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自分の「ツレがうつ」になったら離婚できる? 法律に決まりはあるのか?
2013年08月02日 15時05分

うつになった相手と離婚すべきか」という相談が、ネットの悩み相談サイトに繰り返し寄せられている。

たとえば、流産をきっかけに妻が「うつ」になり、入院しているという結婚3年目の夫からは「どうすればいいのか」という投稿がされている。夫は妻のことを今でも愛しつづけているが、「妻の精神的負担を減らす」ために別れることも検討しているという。

厚労省の患者調査だと、うつ病を含む「気分障害」の推計患者数は05年以降、100万人を超えている。医者へかかっていない人は調査に含まれないため、「実数」はもっと多いとみられている。

この数字をみれば、配偶者が「うつ」になってしまう可能性は、どこの家庭にも少なからずあると言えそうだ。実際に、うつ病が原因で家庭が上手くいかなくなり、離婚に至るケースは、少なからずあると推定できる。

しかし、夫婦がすんなりと離婚を合意できるとは限らない。そのような場合には、調停や裁判などに頼ることになる。それでは、法律は「うつ病による離婚」をどのように捉えているのだろうか。

民法には「強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合は離婚できる」という規定もある。うつ病の配偶者を見捨てて離婚するのを、法律が認めているのだとしたら、少し不人情な気もするが、どうなのだろうか。金子宰慶弁護士に聞いた。

●うつ病のみを理由に、裁判で「離婚判決」を得るのは非常に難しい

「確かに、配偶者がうつ病となることにより、夫婦の関係に多大なストレスを生じることはありえます。

ただ、うつ病といっても、精神病院に入院をせざるをえないような場合もあれば、病気を抱えながらも仕事をすることができるケースもあり、さまざまな程度があります。

民法が離婚原因として定めているのは『強度の精神病』ですから、軽度や中等度のうつ病であれば、そもそも離婚原因にはあたらないと考えられます」

――うつの程度が重ければ、離婚は認められる?

「重度のうつ病であるとしても、まずは『回復の見込みがない』とまでいえるかが問題になります。

仮にこの要件を満たすとしても、判例は、(1)配偶者の離婚後の生活費や、(2)病院などの引受先について、具体的方策を確保することを求めています。つまり、うつ病のみを理由に、訴訟で離婚判決を得ることは非常に難しいです」

――「うつと離婚」を裁判所がどう考えているのか、参考になる判例はある?

「たとえば、うつ病が原因となって別居することになり離婚訴訟にまでなった事案で、一審と高裁の結論が異なったケースがあります(名古屋高裁平成20年4月8日判決 家月61巻2号240頁)。

この夫婦は別居してから3年3ヶ月が経過していましたが、高裁判決では『妻のうつ病が治癒し、あるいは妻の病状についての夫の理解が深まれば、婚姻関係は改善することも期待できる』として、離婚を認めませんでした。

このように、裁判所は、うつ病の配偶者に相当程度配慮しているといえます」

どうやら、少なくとも配偶者を「見捨てる」ような形での離婚を、裁判所は認めていないようだ。パートナーがピンチの時は、まず自分自身が落ち着いて、公的機関や支援団体、医者などに相談するのが良いのではなかろうか。

(弁護士ドットコムニュース)

うつになった相手と離婚すべきか」という相談が、ネットの悩み相談サイトに繰り返し寄せられている。

たとえば、流産をきっかけに妻が「うつ」になり、入院しているという結婚3年目の夫からは「どうすればいいのか」という投稿がされている。夫は妻のことを今でも愛しつづけているが、「妻の精神的負担を減らす」ために別れることも検討しているという。

厚労省の患者調査だと、うつ病を含む「気分障害」の推計患者数は05年以降、100万人を超えている。医者へかかっていない人は調査に含まれないため、「実数」はもっと多いとみられている。

この数字をみれば、配偶者が「うつ」になってしまう可能性は、どこの家庭にも少なからずあると言えそうだ。実際に、うつ病が原因で家庭が上手くいかなくなり、離婚に至るケースは、少なからずあると推定できる。

しかし、夫婦がすんなりと離婚を合意できるとは限らない。そのような場合には、調停や裁判などに頼ることになる。それでは、法律は「うつ病による離婚」をどのように捉えているのだろうか。

民法には「強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合は離婚できる」という規定もある。うつ病の配偶者を見捨てて離婚するのを、法律が認めているのだとしたら、少し不人情な気もするが、どうなのだろうか。金子宰慶弁護士に聞いた。

●うつ病のみを理由に、裁判で「離婚判決」を得るのは非常に難しい

「確かに、配偶者がうつ病となることにより、夫婦の関係に多大なストレスを生じることはありえます。

ただ、うつ病といっても、精神病院に入院をせざるをえないような場合もあれば、病気を抱えながらも仕事をすることができるケースもあり、さまざまな程度があります。

民法が離婚原因として定めているのは『強度の精神病』ですから、軽度や中等度のうつ病であれば、そもそも離婚原因にはあたらないと考えられます」

――うつの程度が重ければ、離婚は認められる?

「重度のうつ病であるとしても、まずは『回復の見込みがない』とまでいえるかが問題になります。

仮にこの要件を満たすとしても、判例は、(1)配偶者の離婚後の生活費や、(2)病院などの引受先について、具体的方策を確保することを求めています。つまり、うつ病のみを理由に、訴訟で離婚判決を得ることは非常に難しいです」

――「うつと離婚」を裁判所がどう考えているのか、参考になる判例はある?

「たとえば、うつ病が原因となって別居することになり離婚訴訟にまでなった事案で、一審と高裁の結論が異なったケースがあります(名古屋高裁平成20年4月8日判決 家月61巻2号240頁)。

この夫婦は別居してから3年3ヶ月が経過していましたが、高裁判決では『妻のうつ病が治癒し、あるいは妻の病状についての夫の理解が深まれば、婚姻関係は改善することも期待できる』として、離婚を認めませんでした。

このように、裁判所は、うつ病の配偶者に相当程度配慮しているといえます」

どうやら、少なくとも配偶者を「見捨てる」ような形での離婚を、裁判所は認めていないようだ。パートナーがピンチの時は、まず自分自身が落ち着いて、公的機関や支援団体、医者などに相談するのが良いのではなかろうか。

(弁護士ドットコムニュース)

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