1959.jpg
「レッドブルを飲んでも翼が生えない!」カナダで集団訴訟→日本だったらどうなる?
2019年09月25日 09時53分

レッドブルを飲んだら、翼が生える――。本当にそう信じた人たちが、飲んでも翼が生えないのは「虚偽広告」にあたるとして、レッドブル社(オーストリア)を相手取って、カナダで集団訴訟を起したところ、このほど和解に至ったそうです。

米誌『Newsweek』などによりますと、あるカナダ人男性が2016年、レッドブル社は、製品の効能について、誤った情報を広めているとして、集団訴訟を起こしました。レッドブルに含まれる成分が、コーヒーのような他の安価な製品より効能が高いとうたっていることが法律違反だと主張していました。

レッドブルはカフェイン入りの炭酸飲料(エナジードリンク)で、「翼をさずける」というキャッチコピーで知られています。今回の和解によって、レッドブル社は、総額85万カナダドル(64万米ドル)、1人あたり10米ドルの補償金を支払うことになったということです。

カナダとは法律が違いますが、今回のような訴訟は、日本でも可能なのでしょうか。「翼をさずける」というキャッチコピーは法的に問題ないのでしょうか。消費者問題にくわしい上田孝治弁護士に聞きました。

レッドブルを飲んだら、翼が生える――。本当にそう信じた人たちが、飲んでも翼が生えないのは「虚偽広告」にあたるとして、レッドブル社(オーストリア)を相手取って、カナダで集団訴訟を起したところ、このほど和解に至ったそうです。

米誌『Newsweek』などによりますと、あるカナダ人男性が2016年、レッドブル社は、製品の効能について、誤った情報を広めているとして、集団訴訟を起こしました。レッドブルに含まれる成分が、コーヒーのような他の安価な製品より効能が高いとうたっていることが法律違反だと主張していました。

レッドブルはカフェイン入りの炭酸飲料(エナジードリンク)で、「翼をさずける」というキャッチコピーで知られています。今回の和解によって、レッドブル社は、総額85万カナダドル(64万米ドル)、1人あたり10米ドルの補償金を支払うことになったということです。

カナダとは法律が違いますが、今回のような訴訟は、日本でも可能なのでしょうか。「翼をさずける」というキャッチコピーは法的に問題ないのでしょうか。消費者問題にくわしい上田孝治弁護士に聞きました。

●特定適格消費者団体による救済制度がある

――今回のような集団訴訟は日本で可能でしょうか?

日本では、集団的な消費者被害に関する救済制度があります。この制度は、一定の要件を満たして、内閣総理大臣から認定された「特定適格消費者団体」が、消費者に代わって被害回復裁判手続をおこなって、事業者から被害金額を取り戻したうえで、被害者に分配するという仕組みです。

したがって、一般論で言えば、不当な広告などを信じて商品を購入した多数の消費者がいる場合、この制度に基づいて、集団的に支払った商品代金を取り戻すことができます。

――広告は規制されているのでしょうか?

広告については、景品表示法で、品質や内容に関する不当表示として「優良誤認表示」が、取引条件に関する不当表示として「有利誤認表示」が禁止されています。このうち、優良誤認表示というのは、商品などの品質その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると示すこと、また、事実に相違して他の事業者よりも著しく優良であると示すことです。

たとえば、国産有名ブランド牛の肉であるかのように表示していたところ、実際はブランド牛ではない国産牛肉だったようなケースがこれにあたります。

●「翼をさずける」だけでは「不当表示」にあたらない

――「翼をさずける」というキャッチコピーは?

「翼をさずける」というキャッチコピーについて言えば、これは、レッドブルを飲めば、そのぐらい元気になるというようなイメージ表現であって、実際に翼が生えてくるという意味でないことは明らかです。そこだけで言えば、不当表示にはもちろんあたりません。仮に、レッドブルを飲んで、本当に翼が生えてきたとしたら、そのほうが、よほど問題になるのではないでしょうか。

もちろん、レッドブルの広告において、その含有する成分や具体的な効能などについて実際よりも著しく優良なものであるような表示がされているのであれば、不当表示にあたる可能性があります。そのときには、「翼をさずける」というキャッチコピーが、表示の不当性の象徴的な表現になるとは思います。

――消費者は損害賠償をもとめることはできるのか?

景品表示法に基づく不当表示規制に違反した場合、行政による差し止めなどの措置命令や、課徴金納付命令という仕組みは用意されています。しかし、商品の購入者の損害賠償請求など、民事的な請求を直接根拠づける規定は景品表示法にはありません。

したがって、不当な表示を信じて商品を購入したことが、民法の不法行為に基づく損害賠償請求などの要件を満たしてはじめて、購入者である消費者は、「特定適格消費者団体」による被害回復制度を利用して返金を受けることが可能になります。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る