8115.jpg
ワタミ創業者・渡邉美樹議員、過労死遺族に「労働観」尋ねるやりとりが物議
2018年03月14日 12時31分

居酒屋チェーンなどを展開する「ワタミ」創業者で、参議院議員の渡邉美樹氏(自民党)が3月13日、参院予算委員会の公聴会で「働き方改革」を不十分とする過労死遺族に「労働観」などを尋ねる一幕があり、ネットで物議を醸している。

ワタミでは、2008年に子会社「ワタミフードサービス」で、入社2か月の女性社員(当時26)が過労自殺する事件が発生。残業時間は月140時間以上あった。遺族対応もまずく、社会的な批判にさらされた(2015年和解)。

渡邉氏が質問した相手は、公述人として出席した中原のり子氏(東京過労死を考える家族の会代表)。1999年に小児科医だった夫を過労自殺で亡くしている。中原氏は弁護士ドットコムニュースに対し、次のように語った。

「一度過労死を起こしたブラック企業だって、ホワイト企業になれるのに…。彼は『こういう働き方をしたい労働者もいる』と言うけど、そういう『働かせ方』をしたい人がいるんだなと。経営者代表で出席しているんだと思いました」

居酒屋チェーンなどを展開する「ワタミ」創業者で、参議院議員の渡邉美樹氏(自民党)が3月13日、参院予算委員会の公聴会で「働き方改革」を不十分とする過労死遺族に「労働観」などを尋ねる一幕があり、ネットで物議を醸している。

ワタミでは、2008年に子会社「ワタミフードサービス」で、入社2か月の女性社員(当時26)が過労自殺する事件が発生。残業時間は月140時間以上あった。遺族対応もまずく、社会的な批判にさらされた(2015年和解)。

渡邉氏が質問した相手は、公述人として出席した中原のり子氏(東京過労死を考える家族の会代表)。1999年に小児科医だった夫を過労自殺で亡くしている。中原氏は弁護士ドットコムニュースに対し、次のように語った。

「一度過労死を起こしたブラック企業だって、ホワイト企業になれるのに…。彼は『こういう働き方をしたい労働者もいる』と言うけど、そういう『働かせ方』をしたい人がいるんだなと。経営者代表で出席しているんだと思いました」

●「私も10年前に愛する社員を亡くしている」

渡邉氏は、「私も10年前に愛する社員を亡くしている経営者でございます。過労死のない社会をなんとしても実現したいと、そのように私も考えております」と前置きして質問をスタート。

現在の国会の議論は「働くことが悪いことである」ように聞こえてくるといい、働くことは「生きがいであり、自己実現であり、人は働くことでたくさんのありがとうを集め、成長していくそんな大事なもの」と自身の労働観を披露。中原氏に労働についてどう考えるかを問うた。

薬剤師でもある中原氏は、労働には社会参画の側面もあるとしつつ、「苦しいとかノルマだけを課せられるというのは違うと思う。決して私は労働に関して全てを否定するものではありません」と答えた。

●高プロ制「働く方々にとって良いことなのではないかと実は思っております」

この日の公聴会で中原氏は、高年収(1075万円以上)の一部専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制(高プロ制)」への反対を表明。夫の事例から過労死を増やすとして、採用すべきでないと述べていた。

一方、渡邉氏は「会社にとっては私はどうでもいいと思うんです。働く方々にとって良いことなのではないかと実は思っております」「結果として労働時間も収まり、みんながハッピーになるのではないか」と持論を展開。制度を望んでいる労働者もいるとして、中原氏にどのような前提条件があれば導入できるかと尋ねた。

これに対し、中原氏は「導入は難しい」とコメント。1日の労働時間の上限規制がないことや、終業から始業までの間に一定の休息を確保する勤務間インターバル制度がほとんど導入されていないことなどを理由にあげた。

【追記:3月16日19時45分】

中原氏は公聴会後、渡邉氏に抗議。3月16日夕方、渡邉氏が謝罪した。党からの指示で質問に立ったなどの説明があったという。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る