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AV出演強要「悪夢がひどくて涙が止まらない」被害止まず…NPO、法整備うったえる
2019年12月03日 18時59分

繁華街などで「モデルにならないか?」とスカウトされたり、求人サイトの募集に応募して、プロダクションと契約すると、意に反して、アダルトビデオへの出演を迫られる――。こうした「AV出演強要」の被害があとを絶たないとして、被害者の支援団体は「法整備が必要だ」とうったえている。

繁華街などで「モデルにならないか?」とスカウトされたり、求人サイトの募集に応募して、プロダクションと契約すると、意に反して、アダルトビデオへの出演を迫られる――。こうした「AV出演強要」の被害があとを絶たないとして、被害者の支援団体は「法整備が必要だ」とうったえている。

●若者の相談が多かった

AV出演強要の被害者の支援活動をおこなっている3団体、NPO法人ライトハウス、NPO法人ポルノ被害と性暴力を考える会、NPO法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)が12月3日、東京・永田町の衆議院第2議員会館で、被害実態について報告する院内集会を開いた。

ライトハウスによると、AV出演に関する新規の相談数は、2018年が40件、ことし1月から11月にかけては39件だったという。

望まない出演の相談は全国から寄せられており、上京したばかりの学生、とくに18歳から24歳くらいの若者による相談が多かったそうだ。ことしに入ってからは、男性の相談数も増えているという(女性約8割、男性約2割)。

ライトハウスの藤原志帆子代表は院内集会で、次のような被害のポイントをあげた。

・「AV」とは書いていない求人サイトから被害にあう
・1回の撮影が数年にわたり複数の作品として販売され、ネットで拡散している
・知人にバレてしまった相談者はみんな「バレない」と説明を受けていた

●「被害者を一人でも減らしたい」

藤原代表はさらに、「モデル撮影」とスカウトされて、AV出演を強要されたという相談者のコメントを代読した。

「売る前に止めてくれるシステムや、拡散される前に止めてくれるシステムなどがあったらよかったのに、と思います」

「いまでも、悪夢がひどくて涙が止まらないことがあります。私が元気がないと家族も苦しむので、罪悪感を感じてしまいます。どこかに逃げたいような気持ちですが、向かう先もわかりません。どうすれば心が晴れるのかすごく難しくて心が痛いです」

「私と同じような苦しみを背負わされる被害者を一人でも減らしたいです。過去の被害者の声を、受け止めていただき、被害の防止と被害者救済について取り組んでほしいです」

●「ひどい事案でも処罰されないことがつづいている」

この問題をめぐっては、HRNが2016年3月、被害実態をまとめた報告書を発表している。

この報告書がきっかけとなって、AV業界内の自主的な取り組みがスタートしたり、政府が取り締まり強化を盛り込んだ対策をまとめるなど、いくつかの動きもおきている。

HRN事務局長の伊藤和子弁護士はこの日の院内集会で、AV業界の自主的な取り組みや、政府の対策について一定の評価をしたうえで、「監督官庁が決まっておらず、出演強要された人が、労働者としても消費者としても保護されていない、法律のすきまにおかれている」と指摘した。

現在、AV出演強要をめぐっては、労働者派遣法や職業安定法の適用によって、プロダクションなどが摘発されるケースがある。

しかし、これらの法律は「雇用関係」が前提とされているため、適用されるかどうかは、ケース・バイ・ケースで判断されている。そのため、「非常にひどい事案でも処罰されないことがつづいている」(伊藤弁護士)という。

●「国として、きちんと対応をとるべきだ」

また、いったん撮影・販売されると、なかなか止めることがむずかしかったり、ネット上で、違法コピーされるという問題もある。そのため、撮影されたときの人権侵害だけでなく、どこまでも拡散されていくという二次被害もおきてしまう。

伊藤弁護士は、その背景として、「強要被害にふさわしい刑事罰がないこと」をあげて、次のように法規制の必要性をうったえた。

「来年2020年は、東京五輪・パラリンピックもあります。しかし、AV出演強要のような被害に対して、国として、きちんとした対応をとらないまま、五輪をむかえるのは非常にはずかしいことではないでしょうか」(伊藤弁護士)

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