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13歳で精神科に“強制連行“…「同意ない入院は無期懲役状態だ」、初弁論で違憲訴え
2023年06月14日 16時51分

2018年2月、当時13歳だった男性が、本人の同意なく医療保護入院措置で強制入院させられたことは違憲・違法だなどとして、児童相談所を設置する東京都や母親などを相手取り、損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が6月14日、東京地裁であった。

原告の火山優さん(18歳、仮名)が意見陳述。「医療保護入院は精神科医が必要と認める限り、下手すれば何十年もの間退院できない」と述べ、身体拘束の期限がないことを「無期懲役状態」と指摘した。

「いつ退院できるか分からない。目の前の公衆電話も使えない。誰とも面会できない。警察や弁護士も助けに来ない」と入院当時を振り返り、「こんなもの、私は医療でも保護でも何でもないと思います」と制度を厳しく批判した。

2018年2月、当時13歳だった男性が、本人の同意なく医療保護入院措置で強制入院させられたことは違憲・違法だなどとして、児童相談所を設置する東京都や母親などを相手取り、損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が6月14日、東京地裁であった。

原告の火山優さん(18歳、仮名)が意見陳述。「医療保護入院は精神科医が必要と認める限り、下手すれば何十年もの間退院できない」と述べ、身体拘束の期限がないことを「無期懲役状態」と指摘した。

「いつ退院できるか分からない。目の前の公衆電話も使えない。誰とも面会できない。警察や弁護士も助けに来ない」と入院当時を振り返り、「こんなもの、私は医療でも保護でも何でもないと思います」と制度を厳しく批判した。

●第1回期日までの経緯

訴状などによると、​​両親が離婚して母親と2人で暮らしていた火山さんは2018年2月1日朝、普段と同じように中学校に登校するため家を出た直後、児相職員から紙を提示され、「一時保護します」と告げられた。

後方から近づいてきた10人ほどの集団に囲まれた後、民間介護タクシーに押し込まれて精神科病院に連行されたという。天井に監視カメラや収音マイクが設置された閉鎖病棟の隔離室に入った。翌朝には病室に移ったものの、「公衆電話の使用は不可、児相職員以外との面会も不可」という状況だった。

入院期間もわからない状況に危機感を覚えた火山さんは2月10日、病院の窓から脱走。父親が病院や児相と連絡をとり、父親のいる祖母宅での生活を条件に、2月13日付で一時保護が解除された。同21日には自宅へ帰ることも許可された。

火山さんは2023年1月、都のほかに、入院措置をおこなった都内の病院、火山さんを診断した指定医2人、および入院措置に同意した母親を相手に提訴。被告らに対して計1億円の損害賠償を請求している。

火山さんの代理人を務める倉持麟太郎弁護士によると、火山さんの母親を含む被告側全員が請求棄却を求める答弁をしており、徹底的に争う構えを崩していないという。

●倉持弁護士「日本は収容大国」

火山さんはこの日、法廷で裁判官3人と相対して意見陳述をおこなった。

当時中学1年生だった火山さんは、「友人たちに誘われ、サッカー部へ入部し、ほぼ毎日、練習に明け暮れていた」充実した日々が医療保護入院措置で突如脅かされた現実についての思いを吐露。また、被疑者・被告人であっても身柄拘束には原則令状が必要とする刑事手続きと比較して、容易に身柄拘束を認めている制度についてこう批判した。

「一時保護と医療保護入院の“合わせ技”という極めて狡猾かつ悪質な手法によって、私の権利は侵害されました。医療保護入院は、1人の精神保健指定医がその必要性を認め、家族1人の同意があれば、裁判所等の第三者機関を通すことなく、病院管理者の権限で簡単に身柄拘束ができます」

裁判官に対しては「あの日、脱走に失敗していたら、こうして皆さんとお会いすることはなかったと思います」と呼びかけ、同じ境遇の人を代表して「医療保護入院という制度の根拠となる精神保健福祉法33条の違憲性を強く主張します」と訴えた。

倉持弁護士は、期日後に開かれた会見で、世界における精神科病床の5分の1が日本にあり、医療保護入院も身体拘束も増え続けている日本の現状を「収容大国」と批判。「医療保護入院制度は違憲」だと訴える。

「日本の裁判所は、事件解決が法律レベルでできれば、基本的に憲法判断しないという、違憲審査に対して消極主義をとっています。(違憲審査について)ぜひ積極的に判断してほしい旨を訴えました」(倉持弁護士)

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