17474.jpg
来年から始まる「相続税」の新ルール 「課税対象者」が増えるってホント?
2014年03月10日 19時00分

親などが亡くなって遺産を受け継いだときにかかる「相続税」が、大きく変わろうとしている。来年2015年の1月1日から、大幅な増税が行われるのだ。

一番のポイントは、課税対象となる相続財産の金額がいまよりも大きく下がり、これまでは相続税を払わないで済んでいたような人も、申告と納税が必要になることだ。

具体的にはどのように変わったのだろうか。また、これから相続する可能性がある人はどんな点に気をつけたらいいのか。税理士の福留正明氏に聞いた。

親などが亡くなって遺産を受け継いだときにかかる「相続税」が、大きく変わろうとしている。来年2015年の1月1日から、大幅な増税が行われるのだ。

一番のポイントは、課税対象となる相続財産の金額がいまよりも大きく下がり、これまでは相続税を払わないで済んでいたような人も、申告と納税が必要になることだ。

具体的にはどのように変わったのだろうか。また、これから相続する可能性がある人はどんな点に気をつけたらいいのか。税理士の福留正明氏に聞いた。

●相続税の新ルールの「計算式」とは?

「今回の改正の最大のポイントは、基礎控除の縮小です。基礎控除とは、税金が免除される金額の部分を指します。これが大きく縮小されるのです」

このように福留税理士は切り出した。具体的には、どう変わるのか。

「現行法では、基礎控除額は『5000万円+1000万円×法定相続人の人数』となっています。しかし、2015年1月1日以降は、『3000万円+600万円×法定相続人の人数』に変更されます」

これだけ聞くと、なかなかややこしい話なので、具体例をあげて説明してもらおう。

「たとえば、相続人が、亡くなった人の配偶者と子ども2人の計3人である場合を考えてみましょう。

この場合、今までの基礎控除額は、さきほどの計算式にあてはめると、『5000万円+1000万円×3人=8000万円』となります。つまり、遺産総額が8000万円を超えなければ、相続税は一切かからなかったのです。

ところが、来年以降の基礎控除額は、新しい計算式によると、『3000万円+600万円×3人=4800万円』となります。したがって、遺産総額が4800万円を超えれば、相続税の課税対象になってしまいます。つまり、遺産総額が5000万円や6000万円というこれまで課税されなかった家庭まで、相続税がかかってくることになるのです」

遺産が数千万円というと相当な金額のような気もするが、東京で家をもっているような人の場合は十分に可能性がある数字だ。

「たとえば、自宅不動産の評価額が仮に3000万円とすると、プラス1800万円ほどの金融資産があれば相続税の対象になるということです。したがって、都心の不動産をお持ちの方ですと、大半の方が対象になってくることが予想されます」

●事前準備で「節税対策」ができる

相続税のルール改正により、今までなら相続税を支払う必要のなかったような人でも、今後は相続税の申告・納税が必要になる可能性がでてくるわけだ。このような変化を踏まえ、事前にできる節税対策はあるのだろうか。

「生前に少しの相続対策を行っておくだけで、相続税の申告や納税が不要となる可能性があります。

たとえば、生前贈与を行ったり、生命保険の非課税枠をうまく活用したり、あるいは、小規模宅地等の特例などの適用要件を検討するといった事前対策を行うだけで、大きく節税が可能となります」

都心に不動産を所有していたりして相続税の対象となる可能性がある家庭は、新しいルールに備えて、事前に準備を進めておくといいかもしれない。

【取材協力税理士】

福留 正明(ふくとめ・まさあき)税理士

税理士法人チェスターは相続税を専門に取り扱っている税理士法人です。年間200件を超える税理士業界トップクラスの相続税申告実績があり、また資産家の生前の相続対策のお手伝いもさせて頂いております。

事務所名   :  税理士法人チェスター

事務所URL:http:/chester-tax.com

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る