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「最悪の場合、手術ミスも」 過労死ライン2倍の残業時間案、医師ら懸念の声
2019年03月22日 18時13分

地域医療を確保するなど限定的な場合に、勤務医や研修医の残業を「1860時間まで」認める厚生労働省案をめぐり、懸念の声が出ている。現役医師や医学生、過労死遺族らが3月22日、東京・霞が関の厚労省に吉田学医政局長を訪ね、報告書案に反対することを伝えた。

地域医療を確保するなど限定的な場合に、勤務医や研修医の残業を「1860時間まで」認める厚生労働省案をめぐり、懸念の声が出ている。現役医師や医学生、過労死遺族らが3月22日、東京・霞が関の厚労省に吉田学医政局長を訪ね、報告書案に反対することを伝えた。

●厚労省「過労死なくしたいという点で同じ立場」

吉田局長との面談は約35分間にわたり実施。複数の条件を満たす必要があるとはいえ、報告書案では「1860時間まで」の残業が制度上、容認される。このため健康被害が発生した場合の労災認定基準は「960時間」(一般労働者並み)であることを明記するよう求めた。

さらに、医療機関に対し「36協定」の内容公開や、当直を含む医師の就労データ公開を義務づけることなども要望。「超長時間労働を医師に課すことなく医療を守る仕組みを検討し、実現することこそが、いま求められている」と指摘した。

そのうえで「働きすぎ、健康を害し、自ら命をたってしまった医師も現実に複数存在している」「安全な医療を提供するうえで、医師が適切な労働時間で勤務することは非常に重要と考え、医師の超長時間労働を認める本案に断固反対を表明する」などとした。

吉田局長からは、医師の過労死をなくしたいという点では全く同じ立場で、現状の労働時間がいいとは思っていないということや、厚労省として医療界にしっかり発信していく必要性などについて言及があったという。

●「人間らしい生活できるのか」

面談後には、厚労省で記者会見を実施。約20年前に小児科医の夫を過労の末の自死でなくした「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子さんは、「この働き方では過労死はなくならない。過労死遺族は苦しんでいる」と訴えた。

4月から初期研修医となる筑波大医学学群6年の男性は「人間らしい生活ができるのか懸念している。『1860時間』にあてはまり、過重労働をさせられる可能性がないとは言えない」と不安を語った。

大学病院で働く現役の産科医(男性)も会見に同席した。

現場の医師が「1860時間」に危機感を抱いていることに加え、「我々も人間。集中力を欠いた医師にあたり、最悪の場合、手術ミスもありうる。そういったものが助長されるのではないかと不安に思っている」と話した。

さらに、「(残業時間の上限規制は)一定の進歩だが、できれば960時間とかそれに準じる時間に抑えることが非常に重要だと思う」と指摘した。

(弁護士ドットコムニュース)

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