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職務時間中に「喫煙」した職員は停職! 大阪市役所の「厳罰化」は問題ないか?
2013年07月23日 15時35分

橋下徹市長が禁煙徹底を呼びかけている大阪市役所で、勤務中の喫煙を理由にした懲戒処分が相次いでいる。6月に喫煙を理由に停職処分を受けた職員は4人にのぼった。そのうちの一人は消防署長。勤務時間中に公用車や消防署併設の官舎でタバコを吸ったとして、3ヶ月の休職処分を受けた。この消防署長は処分当日、依願退職したという。

大阪市役所では昨年5月、橋下市長の号令のもと、内規で職務時間中の喫煙を全面禁止した。朝日新聞の報道によると、1年間で50人が停職処分を受けた。一部の部局では「隠れタバコ」を摘発するための査察チームが組まれるほどの厳戒態勢なのだという。

職員の多くは、この喫煙規定が設けられる前の入庁のはずだ。「就職したときに聞いていないよ!」と不満に思っている職員もいるだろう。それなのに、勤務中に喫煙したら停職処分というのは、厳罰すぎないだろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。

●「喫煙」を懲戒対象とすることは自体は有効

この問題を法律的に考えるときに、ポイントが2つあると今井弁護士は言う。

一つは「職務時間中に喫煙したことに対して、懲戒処分を発動できるのか」という点。もう一つは「仮に発動できるとしても、長期間の停職は重すぎはしないか」という点だ。

まず一つ目の、市長は「懲戒処分を発動できるのか」という点についてみてみよう。

「市長は『服務規律刷新プロジェクトチーム』に議論をはかった上で、昨年5月に、禁煙を徹底することと、違反職員は今までより重い懲戒処分の対象となりうるとの『通達』を職員に向けて発しています」

今井弁護士によると、これらの手続きに問題点は見あたらないため、職務時間中の喫煙が懲戒対象になることも違法とはいえないという。

●月単位の「停職処分」はさすがに厳罰すぎる可能性も

2つ目の「停職という処分は重すぎるのではないか」という問題について、今井弁護士は、このような重い処分は、「裁量権」の範囲を逸脱していると考える余地もあるという。

原則として、懲戒の対象となる行為をした職員に対して、「戒告処分」ですませるか、「減給」や「停職」や「免職」にするか、また「停職」であれば何日にするかは、法律上、任免権者である市長の「裁量」に任されている。

だが一方で、それが社会観念上著しく妥当性を欠くような場合は、「裁量権の逸脱や濫用」として違法とする判例も定着していると、今井弁護士は指摘する。

「とはいえ、実際のところ、『裁量行為の取消』を裁判上請求しても、裁判所は行政の『裁量権』をかなり重んじる傾向があります」

実務では、裁判所は行政寄りの判断をすることが多いようだ。停職処分となった職員は争うことはできないのか。

「火事になったり、交通機関が止まったりする現実的な危険性がある状況でタバコを吸った場合は別でしょうが、懲戒処分歴のない真面目な職員が、数回程度、勤務時間中に喫煙をしたからといって、停職処分、それも月単位の停職とするのを、裁判所が『裁量の範囲内』と判断するかは疑問ですね」

停職処分自体、受けた職員にとっては法律的にも経済的にもさまざまな不利益のある重たい処分だ。しかも月単位に及ぶ厳罰であれば、裁判所でも違法判決が出る可能性もあるという。

「懲戒処分を受けた職員に不服があれば、裁判にして、司法の場で争ってみる意義は十分にあると考えます」

と今井弁護士は語った。

(弁護士ドットコムニュース)

橋下徹市長が禁煙徹底を呼びかけている大阪市役所で、勤務中の喫煙を理由にした懲戒処分が相次いでいる。6月に喫煙を理由に停職処分を受けた職員は4人にのぼった。そのうちの一人は消防署長。勤務時間中に公用車や消防署併設の官舎でタバコを吸ったとして、3ヶ月の休職処分を受けた。この消防署長は処分当日、依願退職したという。

大阪市役所では昨年5月、橋下市長の号令のもと、内規で職務時間中の喫煙を全面禁止した。朝日新聞の報道によると、1年間で50人が停職処分を受けた。一部の部局では「隠れタバコ」を摘発するための査察チームが組まれるほどの厳戒態勢なのだという。

職員の多くは、この喫煙規定が設けられる前の入庁のはずだ。「就職したときに聞いていないよ!」と不満に思っている職員もいるだろう。それなのに、勤務中に喫煙したら停職処分というのは、厳罰すぎないだろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。

●「喫煙」を懲戒対象とすることは自体は有効

この問題を法律的に考えるときに、ポイントが2つあると今井弁護士は言う。

一つは「職務時間中に喫煙したことに対して、懲戒処分を発動できるのか」という点。もう一つは「仮に発動できるとしても、長期間の停職は重すぎはしないか」という点だ。

まず一つ目の、市長は「懲戒処分を発動できるのか」という点についてみてみよう。

「市長は『服務規律刷新プロジェクトチーム』に議論をはかった上で、昨年5月に、禁煙を徹底することと、違反職員は今までより重い懲戒処分の対象となりうるとの『通達』を職員に向けて発しています」

今井弁護士によると、これらの手続きに問題点は見あたらないため、職務時間中の喫煙が懲戒対象になることも違法とはいえないという。

●月単位の「停職処分」はさすがに厳罰すぎる可能性も

2つ目の「停職という処分は重すぎるのではないか」という問題について、今井弁護士は、このような重い処分は、「裁量権」の範囲を逸脱していると考える余地もあるという。

原則として、懲戒の対象となる行為をした職員に対して、「戒告処分」ですませるか、「減給」や「停職」や「免職」にするか、また「停職」であれば何日にするかは、法律上、任免権者である市長の「裁量」に任されている。

だが一方で、それが社会観念上著しく妥当性を欠くような場合は、「裁量権の逸脱や濫用」として違法とする判例も定着していると、今井弁護士は指摘する。

「とはいえ、実際のところ、『裁量行為の取消』を裁判上請求しても、裁判所は行政の『裁量権』をかなり重んじる傾向があります」

実務では、裁判所は行政寄りの判断をすることが多いようだ。停職処分となった職員は争うことはできないのか。

「火事になったり、交通機関が止まったりする現実的な危険性がある状況でタバコを吸った場合は別でしょうが、懲戒処分歴のない真面目な職員が、数回程度、勤務時間中に喫煙をしたからといって、停職処分、それも月単位の停職とするのを、裁判所が『裁量の範囲内』と判断するかは疑問ですね」

停職処分自体、受けた職員にとっては法律的にも経済的にもさまざまな不利益のある重たい処分だ。しかも月単位に及ぶ厳罰であれば、裁判所でも違法判決が出る可能性もあるという。

「懲戒処分を受けた職員に不服があれば、裁判にして、司法の場で争ってみる意義は十分にあると考えます」

と今井弁護士は語った。

(弁護士ドットコムニュース)

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