平日は仕事で帰宅が遅く、週末は趣味を優先する──。そんな夫に愛想を尽かした妻から、弁護士ドットコムに相談が寄せられています。
SNS上でも、週末に家族をほっぽりだして、趣味のサーフィンや釣りなどに出かけてしまう夫に対する嘆きがあとを絶ちません。
なかには「もう離婚しかない」とまで思い詰めてしまう人もいます。
では、「夫が仕事や趣味にばかり仕事を費やす」という理由だけで、離婚は認められるのでしょうか。夫婦の溝を埋める手立てはあるのでしょうか。夫婦問題にくわしい原口未緒弁護士に聞きました。
●「仕事と趣味優先」は離婚事由になる?
——夫が平日仕事で遅かったり、週末は趣味で出かける場合、離婚事由になりますか。
残念ながら、それだけでは、裁判所が離婚を認める離婚事由にあたりません。
それでも、夫婦のコミュニケーションの時間をとりたいという希望や、夫婦で一緒に過ごす時間が少ないことに対する不満、それに対する改善を求めることなどについて、何度も夫に対して述べているにもかかわらず、改善されなかった場合には、婚姻関係の破綻として離婚事由になることも考えられます。
ただ、その場合でも、その後、別居に至っていることなどが重要な要素となる可能性があります。
改善を求めた記録については、残しておかなければ証明することができませんので、LINEなどの残る形で伝えておくのがよろしいかと思います。
——逆に、仕事や趣味で忙しくしていたら、妻に愛想をつかされ、不倫されてしまったという男性の相談もありました。こうした場合、妻を放置していた夫にも法的な責任は生じるのでしょうか。
法的な責任には問われませんが、いわゆる「自業自得」というものでしょうね。不貞相手や妻に慰謝料請求をした場合、「すでに婚姻関係は破綻していた」と反論されてしまう可能性も考えられます。
●すれ違い夫婦にならないために
——どうすれば、すれ違いを防げますか?とくに夫側へのアドバイスをお願いします。
男性にお伝えしたいのは、まずは妻の話に耳を傾けることです。
そのうえで、なぜその趣味が好きなのか、どうして週末にしかできないのかなどの事情や、妻に対する申し訳ないという気持ち、「家族のことは大切に思っている」という思いも言葉にして伝えましょう。
そして、趣味に時間を使う代わりに、家族で過ごす時間や家事分担などに応えるなど、互いに歩み寄ることが大事です。
結婚して家族を持った以上、独身時代と同じような振る舞いはできません。趣味で出かけたときは、お土産を手に帰るなど、気遣いと配慮を忘れないことが、すれ違い夫婦を防ぐ一歩になると思います。