岐阜県弁護士会は4月16日、最高裁判所第三小法廷が「大崎事件」の第4次再審開始を認めない判断をしたことに抗議する会長声明を発表した(声明は4月9日付)。
声明では、最高裁の判断は「科学的・専門的知見に基づいた判断を行っておらず」、「刑事裁判の鉄則に反してい」ると批判している。
大崎事件は1979年、鹿児島県大崎町の牛小屋で死体が発見されたことから始まり、原口アヤ子さんとその親族が殺人・死体遺棄罪で起訴された。
原口さんは無罪を主張し続けたが、懲役10年の判決を受け服役した。原口さんは満期服役後も再審請求を続けてきたが、これまで3度の再審請求が認められず、これが4度目の請求だった。
●「死亡時期を明らかにした新証拠の重要性を無視」と強く非難
声明では、第4次再審請求では、救急医療の専門家・澤野誠教授による新たな鑑定(澤野鑑定)が提出されたことを指摘。
この鑑定は被害者の「死亡時期」に焦点を当て、被害者が自宅帰宅前に死亡していたことを示すもので、「アヤ子氏らが被害者を殺害することはあり得ない」ことを科学的に証明するものだったという。
しかし、最高裁判決はこの新証拠の位置づけを「死因」に関するものと判断し、再審請求を棄却した。
岐阜県弁護士会は、原口さんの支援を継続するとともに、再審における証拠開示の制度化や再審法改正など、えん罪防止・救済のための制度改革実現に尽力する方針も表明している。