1866.jpg
「気持ち悪いとかの次元じゃない」女性の下着をSNSに投稿 "ゴミ袋あさり下着救出"の闇…罪に問えないのか
2024年03月11日 10時05分
#下着救出 #ゴミ

春の新生活を前に、一人暮らしを始める女性は「下着の処分」について慎重にならざるをえないかもしれない。

ゴミ袋をあさられて女性用下着を盗まれたという被害がSNSで相次いで投稿されている。ゴミ袋から回収した下着の画像だとして、SNSに投稿する人も確認されており、そうした投稿者は「下着を救出している」と主張しているが、理解に苦しむ。

こうした"活動”をする人たちは「下着救出界隈」と呼ばれ、そのおぞましさから「気持ち悪いとかの次元じゃない」などと嫌悪の反応が見られる。

下着メーカーによると、女性のブラジャーを捨てるには、燃えるゴミ(布)と燃えないゴミ(ワイヤー・ホック・アジャスター)を切り分ける必要がある(※地域によって分別方法は異なることがある)。メーカーによっては不要になった商品を回収しているが、消費者が気軽にいつでも利用できるわけではない。

このように処分に手間がかかるほか、上記のような「ゴミ袋あさり」を懸念して、なかなか自分では捨てられず、ホテルに泊まる機会に捨てていくという女性もいるほどだ。

また、娘の下着を切り刻んで小袋に包んでからゴミ袋に入れる家庭もあるといい、女性たちは下着の適切な処分に困っている状況があると言えそうだ。

SNS上では「とんでもねぇ」「闇が深い」といった反応が見られる。はたして、ゴミ袋から下着をあさり、それをSNSに投稿する行為は、犯罪に問われないのだろうか。寺林智栄弁護士に聞いた。

春の新生活を前に、一人暮らしを始める女性は「下着の処分」について慎重にならざるをえないかもしれない。

ゴミ袋をあさられて女性用下着を盗まれたという被害がSNSで相次いで投稿されている。ゴミ袋から回収した下着の画像だとして、SNSに投稿する人も確認されており、そうした投稿者は「下着を救出している」と主張しているが、理解に苦しむ。

こうした"活動”をする人たちは「下着救出界隈」と呼ばれ、そのおぞましさから「気持ち悪いとかの次元じゃない」などと嫌悪の反応が見られる。

下着メーカーによると、女性のブラジャーを捨てるには、燃えるゴミ(布)と燃えないゴミ(ワイヤー・ホック・アジャスター)を切り分ける必要がある(※地域によって分別方法は異なることがある)。メーカーによっては不要になった商品を回収しているが、消費者が気軽にいつでも利用できるわけではない。

このように処分に手間がかかるほか、上記のような「ゴミ袋あさり」を懸念して、なかなか自分では捨てられず、ホテルに泊まる機会に捨てていくという女性もいるほどだ。

また、娘の下着を切り刻んで小袋に包んでからゴミ袋に入れる家庭もあるといい、女性たちは下着の適切な処分に困っている状況があると言えそうだ。

SNS上では「とんでもねぇ」「闇が深い」といった反応が見られる。はたして、ゴミ袋から下着をあさり、それをSNSに投稿する行為は、犯罪に問われないのだろうか。寺林智栄弁護士に聞いた。

●ゴミ捨て場のゴミには「管理権」が及んでいる

まず、ゴミ捨て場のごみ袋から下着をあさる行為は、窃盗罪(刑法235条)に該当する可能性があると考えます。

捨てられた物なので、誰の占有にも属していないため、占有離脱物横領罪(刑法256条)に該当するか、もしくは犯罪にならないと思われる方もいるかもしれません。

しかし、ゴミ捨て場にあるゴミには、その場所の管理者の「管理権」が及んでいるといえます。たとえば、マンションやアパートのゴミ捨て場であれば管理会社や大家、住宅街のゴミ捨て場であれば町内会長などです。

そういった管理者の管理権限を侵害して、ゴミをあさっていくのであれば、窃盗罪に該当するでしょう。

自治体によっては、ゴミの持ち去りは条例で禁止されていて、罰金などの罰則が設けられていることもあります。

また、ゴミは個人のプライバシーを反映するもので、袋を縛って閉じて出されている以上、その中身をあさられないという法的利益が、プライバシー権の一環として保障されていると考えられます。

袋を開けてゴミをあさる行為は、こういった個人のプライバシーの侵害に該当します。

たしかに、一度ゴミ捨て場に捨てられたゴミが誰のものかを特定することは難しいかもしれませんが、ゴミの中には、捨てた人を特定するものが含まれていることも少なくないでしょう。

そうであれば、ゴミをあさる行為が上記のような法的利益を侵害する不法行為(民法709条)にあたるとして、民事上、慰謝料を請求されることもありえます。

一方で、あさった下着をSNSに投稿する行為については、今のところ処罰する法令はありません。

ですが、SNSに投稿すれば、投稿者が特定できる可能性があり、あまりに何度もこういった行為に及んでいる場合には、捜査機関に人物が特定されて、摘発される可能性があります。

投稿者がどのようなつもりで、ゴミ捨て場から盗んできた下着をSNSにあげているのかはわかりませんが、摘発される前に速やかにやめることをおすすめします。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る