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DL違法化見送り、古屋議員「皆が納得できる法律に」 …相次いだ反対の声
2019年03月13日 13時15分

自民党は3月13日、ダウンロード違法化の範囲拡大を盛り込んだ著作権法改正案の通常国会提出を見送ることを決めた。党内で先陣を切って、改正案に反対していたMANGA(漫画)議連会長の古屋圭司衆院議員は、ツイッターで「自民党の良識を示せたと思う」と報告。今後について「皆が納得できる法律に仕上る。その為に党主導で関係者からヒアリングなど丁寧な対応をしていく」としている。

自民党は3月13日、ダウンロード違法化の範囲拡大を盛り込んだ著作権法改正案の通常国会提出を見送ることを決めた。党内で先陣を切って、改正案に反対していたMANGA(漫画)議連会長の古屋圭司衆院議員は、ツイッターで「自民党の良識を示せたと思う」と報告。今後について「皆が納得できる法律に仕上る。その為に党主導で関係者からヒアリングなど丁寧な対応をしていく」としている。

●反対声明があいついだ

音楽や映像だけでなく、漫画や写真など、あらゆる著作物について、ダウンロード違法化の対象を広げる著作権法改正案は昨年秋、いわゆる海賊版サイト対策として、突如浮上したものだ。

漫画家や研究者でつくる日本マンガ学会が「研究・創作の萎縮を招く懸念が大きい」とする声明を発表(1月23日)。著作権法や情報法の研究者が「さらに慎重な議論を重ねることが必要だ」とつづいた(2月19日)。さらに、全国同人誌即売会連絡会や日本建築学会など、各分野から反対声明があいついだ。

自民党の文部科学部会・知的財産戦略調査会合同会議(2月22日)では、改正案がいったん承認されたが、党内でも懸念が広がり、総務会(3月1日)で「関係者への聞き取りが不十分」として差し戻された。さらに、安倍首相がダウンロード違法化拡大の削除を指示したと報道されるなど、まさに異例の展開をたどっていた。

●「引き続き動静に注視したい」

改正案の提出が見送りとなった3月13日には、有志の弁護士グループが、憲法が保障する「表現の自由」や「知る権利」の観点から問題があり、ネット監視や別件捜査・捜索に利用される危険性があるとして、強く反対する声明を発表した。

この声明には、鐘ケ江啓司弁護士、古家野彰平弁護士、清水谷洋樹弁護士、壇俊光弁護士、野田隼人弁護士の5人が発起人として名前を連ねている。鐘ケ江弁護士が3月12日、自身のフェイスブック上で呼びかけて、13日午前9時までに発起人とあわせて弁護士110人が賛同を表明している。

鐘ケ江弁護士は、弁護士ドットコムニュースに対して「フェイスブックの投稿から半日余りで100人を越える賛同者が集まりました。法律実務家の目線から見て問題が大きい法案であることのあらわれです。今国会提出見送りとの報道もありますが、引き続き動静に注視したいと思います」とコメントした。

・ダウンロード違法化の対象範囲の拡大に反対する緊急声明

http://danblog.cocolog-nifty.com/index/2019/03/post-75bb.html

・鐘ケ江弁護士のフェイスブックページ

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=501758567017087&id=100015488435952

(弁護士ドットコムニュース)

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