2862.jpg
野外イベントでの「熱中症」は自己責任? 主催者の「対策義務」はどうなっているのか
2014年08月22日 17時07分

夏の厳しい暑さも和らいできたが、まだまだ残暑が続きそうだ。これから高校野球大会や音楽フェスなど、野外のイベントに出かける人もいるだろう。そんな炎天下のイベントで注意したいのが、熱中症だ。

毎年のように数多くの人が、熱中症で病院に搬送されている。とくに野外イベントでは、熱中症のリスクが高い。参加者自身が、水分をこまめにとるなど対策をする必要があるだろう。

では、イベントの主催者は、参加者が熱中症にならないように対策を講じる義務はないのだろうか。渡邉正昭弁護士に聞いた。

夏の厳しい暑さも和らいできたが、まだまだ残暑が続きそうだ。これから高校野球大会や音楽フェスなど、野外のイベントに出かける人もいるだろう。そんな炎天下のイベントで注意したいのが、熱中症だ。

毎年のように数多くの人が、熱中症で病院に搬送されている。とくに野外イベントでは、熱中症のリスクが高い。参加者自身が、水分をこまめにとるなど対策をする必要があるだろう。

では、イベントの主催者は、参加者が熱中症にならないように対策を講じる義務はないのだろうか。渡邉正昭弁護士に聞いた。

●クラブ活動では監督やコーチの責任がポイント

「熱中症による救急搬送や死亡事故で裁判になるケースは、学校のスポーツクラブ活動によく見られます」

渡邉弁護士はこう切り出した。では、スポーツクラブ活動で発生した熱中症の責任は、誰にあるのだろうか。

「クラブの監督やコーチの指示は絶対とされ、選手たちはコントロールされています。自分の意志で熱中症を防ぐのは難しく、熱中症で倒れた場合、監督やコーチの責任が問題となるでしょう」

では、野外イベントの場合はどうだろうか。

「野外イベントでは、主催者側がチラシなどで熱中症に気を付けるよう参加者に呼びかけ、救護室や会場に救護のためのスタッフを配置していることもあります。

そのうえで、参加者側も熱中症予防の工夫をするわけですが、野外イベントで発生した熱中症は、自己責任として処理されがちです」

●イベント主催者が参加者を「コントロール」しているか

しかし、いくら自分で気を付けていても、やむをえず熱中症になってしまうときもある。たとえば、炎天下で長時間の行列を余儀なくされた場合はどうなるのか。

「スポーツクラブ活動と同様に、参加者が自分の意志で熱中症を防ぐことは、やはり難しいと思います。

主催者が参加者の行動をコントロールしているような場合、天候や会場の状況によっては、主催者に熱中症の発生を予見し防止する法律上の義務があります」

行動をどこまでコントロールしているのかがポイントになりそうだ。では、熱中症の防止のためにはどんな取り組みが必要なのだろうか。

「主催者は、気象情報や会場の状況に応じた、適切な防止措置をとらなければなりません。

熱中症の発生が予想される場合には、イベント会場の設営やスタッフの配置、水の用意など、熱中症防止のための正しい知識や経験を活用した、十分な防止措置をとらなければなりません」

渡邉弁護士はこのように締めくくった。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る