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「名探偵コナン」の定番アイテム「腕時計型麻酔銃」 実際に使ったらどうなる?
2013年05月25日 17時20分

『名探偵コナン』は、天才高校生探偵・工藤新一が鋭い推理で次々と事件を解決する大人気漫画・アニメシリーズ。連載開始からおよそ20年という超ロングランとなっている。主人公の新一は薬の副作用で子どもの姿になり、普段は小学生「江戸川コナン」として暮らしているが、いざ事件が起きると持ち前の推理力で難事件を解決する。

しかし、「新一=コナン」がそんな推理力をもっていることは秘密となっていて、実際に推理を披露する場面では、正体を隠すためのアイテム「腕時計型麻酔銃」が使われる。一緒に捜査をしている探偵の毛利小五郎をこの麻酔銃で眠らせ、自分の思うままに操って、あたかも毛利探偵が事件を解決したかのように見せかけているのだ。

これはもちろん、漫画の話である。だが、もし、現実社会でコナンが使っているような麻酔銃を他人に向けて使ったら、どんな罪に当たるのだろうか。「銃」の形ではないが、銃刀法違反なのだろうか。もしかして、薬品を使っているから化学兵器・・・・? 漫画にも造詣が深い福島隆弁護士に聞いた。

●銃や化学兵器ではないが、「暴行罪」は成立する可能性が大きい

「この『腕時計型麻酔銃』が発射する針は極めて小さく、薬品さえ塗られていなければ身体に害悪を及ぼさないと思われます。したがって、銃刀法でいう『銃砲』にはあたらず、銃刀法違反にはならないでしょう。

また、化学兵器禁止条約も問題にはなりません。『腕時計型麻酔銃』に撃たれた人は、瞬時に眠りに落ちますが、短時間で覚醒し、身体のだるさなどの症状は一切ないのが特徴です。このような効果がある物質は、同条約の『化学兵器禁止法規制物質』には存在しません。同じく該当物質がないという理由で、麻薬取締法違反・薬事法違反にもなりません」

では、「腕時計型麻酔銃」で誰かを眠らせても、犯罪にならないのだろうか。

「いえ、必ずしもそういうわけではなく、少なくとも暴行罪は成立するでしょう。しかし、傷害罪については断定できません」

なぜ、傷害罪が成立するとは言い切れないのか。その理由について、福島弁護士は次のように説明する。

「ある回で、コナンのライバルともいえる探偵・服部平次が『腕時計型麻酔銃』で眠らされたことがありますが、そのときは、外部からの衝撃で目を覚ましています。したがって、使われている薬品は睡眠薬に近いものだと言えるでしょう。

そして、睡眠薬・麻酔薬関連の判例をみると、睡眠薬・麻酔薬で他人を2時間昏睡状態に陥とし入れた事案で、傷害罪が成立したケースがあります。

しかし『腕時計型麻酔銃』は、この判例の事案に比べて昏睡時間がごく短く、その効果も即効性はあるものの、身体に与える影響が小さいといえるので、傷害罪が成立するとは言い切れないと思います」

福島弁護士は「なお作中で、『腕時計型麻酔銃』は、犯人に対する武器として用いられることもありますが、正当防衛や緊急避難が成立する場面もあれば、違法な逮捕行為の場合も見受けられます」と付け加えていた。

ううむ、残念。やはり現実世界で使うのはいろいろと無理があるようだ・・・・と、こんな妄想をしていたら、それこそコナンに「バーロー!」と怒られてしまうかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

『名探偵コナン』は、天才高校生探偵・工藤新一が鋭い推理で次々と事件を解決する大人気漫画・アニメシリーズ。連載開始からおよそ20年という超ロングランとなっている。主人公の新一は薬の副作用で子どもの姿になり、普段は小学生「江戸川コナン」として暮らしているが、いざ事件が起きると持ち前の推理力で難事件を解決する。

しかし、「新一=コナン」がそんな推理力をもっていることは秘密となっていて、実際に推理を披露する場面では、正体を隠すためのアイテム「腕時計型麻酔銃」が使われる。一緒に捜査をしている探偵の毛利小五郎をこの麻酔銃で眠らせ、自分の思うままに操って、あたかも毛利探偵が事件を解決したかのように見せかけているのだ。

これはもちろん、漫画の話である。だが、もし、現実社会でコナンが使っているような麻酔銃を他人に向けて使ったら、どんな罪に当たるのだろうか。「銃」の形ではないが、銃刀法違反なのだろうか。もしかして、薬品を使っているから化学兵器・・・・? 漫画にも造詣が深い福島隆弁護士に聞いた。

●銃や化学兵器ではないが、「暴行罪」は成立する可能性が大きい

「この『腕時計型麻酔銃』が発射する針は極めて小さく、薬品さえ塗られていなければ身体に害悪を及ぼさないと思われます。したがって、銃刀法でいう『銃砲』にはあたらず、銃刀法違反にはならないでしょう。

また、化学兵器禁止条約も問題にはなりません。『腕時計型麻酔銃』に撃たれた人は、瞬時に眠りに落ちますが、短時間で覚醒し、身体のだるさなどの症状は一切ないのが特徴です。このような効果がある物質は、同条約の『化学兵器禁止法規制物質』には存在しません。同じく該当物質がないという理由で、麻薬取締法違反・薬事法違反にもなりません」

では、「腕時計型麻酔銃」で誰かを眠らせても、犯罪にならないのだろうか。

「いえ、必ずしもそういうわけではなく、少なくとも暴行罪は成立するでしょう。しかし、傷害罪については断定できません」

なぜ、傷害罪が成立するとは言い切れないのか。その理由について、福島弁護士は次のように説明する。

「ある回で、コナンのライバルともいえる探偵・服部平次が『腕時計型麻酔銃』で眠らされたことがありますが、そのときは、外部からの衝撃で目を覚ましています。したがって、使われている薬品は睡眠薬に近いものだと言えるでしょう。

そして、睡眠薬・麻酔薬関連の判例をみると、睡眠薬・麻酔薬で他人を2時間昏睡状態に陥とし入れた事案で、傷害罪が成立したケースがあります。

しかし『腕時計型麻酔銃』は、この判例の事案に比べて昏睡時間がごく短く、その効果も即効性はあるものの、身体に与える影響が小さいといえるので、傷害罪が成立するとは言い切れないと思います」

福島弁護士は「なお作中で、『腕時計型麻酔銃』は、犯人に対する武器として用いられることもありますが、正当防衛や緊急避難が成立する場面もあれば、違法な逮捕行為の場合も見受けられます」と付け加えていた。

ううむ、残念。やはり現実世界で使うのはいろいろと無理があるようだ・・・・と、こんな妄想をしていたら、それこそコナンに「バーロー!」と怒られてしまうかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

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