17433.jpg
駅のエスカレーター「片側歩行」でケガの恐れーーもっと強く「禁止」を打ち出すべき?
2015年11月21日 10時17分

「エスカレーターで歩いたり、走ったりしないでください」。このような注意喚起の掲示を駅構内などで見かけることがある。だが、エスカレーターに乗ったときに歩いている人も多いのではないだろうか。片側に「止まっている人」が並び、その横を「急ぐ人」が追い抜いていく形が東京や大阪などの都市部では定着しているが、なかには体や荷物が当たって、転倒するようなトラブルも生じている。

朝日新聞が報じた東京消防庁の統計によると、エスカレーター事故で救急搬送されるケガ人が増えているという。2012年は前年より93人増の1289人で、2013年は1380人、2014年は1443人だった。そうなると、エスカレーターの歩行禁止もやむえないように思えるが、弁護士ドットコムニュースが国土交通省に確認したところ、エスカレーター使用時の規制を明確に定めた法令は存在せず、あくまでもメーカーや設置施設、そして利用者本人の問題になるそうだ。

積極的に注意喚起を行っているJR東日本は「首都圏における右側歩行など、エスカレーター使用時のルールはお客様同士の合意や慣習から形成されたものです。鉄道会社として強制的に歩行を禁止するのではなく、その危険性を地道に訴えていきたい」と話している。

今のところ、明確な法的規制はなく、利用者のマナー意識に訴えている状態だが、鉄道会社に、何らかの義務は存在しないのだろうか。また、この問題はどのようにして解決すべきなのだろうか。鉄道問題に詳しい岡田一毅弁護士に聞いた。

「エスカレーターで歩いたり、走ったりしないでください」。このような注意喚起の掲示を駅構内などで見かけることがある。だが、エスカレーターに乗ったときに歩いている人も多いのではないだろうか。片側に「止まっている人」が並び、その横を「急ぐ人」が追い抜いていく形が東京や大阪などの都市部では定着しているが、なかには体や荷物が当たって、転倒するようなトラブルも生じている。

朝日新聞が報じた東京消防庁の統計によると、エスカレーター事故で救急搬送されるケガ人が増えているという。2012年は前年より93人増の1289人で、2013年は1380人、2014年は1443人だった。そうなると、エスカレーターの歩行禁止もやむえないように思えるが、弁護士ドットコムニュースが国土交通省に確認したところ、エスカレーター使用時の規制を明確に定めた法令は存在せず、あくまでもメーカーや設置施設、そして利用者本人の問題になるそうだ。

積極的に注意喚起を行っているJR東日本は「首都圏における右側歩行など、エスカレーター使用時のルールはお客様同士の合意や慣習から形成されたものです。鉄道会社として強制的に歩行を禁止するのではなく、その危険性を地道に訴えていきたい」と話している。

今のところ、明確な法的規制はなく、利用者のマナー意識に訴えている状態だが、鉄道会社に、何らかの義務は存在しないのだろうか。また、この問題はどのようにして解決すべきなのだろうか。鉄道問題に詳しい岡田一毅弁護士に聞いた。

●「鉄道会社には安全配慮義務がある」

「エスカレーター上を走ったり、歩いたりすることは利用法としては誤っていますので、そのために事故が発生した場合は、走ったり歩いたりした利用者の責任となります。原則として、鉄道会社は責任を負わないと考えて良いと思います。

ただ、歩いたり走ったりしてはいけないという注意喚起をしていない状態であれば、鉄道会社がエスカレーター設備の利用について、十分に説明をしていないということになります。

鉄道会社は利用者と運送契約を締結しており、その際、安全に配慮する付随義務が認められます。ですから、設備の利用についての説明不足として、安全配慮義務違反として損害賠償をしなければいけない可能性があります」

どこまでが、鉄道会社の責任になるのだろうか。

「一般的にエスカレーターの歩行は禁止されているところから、利用者も応分の過失が認められ、損害の全額を鉄道会社が負担することはないと考えられます。

ですから、利用者としては、エスカレーターを歩かないで利用すべきですし、鉄道会社としても十分アナウンスすべきです。できれば注意喚起ではなく、禁止ということを掲示すべきではないでしょうか」

岡田弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る