1784.jpg
高齢者の運転免許、強制返納の仕組みが必要か? 弁護士の意見割れる
2018年03月12日 16時04分

近年、高齢者による交通事故が社会問題化しつつあります。

一般的には、高齢化に伴い、判断力や認知機能が低下するとされています。高齢運転者によるブレーキ・アクセルの踏み間違い事故や、高速道路における逆走による事故・トラブルが発生すると、マスコミで大々的に取り上げられるケースが散見されるようになってきました。

内閣府によると、75歳以上の運転者による死亡事故の発生割合は、75歳未満の群と比較して、2倍以上となっています。

現在、自動車運転免許の自主返納制度はありますが、産経新聞は今年1月、高齢者について、「認知症に限らない運転技能検査の義務付けと強制返納の仕組み作りが急務」と主張する記事をインターネット上などに掲載しました。

今回、弁護士ドットコムに登録する弁護士に、高齢者に対して、何らかの形で自動車の運転免許の強制返納の仕組みが必要かどうかを聞いた。

近年、高齢者による交通事故が社会問題化しつつあります。

一般的には、高齢化に伴い、判断力や認知機能が低下するとされています。高齢運転者によるブレーキ・アクセルの踏み間違い事故や、高速道路における逆走による事故・トラブルが発生すると、マスコミで大々的に取り上げられるケースが散見されるようになってきました。

内閣府によると、75歳以上の運転者による死亡事故の発生割合は、75歳未満の群と比較して、2倍以上となっています。

現在、自動車運転免許の自主返納制度はありますが、産経新聞は今年1月、高齢者について、「認知症に限らない運転技能検査の義務付けと強制返納の仕組み作りが急務」と主張する記事をインターネット上などに掲載しました。

今回、弁護士ドットコムに登録する弁護士に、高齢者に対して、何らかの形で自動車の運転免許の強制返納の仕組みが必要かどうかを聞いた。

●必要性への見解、割れる

****以下の2つの選択肢から回答を求めたところ、10人の弁護士から回答が寄せられました。

(1)強制返納の仕組みが必要→6票

(2)強制返納の仕組みは不要、もしくは問題がある→4票

「仕組みが必要」とした弁護士からは、「(身体能力のテストを義務付け)基準を下回ったり、検査を受けなかった場合、免許証の返納を義務付けるという仕組みであれば、不公平感がない」「アルコールやタバコは年齢によって強制的に一律に禁止している」との指摘がありました。

「仕組み不要・問題あり」とした弁護士からは、強制返納制度について「高齢者の運転を完全に防ぐことができるのか疑問」といった声がありました。また、「『高齢者』だから事故率が高いのではなく、『若年者』も事故率は高い」として、高齢者のみへの対応を疑問視する意見もありました。


 

●編集後記

高齢者の交通事故が社会的に大きく取り上げられるようになって久しいですが、強制返納については賛成と反対の意見が割れる結果となりました。

事故防止は、高齢者本人の幸福につながる側面は理解できますが、現在でも公共交通期間がない地域で暮らす人々も一定数います。そのような自治体においては、公共交通の充実といっても、予算などの問題から、すぐに対応できない事情も多そうです。

「事故の減少」と「移動の自由」をうまく両立できるように、議論が深まることを願うばかりです。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る