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前埼玉知事・上田参院議員の秘書から性的暴行、元記者が国を提訴「政治の動向教えると誘い出された」
2023年03月08日 13時05分

前埼玉県知事で参院議員の上田清司氏の公設秘書から2020年3月に性暴力被害に遭ったとして、県内の報道機関に勤める元記者の女性が2023年3月8日、国を相手取り、慰謝料など約1100万円の賠償を求め、東京地裁に提訴した。

秘書は準強制性交と準強制わいせつの疑いで、県警に2020年8月に書類送検された2日後に自殺している。女性側は、政治に関する取材活動の中で▽公務員である公設秘書が職務権限を濫用し、加害に及んだこと▽上田氏が、秘書の適切な監督をしなかったことーの2点を問題とし、国を訴えている。

国を被告としているのは、国家賠償法1条で「公務員が、その職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国または公共団体が賠償する責に任ずる」としており、秘書や議員の個人は被告になり得ないからだという。

原告は「公にすることで、同じ思いをする人が少なくなればと提訴に踏み切りました。記者としての使命だと考えました。自分が被害者なのに、加害者を自殺に追い込んだ記者という見方をされて3年間つらかったです」とコメントしている。

前埼玉県知事で参院議員の上田清司氏の公設秘書から2020年3月に性暴力被害に遭ったとして、県内の報道機関に勤める元記者の女性が2023年3月8日、国を相手取り、慰謝料など約1100万円の賠償を求め、東京地裁に提訴した。

秘書は準強制性交と準強制わいせつの疑いで、県警に2020年8月に書類送検された2日後に自殺している。女性側は、政治に関する取材活動の中で▽公務員である公設秘書が職務権限を濫用し、加害に及んだこと▽上田氏が、秘書の適切な監督をしなかったことーの2点を問題とし、国を訴えている。

国を被告としているのは、国家賠償法1条で「公務員が、その職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国または公共団体が賠償する責に任ずる」としており、秘書や議員の個人は被告になり得ないからだという。

原告は「公にすることで、同じ思いをする人が少なくなればと提訴に踏み切りました。記者としての使命だと考えました。自分が被害者なのに、加害者を自殺に追い込んだ記者という見方をされて3年間つらかったです」とコメントしている。

●車内や路上でわいせつ、3度の性行為

原告弁護団が3月8日に東京都内で記者会見し、明らかにした。弁護団は、一部の週刊誌が加害者側からの情報を基に、2人が不倫関係にあったように報じたことを問題視。男性と女性の年代などは事案の内容に無関係だとして、明かさない方針だという。

訴状によると、男性は上田氏が衆院議員だった2000年ごろから秘書となり、その後、市議を4期務めたという。

今回の事件があったのは2020年3月24日と同27日。当時、立憲民主党と国民民主党の合流協議などが話題となっており、上田氏の動向にも注目が集まっていたという。

24日は新型コロナ感染拡大の中で、地方議員と公衆衛生に関して情報交換する目的で開かれた飲み会だった。女性は、上田氏の後援会事務局長から誘われて参加。上田氏はおらず、病院の院長など他の参加者5人はすべて男性だったという。

飲酒の影響で眠くなって半分意識を喪失する状態になった女性は、秘書にタクシーで送られることになった。女性が寝入ってしまうと、秘書は車内で胸をもんだりキスしたりしたほか、陰部に触るなどしたという。女性が拒否してタクシーを降車しても、追いかけてきてキスや胸をなめるなどしたとされる。

その後も連日、上田氏の所属政党の動向について重要な情報を提供するなどと他社の取材状況の動きを電話やメールで伝えながら、27日に寿司店に呼び出し。アルコールの影響で前後不覚となった女性をホテルの部屋に誘い込み、3度の性行為に及んだという。避妊具はつけていなかった。

●「加害者が自殺したから何もわからない」が通るのか

女性は翌28日に警察に相談、被害届を4月1日に提出した。5月26日には告訴状を出し、8月に男性秘書は書類送検された。しかし、自殺したことで捜査は打ち切りとなった。

弁護団の中野麻美弁護士は「加害者が自死しているから何もわからないというのが通るのか。公設秘書という職務の権限で行ったかどうかを問うている部分が最大の争点です。国側は(男女間の)私的なことだったと否定する可能性があります。どんな主張を展開するか関心を持っていく」と話す。

弁護団は、捜査がどう進められたかにも注目すべきだとしている。記録は1年で廃棄したとされているものの「訴訟のなかで残っている記録の開示を求め、権限行使のあり方を問う意味は大きい」と強調する。

取材する記者と、情報を持っている議員秘書という関係の中で、性被害の告発が抑え込まれる構造があると説明。女性は事件後、PTSDを発症し、ふとした瞬間に涙が出ることもあるという。

「記者は、閉ざされた情報に穴をあけていくのが使命。信頼を築くために努力していることを市民に知っていただきたい。彼女は、職務の可能性も含めて喪失させられた。性的な自由や尊厳、身体だけでなく、キャリアを侵害されたんです」(中野弁護士)

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