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『ジョジョ』ミュージカル直前中止、東宝が「宿泊費」まで"異例の補償" エンタメ業界の通例になるか
2024年02月07日 16時16分
#おれたちにできない事を平然とやってのけるッそこにシビレル!あこがれるゥ! #ジョジョ

東京・丸の内の「帝国劇場」で予定されていたミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』(2月6日〜8日)が公演2日前になって、"準備不足"を理由に突如中止された。このことをめぐって、舞台製作の東宝は2月6日、チケット代金だけでなく、宿泊費や交通費なども補償する考えを明らかにした。

公演中止が2月4日にアナウンスされた際には、東宝はチケット代の払い戻しについてのみ説明していた。しかし、直前の中止に納得できないファンなどがSNSに相次いで不満を投稿したほか、「集団訴訟」を呼びかける声まで上がっていた。

こうした声を受けて、東宝は補償の範囲を拡大した格好だ。このような対応は、エンタメ業界では異例ともいえる内容で、専門家は「主催者とファン側との関係に一石を投じた」と話している。

東京・丸の内の「帝国劇場」で予定されていたミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』(2月6日〜8日)が公演2日前になって、"準備不足"を理由に突如中止された。このことをめぐって、舞台製作の東宝は2月6日、チケット代金だけでなく、宿泊費や交通費なども補償する考えを明らかにした。

公演中止が2月4日にアナウンスされた際には、東宝はチケット代の払い戻しについてのみ説明していた。しかし、直前の中止に納得できないファンなどがSNSに相次いで不満を投稿したほか、「集団訴訟」を呼びかける声まで上がっていた。

こうした声を受けて、東宝は補償の範囲を拡大した格好だ。このような対応は、エンタメ業界では異例ともいえる内容で、専門家は「主催者とファン側との関係に一石を投じた」と話している。

●SNSで高まった声「これをまかり通らせてはいけない」

2日前という直前の中止発表に、SNS上では悲しみだけでなく、"主催側の身勝手な理由を受け入れてはいけない"などという意見が高まりを見せていた。

「ジョジョミュ、子供の頃からジョジョ大好きの姪っ子が自分のお金でチケット取って人生初のミュデビューするはずだったのに中止でダメになってしまった…悲しい」(Xの声)

「ジョジョミュの『準備不足で出来ません』がまかり通ってしまうと、これだけ大きな会社が、日本で最大級の劇場で、30年の歴史を持つ作品で、これだけ著名な俳優も揃っていて、なのにこんなことが許されてしまうんだ、じゃあ今後はミュージカル見に行かなくていいや…って界隈全体の信頼が無くなると思う」(Xの声)

興行の世界では、さまざまな理由で公演中止が決まることは少なくない。ただ、"飼い慣らされた観客たち"は不平不満を感じながらも、そういうものかと「払い戻し」を受けたり、振替公演に向けて新たにスケジュールを組み直すなど、運営の決定を受け入れざるをえなかった。

今回は、返金や補償を求め、集団訴訟まで呼びかける声が盛り上がりを見せ、東宝に意見を届けようという勢いがついたことで、東宝も再リリースを出さざるをえなかったと見られる。

批判殺到を受けて出した2月6日のリリースでは「私ども東宝株式会社の本公演製作における見通しの甘さ、製作体制の不行き届きが招いた結果でございます」「全くもってあってはならないこと」などと説明されている。

中止になった公演のチケット購入者には、以下のような金銭補償対応がされるという。

・チケット代金の払戻し
・チケット販売手数料およびシステム利用料
・公演中止発表以前に手配済みの交通費と宿泊費のキャンセル料
・キャンセルできなかった場合には、交通費と1公演日につき1泊分の宿泊費

●「良い前例ができた」「主催とファンの関係に一石投じる対応」

さて、声をあげたことに結果がともなったことを受けて、「舞台オタクたちは怒ってても、全部行くことを決めた自分たちの責任だしな、、、と約款に従い泣き寝入りしてたけど、とてもいい前例ができた」という反応がX上で見られる。

異例とも言われる東宝の対応について、エンタメ分野のトラブルにくわしい河西邦剛弁護士は「妥当だと思う」と分析した。

「今回は、製作サイドが全面的に公演中止の責任を自ら認めていて、たとえば、天候不良や出演者の体調不良とは同列に考えることはできないと思います。法的にも、製作サイドが"過失"を認めているとも考えられるので、今回の補償の内容は妥当だと思います」

今回のケースがどこまで業界に影響を及ぼすか。たとえば今後、舞台やコンサートなどにおいて直前の中止があれば、主催者に非のある場合、補償範囲を拡大した対応が通例となっていくのだろうか。

この点、河西弁護士は「結論的には、公演中止の理由次第だ」と指摘する。

「主催者側に責任のない不可抗力なのか。あるいは主催者側に原因があるかによって、交通費や宿泊費のキャンセル料が含まれるかが決まってくるとは思います。ただ、主催者とファンとの関係に一石を投じた事例とは言えるでしょう」

SNS上では、こうした補償への対応も想定するとなれば、チケット代金が上乗せされて高額になるのではないかと心配する声もあるが・・・。

河西弁護士は「製作サイドの責任を全面的に認めた異例なケースだと言えそうなので、今後も同じような事態を見越してチケット価格に転嫁するという取り扱いにはなりにくいとは思います」と話している。

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