徳島弁護士会は4月30日、参議院議員選挙区選挙における合区制度について「特定の選挙区に属する選挙人が有する選挙権の行使自体を制限しかねない制度」として、憲法違反の疑いがあるとする意見書を公表した。意見書では合区制度の早急な解消を求めている。
背景には、2015年の公職選挙法改正で導入された合区制度により、徳島・高知選挙区や鳥取・島根選挙区では投票率の低下や無効投票率の上昇が続いていることがある。2016年から2022年までの3回の参議院選挙では、合区対象県の投票率が全国最低を記録するなど、選挙への関心低下が顕著となっている。
● 「公務員選定権の侵害」と危機感
徳島弁護士会は意見書で、合区対象県における有権者の投票意欲の低下について「有権者に非があるわけではなく、合区制度という制度上の欠陥から生じている」と指摘。
「一部の国民からすれば自分たちの代表を満足に選ばせてくれない、という現象」であり、「公務員選定権の侵害ということにとどまらず、憲法上最も重要な基本理念というべき国民主権が侵害されているともいうべき事態」と危機感を示している。
意見書ではまた、投票価値の平等を重視しすぎる弊害として「人口希薄地帯の国会議員がその人口数に応じて減少していった場合、いざその地で災害が発生した際、その地の要望等の『声』が国政に届きにくくなる」と懸念。「参議院議員選挙における一票の価値の平等の判定」は、「選挙区選挙・比例代表選挙を個別に判定するのではなく、選挙区選挙・比例代表選挙を総合した参議院議員選挙全体で判定すべき」として、都道府県単位の選挙区制度を維持するよう求めている。