3210.jpg
ベトナム人元実習生の双子遺棄事件、有罪判決見直しなるか…最高裁で弁論
2023年02月24日 18時42分
#技能実習生 #死体遺棄

死産した双子の遺体を自宅で放置したとして、死体遺棄の罪に問われているベトナム人の元技能実習生の女性、レー・ティ・トゥイ・リンさん(24)の刑事裁判で、最高裁は2月24日、弁論を開いた。懲役3カ月・執行猶予2年の有罪とした2審判決が見直される可能性がある。

この日の弁論後、リンさんとその弁護団、支援者は東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。リンさんは「わたしは死産した双子の遺体を傷つけたり、放置したり、隠したりしていません。無罪判決が言い渡されることを願っています」とうったえた。

死産した双子の遺体を自宅で放置したとして、死体遺棄の罪に問われているベトナム人の元技能実習生の女性、レー・ティ・トゥイ・リンさん(24)の刑事裁判で、最高裁は2月24日、弁論を開いた。懲役3カ月・執行猶予2年の有罪とした2審判決が見直される可能性がある。

この日の弁論後、リンさんとその弁護団、支援者は東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。リンさんは「わたしは死産した双子の遺体を傷つけたり、放置したり、隠したりしていません。無罪判決が言い渡されることを願っています」とうったえた。

●争点は「遺棄」にあたるかどうか

弁護団によると、裁判の争点は、リンさんの行為が「遺棄」(刑法190条)にあたるかどうか。

技能実習生として来日したリンさんは2020年11月15日、強制的に帰国させられると考えて、雇い主や監理団体に妊娠を明かせず、熊本県内の自宅で孤立出産で死産した。その際、双子の遺体をタオルで包んで、二重の段ボール箱に入れて、セロテープで止めて安置した。

「そのときは大変動揺していて、自分の体に起こった出来事に対して頭が真っ白になって、そのうち元気になって落ち着いたら、何かきちんとやろうと思いました。ただ具体的に何をするのかは、そこまでは考えていませんでした」(リンさん)

リンさんは出産の翌日に病院の医師に死産を告白した。同11月19日、死体遺棄の疑いで逮捕されて、同12月10日に起訴された。弁護団は、遺体を遺棄していないとして、一貫して無罪を主張している。

●「孤立出産=死体遺棄」につながりかねない

1審・熊本地裁は、遺体をダンボールに入れる行為が「死産をまわりに隠したまま、私的に埋葬するための準備であり、正常な埋葬のための準備ではないから、国民の一般的な宗教的感情を害することが明らか」として、懲役8カ月・執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。

2審・福岡高裁は、1審判決を破棄しながらも、遺体を二重の段ボール箱に入れて、セロハンテープで封をした行為が、「隠匿」による死体遺棄にあたり、「葬祭の準備」ではないとして、懲役3カ月・執行猶予2年に減刑している。

この日の弁論で、改めて無罪をもとめた主任弁護人の石黒大貴弁護士は会見で次のように述べた。

「死産から医師に告白するまでの33時間、リンさんが身の回りの品で包み込んで、(遺体の)そばにいた行為が死体遺棄罪に問われている。最高裁には『孤立出産=死体遺棄』と安易につながりかねない危険な判断を覆していただきたい」

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る