2167.jpg
サッカー日本代表・佐野海舟さん、不同意性交容疑で逮捕…もし有罪なら「実刑」ある?
2024年07月17日 18時24分
#実刑 #佐野海舟 #不同意性交 #サッカー日本代表

サッカー日本代表として今年のアジアカップにも出場した佐野海舟さんが2人の知人男性らとともに30代の女性に性的暴行をしたとして、警視庁に不同意性交等罪で逮捕された。

佐野さんの認否は明らかになっておらず、突然の事態にファンも衝撃を受けている。事件直後に現場近くで身柄を確保されたともされるなかで、今後は起訴されたり、実刑判決を受ける可能性もあり得るのだろうか。弁護士が解説する。

サッカー日本代表として今年のアジアカップにも出場した佐野海舟さんが2人の知人男性らとともに30代の女性に性的暴行をしたとして、警視庁に不同意性交等罪で逮捕された。

佐野さんの認否は明らかになっておらず、突然の事態にファンも衝撃を受けている。事件直後に現場近くで身柄を確保されたともされるなかで、今後は起訴されたり、実刑判決を受ける可能性もあり得るのだろうか。弁護士が解説する。

●「驚いている」移籍先マインツも困惑

報道を受け、元所属先のJ1鹿島アントラーズは7月17日、「元所属選手に関する事案であるためクラブとしても大変憂慮しております」と声明を出した。今月4日に移籍が発表されたばかりのドイツ1部リーグ・マインツからも「新加入の佐野海舟が母国で逮捕されたという日本のメディアの報道に驚いた」などの声明が出ている。

FNNプライムオンラインなどによれば、逮捕容疑は7月14日午前4時過ぎ、ホテル(文京区)で、30代の女性に性的暴行を加えた疑い。女性からの110番通報を受けて駆け付けた警察官が、ホテル周辺で佐野さんらを見つけて、その後逮捕したという。

佐野さんらは13日夜から女性の友人女性を含む計5人で港区で食事をしてから「飲み直そう」と湯島のホテルに移動し、友人女性が帰宅した後に性的暴行に及んだとみられるなどとも報じられている。

佐野さんが逮捕された不同意性交等罪とは何か。そして、仮に有罪判決だった場合には実刑の可能性も考えられるのだろうか。元検事の西山晴基弁護士に聞いた。

●女性が同意したか・同意できる状態だったかが調べられる

——不同意性交等罪とはどのような罪でしょうか。

暴行を用いるなどして、同意しない意思を形成・表明することが困難な状態などで、性交や口腔性交などに及ぶ犯罪です。

飲酒などの影響で「同意」しない意思を形成・表明が困難な状態にある人に対して、犯行に及んだ場合も同様です。2023年の刑法改正以前の「準強制性交等罪」とは、「抵抗」が著しく困難な状態にある人に対する行為であることが要件とされていた点で異なります。

——佐野さんらは事件直後に身柄を確保されたと報じられています。どのような捜査が進められるでしょうか。

もし酩酊状態の女性に犯罪行為がなされた事案である場合には、たとえばふらついている様子があるかなど、被害女性の飲酒量や飲酒による酩酊状態について、状況の客観的な裏付け捜査を行っているものと思われます。

具体的には、通報直後の女性の呼気検査や血液検査、飲酒先の領収書の確認、防犯カメラなどが調べられているでしょう。

また、報道によると、今回の犯行は、ホテルから友人女性が帰った後、被害女性が1人になった状況で行われたとも報じられています。警察は、この友人女性にも、帰る直前の被害女性の酩酊状態について詳しく聴取するとともに、被害女性との間の事件前後のメッセージのやり取りもおさえているものと思われます。

他方で、当時の具体的な状況については、逮捕された3人がそれぞれ自分の責任を軽くする目的で異なる供述をする可能性があるため、警察は、3人の供述に食い違いがないかを確認しながら初期供述をおさえていると考えられます。もし、性行為があったこと自体に争いがある場合には、被害女性の体に3人の体液等が付着していないかについて、微物の採取・鑑定も進めていると思われます。

●「法定刑は5年以上の懲役」裁判になれば示談しても刑事処罰は免れない

——佐野さんが起訴されたり実刑判決を言い渡される可能性はあるのでしょうか。

不同意性交等罪は、法定刑が「5年以上」の懲役と重い犯罪になります。そのため、有罪となった場合には実刑になる可能性があります。

本件では、被害女性が同意していたか、同意できる状態にあったかについて、逮捕された佐野さんたちの認識に相違がある可能性もあり、今後、裁判で争われることも考えられます。

しかし、刑事裁判は、一度裁判になってしまうと、無罪にならない限り、その後に示談したとしても刑事処罰を免れることはできません。

不同意性交等罪は非申告罪ですが、起訴前に示談が成立した場合、起訴猶予となる可能性もあります。そのため、佐野さんとしては、刑事処罰のリスクを避けるため、裁判になる前に、早期の示談による解決を目指す可能性もあるのではないかと思われます。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る