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悪質ホスト問題、売掛廃止も「新手口」で被害減らず…スカウト暗躍「入店前に闇金で借りさせる」
2024年04月07日 09時44分
#売掛 #悪質ホスト

新宿・歌舞伎町のホストクラブの多くは、今月から売掛(ツケ)での支払いを全廃する方針を掲げる。社会問題化したことへの対応だが、その裏で悪質ホストたちは新たな手口に流れている。女性に消費者金融や闇金で入店前に金を調達させたり、クレジットカードを次々と作らせて限度額まで使わせたりするなどのやり口だ。被害者支援にあたる団体に寄せられた相談者の被害額は4億円を超え、相談者は増え続けている。(ジャーナリスト・富岡悠希)

(2025年5月19日追記) 田中芳秀氏は、コカインを所持したとして麻薬取締法違反の疑いで警視庁に逮捕されたと2025年5月19日に報じられました。

新宿・歌舞伎町のホストクラブの多くは、今月から売掛(ツケ)での支払いを全廃する方針を掲げる。社会問題化したことへの対応だが、その裏で悪質ホストたちは新たな手口に流れている。女性に消費者金融や闇金で入店前に金を調達させたり、クレジットカードを次々と作らせて限度額まで使わせたりするなどのやり口だ。被害者支援にあたる団体に寄せられた相談者の被害額は4億円を超え、相談者は増え続けている。(ジャーナリスト・富岡悠希)

(2025年5月19日追記) 田中芳秀氏は、コカインを所持したとして麻薬取締法違反の疑いで警視庁に逮捕されたと2025年5月19日に報じられました。

●悪質ホストは「抜け道」を見つけている

「今までは売掛で困っている状況だったのが、それに変わって新しい手口が増えている」

悪質ホストの被害者支援をしている一般社団法人「青少年を守る父母の連絡協議会」(略称:青母連/玄秀盛代表)は3月30日午後、緊急の記者会見を開き、事務局長の田中芳秀さんがこう明かした。この会見には、テレビや新聞などの複数の記者が詰め掛けた。

歌舞伎町のホストクラブは4月からの売掛全廃に向け、1月から段階的に売掛の削減を進めてきたとされる。しかし、業界健全化を目指して導入されたはずの対応の裏で、悪質ホストたちは、しっかりと抜け道を見つけている。

記者会見や筆者による田中さんへの電話取材によると、新しい手口は(1)消費者金融や闇金で入店前に金を調達させる、(2)クレカを次々と作らせて、限度額まで使わせる、または、すでに持っているクレカで入店直後などに精算する――などがある。それぞれの手口が使われるケースもあれば、同時の場合もあるという。

20代女性Aさんは、両方のパターン。ホストから「お金を作れる」友だちとして男性Bを紹介される。AさんとBは、ID・パスワードを共有しながら、新しくメールアカウントを作る。さらにBは身分証や給与明細の画像を渡すようにAさんに指示。Aさん自身にクレジットカードを発行する3社に申し込ませたほか、Bは勝手に複数の消費者金融や銀行などに融資を依頼する。

この際、BはAさんの給与明細の画像を加工して、融資の総額を増やしていた。Bは、暗躍するスカウトと推定される。Aさんは、たしかに数百万円の金が使えるようになった。しかし、それは「店を持ちたい」などと口にしていたホストに騙し取られるかたちで消えた。

●歌舞伎町だけでなく、大阪や札幌にも被害が広がっている

また、女性の身分証が「人質」に取られる相談も増えている。悪質ホストはマイナンバーカードなどの提示を女性に求めたうえで、勝手に写真を撮る。後日、支払いなどでトラブルが起きた際、彼らが強気の態度に出る材料としている。インスタグラムの短尺動画「リール」で、カードをさらされた事例もある。

青母連に寄せられる被害相談は、昨年までは歌舞伎町の店が主だったが、最近は大阪や札幌などからも増えてきた。両地域では、ホストクラブが増加傾向にあることが原因とみられている。

被害の広がりを受け、青母連は地道な注意喚起に動いている。その一つが、全国の大学への呼びかけだ。大学のサイトでは、学生に「カルト宗教」への勧誘警戒を呼びかけており、同じように「悪質ホスト」も扱ってほしいとメールしている。

●68人、総額4億円超の売掛

3月30日の記者会見で、青母連は昨年7月20日に発足して以降の統計データを初めて公表した。

同月末までに、相談をしてきたのは400人近く。そのうち複数回のやり取りをするなどして「継続相談者」と扱えるのは343人だった。

このうち年齢の公表が可能な185人の内訳は、10代が27人、20〜25歳が121人、26〜29歳が26人、30歳以上が11人となった。

売掛の金額を公表できるのは68人に限るが、それだけでも総額4億143万円にのぼる。101〜300万円が23人、31〜100万円が15人でボリュームゾーンとなっているが、301万円以上も25人もいた。300万円を超える借金となると、そうそう返済ができないことは容易に想像がつく。

こうした現状を受けて、田中さんは次のように訴えた。

「青母連に寄せられる相談は、売掛廃止方針で減ったというわけではなくて、変わらず増えている。4月1日から新年度が始まり、大学生や新社会人が各地方の都心のほうに出ていく。繁華街や歓楽街に行くので、ホストクラブでの強引な勧誘について注意喚起していきたい」

画像タイトル 青母連に寄せられた相談概要

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