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立花孝志氏、なぜ「罪を認める」方針に? 示談不成立も想定内…その「意味」とは?
2025年11月17日 17時29分
#立花孝志

名誉毀損の容疑で逮捕された、「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏の弁護人が、自身のYouTubeチャンネルで、罪を認める方針をとることを公表しました。

報道によると、立花氏は、1月に死去した竹内英明元県議に関する虚偽の情報をSNSに投稿したなどとして名誉毀損の疑いで逮捕されていました。

その後、立花氏の弁護人となった石丸幸人弁護士が、自身のYouTubeチャンネルで11月14日、以下の方針を明らかにしました。

・真実相当性(※)は争わない方針
・罪を認めて謝罪すべきところは謝罪する.
・示談も進めていく

(※)真実相当性:発言内容が真実であると信じるに足りる理由があること。名誉毀損罪の成立を阻む要件の一つ。

一方で、竹内氏の遺族側が、示談の申し入れを拒否したとの報道もあります。こうした状況の中で、罪を認める方針で進めることの意味について検討してみます。

名誉毀損の容疑で逮捕された、「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏の弁護人が、自身のYouTubeチャンネルで、罪を認める方針をとることを公表しました。

報道によると、立花氏は、1月に死去した竹内英明元県議に関する虚偽の情報をSNSに投稿したなどとして名誉毀損の疑いで逮捕されていました。

その後、立花氏の弁護人となった石丸幸人弁護士が、自身のYouTubeチャンネルで11月14日、以下の方針を明らかにしました。

・真実相当性(※)は争わない方針
・罪を認めて謝罪すべきところは謝罪する.
・示談も進めていく

(※)真実相当性:発言内容が真実であると信じるに足りる理由があること。名誉毀損罪の成立を阻む要件の一つ。

一方で、竹内氏の遺族側が、示談の申し入れを拒否したとの報道もあります。こうした状況の中で、罪を認める方針で進めることの意味について検討してみます。

●弁護人が罪を認める方針をとる目的は?

示談交渉が拒否されたからといって、この方針が間違っているとか崩れたとかいうことにはなりません。

逮捕・勾留という身柄拘束を受けている場合、最優先の目標は勾留からの解放と不起訴です。

名誉毀損罪は親告罪(※被害者の告訴が必要な犯罪)であり、告訴が取り下げられれば、検察官は起訴することができません(刑法232条1項)。したがって、示談を目指すのはごく自然なことです。

しかし、今回のケースでは、遺族の処罰感情は強いことが当初から想定され、実際に亡くなった元県議のご遺族からすでに示談を拒否されたという報道もあります。

このように、示談成立により告訴が取り下げられる可能性が低い状況でも、罪を認めて謝罪するという方針を貫くことには以下のような意味があると考えられます。

まず、不起訴の可能性を高める要素として、立花氏の反省の態度が重要になってきます。罪を認め、かつ、反省を示して示談交渉を行っていること自体が、検察官の不起訴の判断にプラスの影響を与える可能性があります。

●示談が拒否されても「供託」という手段が考えられる

また、示談交渉が拒否された場合、被害者(本件の場合はご遺族)に対して供託をすることが考えられます。

「供託」とは、お金の受け取りを拒否している被害者などのために、そのお金を供託所(※法務局など)に預ける制度です(民法494条)。被害者がこのお金を受け取ろうと思えば供託金を受け取れる仕組みになっています。

これによって、示談が成立しない場合でも、ある程度は被害回復に向けた努力や真摯な反省の姿勢を検察官や裁判所に示すことができます。

弁護人としては、示談金を供託することや謝罪を続けることで、被害回復への努力や反省の態度があるという情状を積み上げ、最終的に不起訴処分(起訴猶予)や、起訴されたとしても罰金刑や再度の執行猶予を目指すということが考えられます。

●起訴された後は?

起訴された後も、基本的にはいったん決めた罪を認める方針を貫くのが原則です。 つまり先に書いたとおり、実刑を回避して罰金刑か、再度の執行猶予を目指すという方針になります。

また、罪を認めているということで、否認している場合と比べると保釈が通りやすいといえます。

●保釈後に「否認に転じる」選択肢

あまり一般的とはいえませんが、保釈が認められた後、否認に転じるという選択肢も一応考えられます。

否認に転じる一番の目的は当然無罪主張ですが、無罪とならなかった場合にも、いわゆる「弁当切り」がやりやすいというメリットはあります。

「弁当」というのは「執行猶予」の隠語で、たとえば「弁当持ち」という言葉は執行猶予中であることをさします。

「弁当切り」というのは、執行猶予期間が切れることをさしますが、以下のように執行猶予期間が切れることを目指すことが考えられます。

原則として、執行猶予中の人が別の事件で起訴された後、実刑判決が下された場合、執行猶予中の事件についても執行猶予が取り消され、二つの事件で言い渡された刑期の合計分、刑務所に入らなければならなくなります。

しかし、執行猶予中の事件について、執行猶予期間が満了してから、次の事件の実刑判決が確定した場合には、執行猶予期間は既に満了しているので、執行猶予が取り消されることはなくなります。

そこで、今回の事件についての裁判を長引かせて、執行猶予期間を満了させることを目指すわけです。

立花氏は2023年3月に、懲役2年6カ月、執行猶予4年の判決が確定しているとのことです。そこで、裁判が控訴、上告と進み、2027年4月以降まで判決が確定しなかった場合には、前の執行猶予は取り消されないことになります。

(※なお、刑法の改正により「弁当切り」は基本的にできなくなりましたが、本件は改正前に執行猶予の言い渡しがされたものであるため、改正条文が適用されません。「刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和四年法律第六十八号)」448条1項参照)

否認して徹底的に争った方が、数多くの主張・立証が行われることとなるでしょう。無罪判決獲得という意味ではもちろんですが、執行猶予期間が満了する可能性があるという意味でも、このような方法も考えられなくはありません。

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

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