3259.jpg
甘いものが好きな「寺のプーさん」 大阪の寺院が異例の「クマ飼育」を開始
2015年04月12日 11時10分

大阪府豊能町の山中で保護された野生の「ツキノワグマ」が、地元の寺に引き取られ、「寺のプーさん」として第2の人生(熊生)を歩み始めた。寺によると、ハチミツを塗った食パンなど、甘いものを喜んで食べているという。名前はまだない。今後、一般公募をする予定だ。

動画(高代寺提供)

https://www.youtube.com/watch?v=9P5LGmAM_PQ

発端は昨年6月。ツキノワグマが豊能町の山の中で、イノシシ捕獲用の「ワナ」にかかり、町の施設で保護された。その後、町が全国100以上の動物園に引き取りを求めたが、すべて断られたため、「引取先が決まらなければ殺処分」という可能性が出てきた。そこで、町内の宗教法人・高代寺がクマの飼育を申し出たのだ。

クマが寺にやってきたのは、今年の4月9日。引き取るにあたって、高代寺は「法律に違反しない形で飼育したい」と大阪府動物愛護畜産課に相談していた。府の職員が檻などの飼育環境を確認しにいったうえで、飼育許可を出したという。

「立ち上がると大きいなあと思うけどね。ゆっくり動いたり、檻にもたれてエサを食べながらくつろいでいるのが可愛い」(高代寺・副住職の長澤正秀さん)

大阪府豊能町の山中で保護された野生の「ツキノワグマ」が、地元の寺に引き取られ、「寺のプーさん」として第2の人生(熊生)を歩み始めた。寺によると、ハチミツを塗った食パンなど、甘いものを喜んで食べているという。名前はまだない。今後、一般公募をする予定だ。

動画(高代寺提供)

https://www.youtube.com/watch?v=9P5LGmAM_PQ

発端は昨年6月。ツキノワグマが豊能町の山の中で、イノシシ捕獲用の「ワナ」にかかり、町の施設で保護された。その後、町が全国100以上の動物園に引き取りを求めたが、すべて断られたため、「引取先が決まらなければ殺処分」という可能性が出てきた。そこで、町内の宗教法人・高代寺がクマの飼育を申し出たのだ。

クマが寺にやってきたのは、今年の4月9日。引き取るにあたって、高代寺は「法律に違反しない形で飼育したい」と大阪府動物愛護畜産課に相談していた。府の職員が檻などの飼育環境を確認しにいったうえで、飼育許可を出したという。

「立ち上がると大きいなあと思うけどね。ゆっくり動いたり、檻にもたれてエサを食べながらくつろいでいるのが可愛い」(高代寺・副住職の長澤正秀さん)

●初日は報道陣に向かって「突進していった」

クマはいま、境内に設置された檻の中で生活している。野生動物の保護活動を行う一般財団法人日本熊森協会の協力をあおぎながら、寺が飼育を行っているという。また、寺を訪れた人のために一般公開も始めた。

「クマはトラックで運ばれてきたんですよ。かなり興奮状態で、トラックの内側に貼ってあるベニヤ板を爪で削ったり、檻に入った後も、しばらく走り回ってましたわ。町の職員に加え、取材が6社くらい来てたんだけど、その人たちに向かって突進していったりね。まあ、檻の中にいるから、大丈夫なんやけど」

副住職の長澤さんは、初日の様子をこう振り返る。ただ、2日目には、かなり落ち着いていたという。「お参りの後にクマを見に来た人が8人くらい、いてはったけど、人を怖がってはいなかったですね」

●「クマのプーさんじゃないけど、甘いものは好きみたい」

クマが入っている檻の広さは約70平方メートル。クマと人間がお互いに近づきすぎないように、2重の柵を設けた。鉄格子の間隔は5センチと狭くして、クマの手が檻の外に出ないように工夫した。長澤さんいわく「クマにも人間にも安全な檻」だという。

ところで、クマは体長1.34メートルで体重は51.5キロ、推定4〜5歳の若いオスの成獣とみられる。どんなエサを食べているのだろうか? 

「引っ越し当日は、熊森協会の人が持ってきてくれたタケノコとリンゴと、ドッグフードみたいな『クマフード』とかいうエサを食べてましたね。2日目は、ハチミツを塗った食パンをあげました。クマのプーさんじゃないけど、甘いものは好きみたいでね。

クマは人を襲うイメージがあるけど、あれは怖がって攻撃しているだけです。実際は草食で、秋口はどんぐりも食べると聞きました」

気になる名前だが、「まだ決まっていません。協会のほうで、これから一般公募すると言っていました」とのことだ。

●「安易に飼育できると思ってほしくない」

しかし、人が普通に住んでいる場所に「クマ」が暮らしていたら、周辺の住民はどう思うだろう。都心部の住宅地などでは、反対運動が起きてもやむを得ない気もする。今回は、寺側が動物の保護活動を行う団体や行政の協力を仰いだうえで、慎重に受け入れを決めたが、一般人でも「飼育したい」といえば、認められるのだろうか。

大阪府動物愛護畜産課の担当者にたずねると、「許可を得れば、危険な動物を飼えると安易に思ってほしくない」という答えが返ってきた。

クマやトラ、サルなど、法律で「特定動物」と定められた動物を飼育する場合は、事前に適切な飼育環境を用意し、飼育許可を申請する必要がある。許可を得ずに飼育した場合、6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金を科せられる可能性がある。

「引き取りの申し出があって良かったと思っていますが、一般の人が危険な野生動物を飼育するのは、珍しいことです。

今回は、山の中で人とクマが遭遇する危険を考慮して、施設で一時保護をしましたが、本来であれば、誤ってワナにかかった野生動物を見つけたら、『保護』するのではなく、そのままワナから放してあげるのが一番です」

このように大阪府動物愛護畜産課の担当者は話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る