飼い主が散歩や買い物の途中に、犬のリードを何かにつなげて待たせる光景はよく見かける。
店の外でジッと待っている利口な犬を見るのは、なんとも微笑ましいものだ。
しかし、ガードレールに犬をつなぐ行為はどうか。警察庁によると、実は「違法」と判断される場合もありうるという。同庁は弁護士ドットコムニュースの取材に、道路交通法などに抵触する可能性があるとの見解を示した。
個別の状況によって判断は分かれるとみられるが、交通の妨げになるなど、道交法違反を問われるおそれもあるため注意が必要だ。(弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)
●愛犬家の問題提起
今年9月、愛犬家としても知られる俳優がXでこう投稿した。
「買い物中にガードレールに繋いでいた自分の犬を触らないで下さいと言ったら、逆ギレされて怖かった…こういうの、どう思う?」
この問題提起に対して、犬を勝手に触るのは、マナー違反だとの声が多く寄せられた一方、そもそも犬をガードレールにつなげてよいものか、と疑問を呈する意見も少なくなかった。
ガードレールにリードをつながれた犬(2025年11月/東京都)※飼い主がすぐそばにいて周囲の状況に注意しながら撮影しています。
ガードレール業界の関係者に取材したところ、その是非については「判断できない」ということだった。
●「犬をつなぐこと」を定めた条例もあるが…
一方で、各地の動物愛護条例には「犬の係留義務」を定める規則もある。
たとえば、東京都では、犬が逃げたり、人に危害を加えないように「固定した物に綱もしくは鎖で確実につないで」とある。
では、散歩中などに一時的にガードレールにつなぐのも認められるのだろうか。
飼い主が犬をガードレールにつないで一時的に離れた場合は、「安全な場所」とはいえず、条例上の係留義務を果たせられないと考えられる。
弁護士ドットコムニュースは「飼い主が、道路のガードレールに犬のリードをつないで、その場から一時的に離れる行為」について、警察庁に取材した。
●警察庁「道路状況、交通状況等によっては規定違反になる可能性」
警察庁交通企画課は次のように回答した。
<道路交通法76条第3項において、「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない」と規定されているほか、同条4項7号の規定に基づく都道府県公安委員会規則において、動物等を交通の妨害となるような方法でつないでおく行為を禁止している場合もあり、お尋ねの行為については、その方法、道路状況、交通状況等によっては、これらの規定違反となる可能性があります>
つまり、状況次第では、道交法や規則に抵触しうるということだ。
警察庁の見解からすれば、「ガードレールに犬をつないでおくことは避けたほうがよい」と考えるのが自然だろう。
ガードレールにリードをつながれた犬(2025年11月/東京都)※飼い主がすぐそばにいて周囲の状況に注意しながら撮影しています。
●「犬に噛まれてケガを負った」実際のトラブルも
弁護士ドットコムの法律相談には「ガードレールにつながれた犬に噛まれてケガを負った」との被害報告も寄せられている。
「近づいたところ突然噛み付かれた」
「暗くて犬の存在に気づかなかった子どもが犬の足を踏んでしまい、体を噛まれた」
しつけが行き届いた犬であっても、こうしたトラブルが起こりうる。
犬をガードレールにつなぐ行為も、勝手に触れ合う行為も、お互いの安全のために避けるべきだといえそうだ。