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五ノ井里奈さん「命を削る思いだった」陸上自衛隊"強制わいせつ"事件、有罪判決から一夜明け心境語る
2023年12月13日 14時52分

「悪ふざけでは済まされない。罪は罪であると訴えてきたことが全面的に裁判所に認められた」

陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県)に所属していた元自衛官の五ノ井里奈さんに対して、わいせつ行為をした罪に問われた元上司の男性3人(懲戒免職)の裁判で、福島地裁は12月12日、いずれも懲役2年・執行猶予4年(求刑・懲役2年)の有罪判決を言い渡した。

報道などによると、男性3人は2021年8月、陸上自衛隊の演習場内で、五ノ井さんをベッドにあおむけに倒し、着衣越しに下半身を接触させるなどの行為をしたとして、強制わいせつ罪に問われていた。

判決から一夜明けた13日に都内で開かれた会見で、五ノ井さんは冒頭のように判決を評価したうえで「私は世の中に声を上げて問題と向き合ってきたが、この戦いが正しいとは思っていない」「誰も夢と希望を失うことなく生きることができるように、いつか声をあげなくても良い社会になってほしい」と訴えた。

「悪ふざけでは済まされない。罪は罪であると訴えてきたことが全面的に裁判所に認められた」

陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県)に所属していた元自衛官の五ノ井里奈さんに対して、わいせつ行為をした罪に問われた元上司の男性3人(懲戒免職)の裁判で、福島地裁は12月12日、いずれも懲役2年・執行猶予4年(求刑・懲役2年)の有罪判決を言い渡した。

報道などによると、男性3人は2021年8月、陸上自衛隊の演習場内で、五ノ井さんをベッドにあおむけに倒し、着衣越しに下半身を接触させるなどの行為をしたとして、強制わいせつ罪に問われていた。

判決から一夜明けた13日に都内で開かれた会見で、五ノ井さんは冒頭のように判決を評価したうえで「私は世の中に声を上げて問題と向き合ってきたが、この戦いが正しいとは思っていない」「誰も夢と希望を失うことなく生きることができるように、いつか声をあげなくても良い社会になってほしい」と訴えた。

●「命を削る思いで、被告人らと法廷で向き合った」

裁判では、強制わいせつと認められる行為の有無が主な争点となった。

被告人側は裁判で「笑いを取るためだった」「下半身の接触はなかった」などとして、わいせつ行為にあたらず、無罪だと主張した。

判決は、被告人らの行為は、性的な意味合いが強いもので、笑いを取るためであったとしてもわいせつ行為にあたると認定。いずれも強制わいせつ罪が成立するとした。

有罪判決が出たときの心境について、五ノ井さんは「当初からずっと訴えてきたことが裁判所に認められて、ホッとしましたし、やっと報われたなという感じ」と振り返った。

「私にとっては命を削る思いで、法廷の場で彼らと向き合ってきました。判決前日も眠れなかったし、『もし正しい判決が出なかったら、私は生きていけるのだろうか』など、いろいろなことを考えてながら当日を迎えました」

判決については評価しているものの、被告人らが五ノ井さんに一度は謝罪したにもかかわらず、公判で無罪主張したことについて、「3人には心から反省してほしいとの思いで戦っていたので、私の思いが彼らに伝わらなかったのは残念」と話した。

「だからこそ、たとえ笑いを取るための行為であっても犯罪になるということを彼らは知る必要があったと思いますし、『悪いことは悪い』ということを社会に知らせることができたのは良かったと思います」

●五ノ井さん「声を上げやすい環境になってほしい」

五ノ井さんは記者会見で「自分の戦い方が正しいとは思わない」ということを複数回、口にした。発言の趣旨を問われると、今回の問題解決は「1日あればできた話だった」と答えた。

「(被害を受けた)最初のころは告発することなんて考えておらず、加害者が認めて直接謝罪して、お互い和解してすぐ仕事に戻るというかたちで、(告発などで社会に訴えるなどせず)組織内で解決できればと思っていました。

しかし、(加害者側が)口裏合わせをしたり、『(ハラスメントを)やっていない』などという話になり、どうしても組織内で解決ができなかったので、苦渋の決断で声を上げました」

告発した五ノ井さんに対して、応援の声が寄せられた一方で、SNSなどを通じて「心を引き裂くような批判的な声」もたくさん届いたという。「声を上げやすい環境になってほしい」と切に願っている。

「まだまだ声を上げられない人、声を上げても取り合ってもらえないという方々がたくさんいます。私のように実名や顔を出して戦う前に、各々が置かれた環境で声を上げれば、お互い不利益がないように解決に導かれるような社会になってほしいと思います。

声を上げた人を叩く世の中ではなくて、一人ひとりが深く考えて視野を広く持って、批判的な言葉ではなく、良い未来に向かっていくような考え方をしてほしいです」

宮城県生まれの五ノ井さんは、東日本大震災で助けてもらって、憧れて自衛隊に入った。複雑な思いがあるものの、「根本的に変わってほしい」と訴える。

「組織が少しずつ変わることを信じていますし、(女性やハラスメント被害などに)配慮のある部隊は増えてきているというのを私も耳にしています。

すぐに変わるとは思いませんが、笑いを取るための行為でも犯罪になるということを踏まえ、意識改善をして再発防止に向けて少しずつ取り組んでほしいなと思います」

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