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「日本人ファースト」vs「憲法守れ」 参院選が映す分断と揺れる日本政治
2025年08月17日 08時39分
#憲法 #参政党 #参院選

投票率が上昇した7月の参議院選挙。弁護士ドットコムニュースが「あなたの『一票』の決め手」をテーマに体験談を募集したところ、約100件の多様な声が寄せられました。

とにかく自公以外に。外国人問題は待ったなし。憲法だけは変えないでほしい──。

その1票に込められたのは、怒りか、期待か、それとも諦めか。寄せられた意見からは、今の日本社会の縮図が浮かび上がります。

投票率が上昇した7月の参議院選挙。弁護士ドットコムニュースが「あなたの『一票』の決め手」をテーマに体験談を募集したところ、約100件の多様な声が寄せられました。

とにかく自公以外に。外国人問題は待ったなし。憲法だけは変えないでほしい──。

その1票に込められたのは、怒りか、期待か、それとも諦めか。寄せられた意見からは、今の日本社会の縮図が浮かび上がります。

●【怒りと失望】「もう自公は無理」 消去法の先に見えた選択肢

最も多かったのは、政権与党、特に自民党への厳しい意見です。裏金問題や税制への不信感が、有権者を投票所へと向かわせる原動力となったようです。

「とにかく自公連立をやめてほしくて考えました。自公になってからとにかく酷い事件が増えたと思っています」(静岡県・59歳・女性)

「自民党の裏金問題や増税棄民政策や統一教会との政教分離違反などのせいで今の日本国民は生き地獄に突き落とされていて、あらゆる年代で『早く死にたい』という訴えがある」(広島県・50代・女性)

「裏金議員の処罰もしない自民党には決して入れない」(会津若松市・73歳・男性)

ただ、必ずしも明確な受け皿があるわけではありません。

「自民党・公明党・共産党・奇をてらった党を除くと、だいたい国民民主党あたりに落ち着く」(東京都・55歳・男性)という声に代表されるように、『消去法』で投票先を決める有権者は少なくなかったとみられます。

一方で、「今の野党よりまし」(兵庫県・71歳・男性)と安定を求める声や、「総理を変えればまだまだいけます。今の野党には、世界に通用できる党は残念ながらありません」(静岡・77歳・男性)などと、自民党の底力に期待する意見も寄せられました。

●【新たな潮流】「日本人ファースト」に共感…外国人や安全保障を懸念

目立ったのが、参政党や日本保守党といった新興政党への支持です。その背景には、「増える外国人」や「日本の国益」への危機感があるようです。

投票の決め手として、次のような声がありました。

「日本人ファースト 国民目線の政策」(神奈川県・70代・女性)

「外国人問題 夫婦別姓反対 減税 スパイ防止法案」(茨城・54歳・男性)

「京都は外国人が多すぎてうんざりする。マナーも悪い。教師をしているが、外国人に対して配慮、多文化共生など、日本人の生徒に押し付けているところが気分わるい」(京都市・55歳・女性)

「埼玉などを中心に外国人労働者による治安悪化で日本の安全保障や治安が脅かされているため、この問題に対する真剣度合いを最優先にして選びました」(東京都・40歳・女性)

既存の与野党対立では捉えきれない問題意識が見えます。

グローバル化が進む中、自国のアイデンティティや安全を優先してほしいという思いが、「日本人ファースト」を掲げた党の躍進につながったとも言えそうです。

●【守りたいもの】「憲法を変えないで」平和と人権、リベラル層の危機感

今年は戦後80年。「日本人ファースト」支持の広がりと対をなすように、平和や人権、憲法の理念を守ろうとする層の危機感も鮮明になりました。

「今回は平和と憲法守る」(東京都・58歳・女性)

「現行の日本国憲法を1字1句変えてほしくない」「1人でも多くの『護憲派』の議員さんを国会に送りたいです」(岐阜県・50代前半・女性)

「参政党をはじめとする排外主義や差別的発言に対してはっきりと党首が批判を述べている点、憲法改正に反対している点を重視」(愛媛県・33歳・女性)

多様性を尊重する立場からの切実な声も寄せられました。

「私自身が女性・地方出身・LGBTQ当事者などの要素を持ち、海外ルーツの友人や同僚も複数いるため、初めて明確に『身の危険を感じる』選挙だった」(東京都・27歳・女性)

こうした対立は、今後の日本社会の方向性を左右する重要な論点になるかもしれません。

●【信じて、裏切られて】「日本のシステムは冷たい」根深い政治不信と新風に期待

党派を問わず、多くの有権者が口にしたのが、政治家や政党に対する根深い不信感です。

「どの政党の誰が当選しても日本は生きづらい。日本のシステムは冷たい。投票する気が失せた」(埼玉県・50代・女性)

「選挙公報が胡散臭いし、ホントにやるのと思ってます」(東京都調布市・40歳・男性)

不信感は政治への諦めを生む一方、「何かやってくれそうな党へ入れました」(北海道・50代・女性)、「若い力で新しい風を」(兵庫県・64歳・女性)と、新しいリーダーやムーブメントに望みを託す動きにもつながっていました。

経済政策への期待、生活への不安、そして政治への不信──。

100人近い声からは、経済的停滞の中で分断が進む日本社会のリアルが浮かび上がります。政治はこれらの切実な願いに応えられるのでしょうか。

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