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オンライン診療・服薬指導、なぜ解禁されても対応できないのか 初診もOKになったのに…
2020年04月25日 08時50分

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンライン診療・服薬指導が広く認められるようになりました。4月13日からは、再診だけでなく、初診患者のオンライン診療も解禁されました。

しかし、かかりつけの医療機関にオンライン診療を求めても、対応してもらえないことが多いという実態があります。何が問題なのか、どうしたら対応してもらえるのか、現場で働く薬剤師が解説します。(ライター・見習い師)

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンライン診療・服薬指導が広く認められるようになりました。4月13日からは、再診だけでなく、初診患者のオンライン診療も解禁されました。

しかし、かかりつけの医療機関にオンライン診療を求めても、対応してもらえないことが多いという実態があります。何が問題なのか、どうしたら対応してもらえるのか、現場で働く薬剤師が解説します。(ライター・見習い師)

●2月の厚労省通知よりもさらに対象が拡大された

病院・診療所や薬局は、密閉・密集・密接の「3密」の環境であり、風邪や新型コロナウイルス感染患者と濃厚接触の状態になりやすい場所です。

そこで、弁護士ドットコムニュースでも「コロナ問題を機に『薬をもらうためだけの病院通い』が終わる可能性 一時的な規制緩和実現」で報じたように、2月28日、オンライン診療の拡大を認める厚生労働省通知が出されました。

その後も感染拡大が止まらないため、4月10日、「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」との厚生労働省事務連絡が出され、2月の通知よりもさらに、オンライン診療・服薬指導の対象が拡大されました。

その内容は以下の通りです。

●コロナと関係なくても、初診からオンライン・電話診療が可能

<医療機関(病院、クリニック)>

初診であっても、コロナウイルス感染があってもなくても、オンラインや電話での診察が可能になりました。ただし、麻薬、向精神薬、ハイリスク薬を含んでいる場合は、初診でのオンライン診療は不可です。以前に対面診療を行ったことがあれば、向精神薬、ハイリスク薬を処方することも可能です。

オンライン・電話診療を拒否し、対面診療または他の医療機関の受診勧奨をすることも認められています。

備考欄に「0410対応」と記載した処方せんを薬局にFAXする場合、処方せん原本は患者に渡さず、薬局に直接郵送します。料金支払いは、クレジットカード、振込、代金引き落としで対応することも可能です。

●薬を郵送で患者に届けることができる

<薬局>

「0410対応」と記載された処方せんが、医療機関から薬局へFAXされた場合、処方せんの原本として扱うことが可能です。

薬局に来局せず、薬を郵送で患者に届けることもできます。その場合、郵送後、必ず電話で到着確認をしなければなりません。料金支払いは、クレジットカード、振込、代金引き落としで対応することも可能です。

オンライン・電話服薬指導を拒否し、来局するよう伝えることも可能です。

以上の対応をまとめると、病院にも薬局にも行かず、電話だけで薬を入手することもできるようになったということです。ただ、電話で完結できるかどうか判断するのは、医師や薬剤師です。

実際、オンライン・電話診療を希望する患者さんが医療機関に電話しても、断られることが多いと報じられています。

なぜ断られるのか、以下で問題点をまとめます。

●重大な疾患を見逃した場合は医師の責任になる

<医療機関> 最大の問題点は、オンライン診療をしたせいで重大な疾患(結核、肺炎、肺がんなど)を見逃してしまう恐れがあることです。電話やテレビ電話だけで患者の診察を行うことに不安があります。万が一、見逃してしまい、そのせいで重大な結果となってしまった場合は医師の責任となる可能性があります。

オンライン診療料は、対面よりも安いため、経営上の問題が生じます。また、オンライン診療を行うためには研修を受講しなければなりません(コロナの間は研修なしで実施できるが、後で研修必要)。忙しい医師には、研修受講の時間を確保することも難しいものです。

クレジットカード、振込、代金引き落としでの料金支払いに対応していない医療機関もあります。その場合、次回受診時まで未収のままになってしまいます。

●電話がつながるまで何度も連絡しなければならない

<薬局>

薬局では、郵送の場合も通常と同様の料金ですが、医療機関同様、クレジットカード、振込、代金引き落としでの料金支払いに対応していない薬局の場合、次回来局時まで未収のままになってしまいます。

薬を梱包し、宅配便の伝票を書き、到着後に電話確認する手間は、通常の調剤よりも負担が大きいものです。1件だとそれほどでもなくても、件数が多くなると、多大な負担になります。

何度電話しても、到着確認の電話に出ない患者がいます。それでも、電話がつながるまで何度も連絡しなければなりません。電話以外の、メールやライン等での連絡方法は認められておりません。

対面でないことにより、患者に起きている副作用を見逃す可能性があります。

●どうすれば普及できるのか

では、どうすれば、オンライン・電話診療を普及させることができるのでしょうか。以下のように提案します。

・オンライン診療のための研修を、オンライン研修で実施することにより、多忙な医師の負担を軽減

・オンライン診療料の報酬を対面と同等にすることで、医療機関の経済的抵抗感減弱

・クレジットカード、振込、代金引き落としの普及

・電話がつながらない患者に、薬剤師が何度も連絡しなければならない負担を軽減するため患者、配送業者の荷物追跡にて配送完了を確認できれば、到着確認完了とすることを許容

・市販薬で対応できる人は保険適応外とすることにより、インターネットでの市販薬購入の促進

また、現状の法律で実施可能な、「3密回避」と「対面診療・服薬指導」を両立する方法として、患者の自宅を訪問する在宅医療があります。ただし、これは医師や薬剤師の負担が大きいものです。筆者は薬剤師2名の小規模薬局で、外来調剤をしながら、隙間時間や時間外に毎日在宅訪問をしています。正気を保つのが難しいような業務量だと感じています。

コロナ騒動をきっかけとして、オンライン診療・服薬指導が普及していく流れにあります。普及を妨げる制度の不備も見直していくことが求められています。

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