さすがにラジエーターは請求しませんよね?」と聞くと、工場長は「よく壊れるものだから、お客様にもともと壊れていた旨を説明して、請求かけといて」と指示した。平然と客に払わせようとする様子に、罪悪感は微塵もない様子だったという。

上司が客の車をわざと壊しているのを見たのは、一度や二度ではない。1台あたりの車検の単価を上げるためにブレーキオイルが漏れているように見せかけたり、ゴムブーツを故意に破ったりしていたという。

●前社長・兼重宏行氏が生み出した「文化」

1976年に山口県で創業したビッグモーター社。右肩上がりに事業を拡大していく時期に所属していた元工場長の千葉さん(仮名)は、前社長・兼重宏行氏について「ワンマンがすごかった」と振り返る。

「売上至上主義で社員の出入りが激しい。前社長は記者会見ですべて否定していましたが、社内間の連絡ツールで、社員に罵詈雑言を浴びせていました。だから役職者が皆真似して、部下に同じようなことをいう。前社長が生み出した文化ですよ」(千葉さん)

店前の街路樹を切るなどの問題点が指摘されている「環境整備」も、前社長の号令で約20年前から始まったという。月1回、タイミングは幹部の思いつきだった。

「ボーナス査定がかかっているし、みんな前日の夜遅くまで一生懸命掃除しました。でも重箱のすみをつつくような難癖をつけて、役員が喜んでいた」。敷地内で文句をつけられなくなった末に、道路の雑草まで注意するという異常なエスカレートの結果だったと嘆いた。

これらの声は、寄せられた情報の一部に過ぎない。次々と、明らかになる不正行為。膿を出し切ることはできるのだろうか。

●情報募集中

ビッグモーターについての情報を募集しています。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る