3738.jpg
「偽名」トラブルで東京入管に収容されたスリランカ人、東京地裁に「釈放」求める
2017年08月08日 16時53分

かつて別人名義の偽パスポートで日本に入国し、不法滞在で強制退去させられたことのあるスリランカ人男性が、本名で再入国したあと、別人として東京入国管理局の施設に収容されたーー。男性側は8月8日、人違いの拘束であり、法律上正当な手続きによらないとして、釈放を求めて、東京地裁に人身保護請求をおこなった。

かつて別人名義の偽パスポートで日本に入国し、不法滞在で強制退去させられたことのあるスリランカ人男性が、本名で再入国したあと、別人として東京入国管理局の施設に収容されたーー。男性側は8月8日、人違いの拘束であり、法律上正当な手続きによらないとして、釈放を求めて、東京地裁に人身保護請求をおこなった。

●本名で入国したら「偽名で入国」として服役することに・・・

請求書などによると、東京入管の収容施設に収容されているのは、スリランカ国籍の男性Dさん(34)。Dさんは1998年9月、ブローカーに用意してもらった別のスリランカ人男性C名義の偽パスポートを使って日本に入国した。2008年8月、不法滞在(オーバーステイ)で、「C」として強制送還された。

Dさんは2010年11月、ビジネスのために「本名D」で再入国した。その直後、トラブルに巻き込まれたDさんは警察に連行されたあと、同年12月に「偽名D」で入国したことが出入国管理法に違反するとして起訴された。2011年4月、懲役2年の実刑判決を言い渡されて、横浜刑務所に服役した。

Dさんの代理人によると、スリランカ大使館は現在、「DさんはCでなく、Dである」と認めており、「本名D」名義のパスポートを交付したうえで、その事情を説明する文書を東京入管に送付しているという。ところが、入管側は今年7月、Dさんを「C」として、収容した。

●指宿弁護士「国際問題になるおそれも」

Dさんを支援している「仮放免者の会」事務局長の宮廻満氏と代理人の指宿昭一弁護士が8月8日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。

宮廻氏は「最初の入国が他人名義なのは、(Dさん)本人が反省すべきことだが、2回目は本人のパスポートで入国した。そのために収監までされた。さらに、スリランカ大使館が『Dである』と立証しているのに収容までされた。人権侵害であり、即時の釈放を求める」とコメントした。

指宿弁護士によると、スリランカ大使館側が、Dさんを「Cでなく、Dである」としていることから、Dさんは「C」として出国できない立場にある。Dさん本人は「自分の名前を取り戻したい」と話しているという。指宿弁護士は「スリランカ大使館側が怒っており、これ以上こじれると国際問題になるおそれもある」と指摘した。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る