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沖縄高校生「失明」事故、警察官が「警棒」を使用できる条件は?
2022年01月31日 20時04分

若者数百人が1月27日深夜から翌28日未明にかけて、沖縄警察署周辺に集まり、石や爆竹などを投げ付けた騒動の余波がいまだに続いている。

沖縄タイムス(1月28日)などによると、ことの発端となったのは、27日未明に沖縄市で発生した事故だ。バイクで走行中の男子高校生と警察官が接触したもので、その後、高校生は右眼球破裂で失明する大ケガを負った。

事故の前、高校生はコンビニでたむろしていたところ、警察官の姿を見て、補導を恐れてバイクで逃げた。約20分後、現場から離れた場所で、友人らに「警棒で殴られた」と連絡してきたという。

琉球新報(1月31日)によると、接触した警察官は「バイクに停止を求めたが止まらず、接触した」と証言し、故意にけがを負わせる行為はしていないと主張しているようだ。

これに対して、高校生の親族は、接触後の高校生の主張として「突然、警察官が暗闇から出てきて、警棒のような物で殴られた」と話しているという。

当時、警察官が手に警棒を持っていたことがわかったことまでは報じられているが、いまだ事実関係が十分に明らかになっておらず、実際に警棒が使用されたかどうかは定かでない。

ただ、もしも警棒で重傷を負わせたのだとしたら、その使用が正当であったかどうかが問題となるだろう。街で見かける多くの警察官が持ち歩いている警棒だが、どのような時に使用できるのだろうか。

若者数百人が1月27日深夜から翌28日未明にかけて、沖縄警察署周辺に集まり、石や爆竹などを投げ付けた騒動の余波がいまだに続いている。

沖縄タイムス(1月28日)などによると、ことの発端となったのは、27日未明に沖縄市で発生した事故だ。バイクで走行中の男子高校生と警察官が接触したもので、その後、高校生は右眼球破裂で失明する大ケガを負った。

事故の前、高校生はコンビニでたむろしていたところ、警察官の姿を見て、補導を恐れてバイクで逃げた。約20分後、現場から離れた場所で、友人らに「警棒で殴られた」と連絡してきたという。

琉球新報(1月31日)によると、接触した警察官は「バイクに停止を求めたが止まらず、接触した」と証言し、故意にけがを負わせる行為はしていないと主張しているようだ。

これに対して、高校生の親族は、接触後の高校生の主張として「突然、警察官が暗闇から出てきて、警棒のような物で殴られた」と話しているという。

当時、警察官が手に警棒を持っていたことがわかったことまでは報じられているが、いまだ事実関係が十分に明らかになっておらず、実際に警棒が使用されたかどうかは定かでない。

ただ、もしも警棒で重傷を負わせたのだとしたら、その使用が正当であったかどうかが問題となるだろう。街で見かける多くの警察官が持ち歩いている警棒だが、どのような時に使用できるのだろうか。

●警棒が使用できる場面は限られている

警察官の持つ警棒に関するルールは、「警察官等警棒等使用及び取扱い規範(警棒規範)」に定められている。

まず、制服の警察官は、原則として勤務時には警棒を携帯するものとされている(警棒規範8条)。また、基本的に左腰部分に着装することも決められている(同9条)。街や交番で見かける制服の警察官がみな同じように警棒を携帯しているのは、このルールに基づくものだ。

警棒が使用できるケースは限られているが、大きく分けて2つある。

1つは、刑法上の正当防衛または緊急避難に該当する場合だ(警棒規範4条2項1号)。正当防衛や緊急避難に該当するのであれば、その行為は適法なものとして扱われる。適法な使用が認められるのは当然といえる。

もっとも、本当に正当防衛や緊急避難に該当するかどうかは、最終的に裁判所で事実に基づいて判断される法的な評価であるため、「これは正当防衛だ」と判断して使用すれば適法になるというわけではない。

むしろ、どのような凶器であっても、正当防衛や緊急避難に該当する使用態様なら適法になるため、この規定はいわば注意書きのようなものといえる。

●典型例は、警棒を使用せざるを得ないケース

もう1つは、(1)凶悪な罪の犯人を逮捕する際、(2)逮捕状により逮捕する際、または(3)勾引状若しくは勾留状を執行する際、(a)その本人が当該警察官の職務の執行に対して抵抗し、もしくは逃亡しようとする場合、または(b)第三者がその者を逃がそうとして当該警察官に抵抗する場合、これを防ぎまたは逮捕するため他に手段がないと認めるときだ(同4条2項2号)。

これは、凶悪な罪の現行犯が警察官による逮捕を免れようと暴れた際に、警察官が逮捕するためには警棒を使用せざるを得ないというようなケースがその典型だ。

ここでいう「凶悪な罪」とは、死刑、無期、または長期3年以上の懲役・禁錮に当たる凶悪な罪を指す(同2条3項・警察官職務執行法7条ただし書1号)。

仮に今回のケースで警棒の使用が正当だったかどうかが問題となった場合、「凶悪な罪」に当たる行為があったかどうかが焦点になる可能性もある。

また、部隊組織により行動する場合の警棒使用は、原則として、部隊指揮官の命令によらなければならないとされている(警棒規範5条)。

●都道府県単位で訓令を定めているところも

警棒の使用方法については、「事態に応じ、警棒等を有効に使用するよう努めなければならない(警棒規範4条1項)」「相手以外の者に危害を及ぼし、または損害を与えないよう十分に注意しなければならない(同6条)」と定めている程度だ。

なお、都道府県単位では、警棒規範のほかに、警棒の使用や取扱いについて訓令を定めているところもある。

たとえば、千葉県警は「警察官警棒等使用及び取扱いに関する訓令」をホームページで公開しており、警棒使用では「必要とされる限度を超えないこと」「 相手方もしくは第三者から奪取され、または逆用されることのないよう心掛けること」に留意するよう定めている。

警視庁にも、少し名称は異なるが同じ訓令として「警視庁警察官警棒等使用及び取扱規程」がある。千葉県警と同様の内容に加え、「相手に傷害を与えた場合は、速やかに救護その他の措置をとるよう心掛けること」を定めている。こちらもホームページで公開している。

群馬県警や香川県警も同じような訓令を定め、それぞれのホームページで公開しているが、千葉県警や警視庁とは異なり、使用方法については何も定めていない。携帯時や使用報告などのルールがあるのみだ。

渦中の沖縄県警のホームページには同種の訓令が見当たらないため、詳細は不明だが、訓令の有無で警棒使用の要件が変わることはない。

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